中古マイクにありがちで最も多い不良。
それは「ロー抜け」である。
つまり、ロー(低音)が出ない。
ロー抜けは中古マイクを買うとき最大の恐怖となる。
なぜなら、ほぼ、絶対に直せないからである。
なぜ直せないかというと、矛盾している話に聞こえるかもしれないが、壊さないと原因箇所までアクセスできないからである。
出来ることと言えば、ロー抜けの原因の特定くらい。
元通りには戻せない。
ロー抜けが最も多いのは磁石とコイルから構成されるダイナミックマイクにおいてである。
どのようなダイナミックマイクでも発生するが、ゼンハイザーMD421やAKG D12などに特によく見られる症状だ。
どうしてこんなことをツラツラ書いているかというと、またしてもオクで掴まされたからである。
最初から音が変だった。
妙に低音が出ない。
これは使えないわ!
と思った瞬間、私の分解魂に火が付いた。
堅く接着されたプラスチックのカバーをバキバキ割りながらやっとダイヤフラムに辿り着き、スカートめくりならぬフラムめくりをしたのがこの写真だ。
ご覧あれ!
フラムを外したダイナミックマイクのカートリッジである。
コイルがピストン運動する磁石の隙間に何やらざらざらのツブツブがあるのが見えないだろうか?
原因はこれだ。
このざらざらのツブツブにコイルの動きが妨げられて正常な音が出ないのである。
もう、ここまで分解すると元に戻せない。
それに、分解しているときにフラムに張り付いているコイルからのリードをプチっと引きちぎったしな。
結論から言うと、ロー抜けはほぼ直せない。
「ほぼ」、と言うのはダイヤフラムを交換することを前提に作られたマイクもあるからだ。
しかし、それに何の意味もない。
なぜなら、その交換用ダイヤフラム自体が今となっては入手困難で入手出来たとしてもものすごく高価だからだ。
ところで、このざらざらのツブツブ、何だろう?
実はダイヤフラムに貼り付いたコイルが動くこの隙間、外部とは白いメッシュフィルターを通してつながっている。
どう見てもツブツブの方がフィルターの網目よりも大きい。
つまり、それは外界から侵入した鉄粉などではないことを意味する。
何を隠そう、このツブツブ、経年により磁石周辺部から自己発生したと考えられるモノなのである。
日本は湿気が多いのでダイナミックマイクの保管場所には気を付けた方が良い。
すぐにサビる。
結論!
オクでダイナミックマイクを買ってはいけない!
おまけ。
拡大写真でもう一度どうぞ。
年末も近いということで、閻魔帳に書き留めている私がつかまされた粗悪品マイクの総額をここで発表しようと思う。
3,859,870円
いつか壊れたマイクを供養する墓を建てたい。

