火曜日、何気なくついていたテレビで、薬害エイズ事件の話が出ていました。
学生時代、この話は授業でも取り上げられ、よく知っている話です。
それだけでなく、私が10代の時にこの訴訟が起こり、薬剤師になった頃に土下座謝罪が報道されました。
なので、ミドリ十字社のその後の会社名の変遷などは、まさにオンタイムで眺めていました。(お茶を濁すように変わりすぎて、だんだん追えなくなりましたが)
これまで、この薬害エイズ事件関連で、私の心の底に刻まれた話がひとつあります。
それは、なんの勉強会だったか覚えていないのですが、とある病院の薬局長さんの講演で
「私はミドリ十字社の非加熱製剤を自分の病院に採用しませんでした。調べたら海外でこの問題が出ているのを知り、そんな危険な製剤は採用してはいけないと判断し、止めたんです」
「採用の段階から薬剤師の責任は存在している。自分の病院に採用する薬について、国内外の文献も目を通し、しっかり判断しなければならない」
そんな話でした。
医師が処方したいから。
国が認可したから。
ではなく、自分の目で確かめて回避した薬局長がいたのかと、本当に驚きました。
そして、今回。
母になって、初めてこの話題に触れました。
エイズで子どもを亡くしたお母さんが
「私が打っていたんです」
と、おっしゃっていました。
非加熱製剤は、自己注射できるようになって、家庭でお母さんが血友病の息子を思い、どうか元気に生きて欲しいと願い、良い薬と信じて注射をしていた。
その薬のせいで、我が子がHIVに感染し、発病し、亡くなってしまった。
「私が打っていたんです」と。
なんと罪深いことか。
国も、製薬会社も、医師も、薬剤師も。
採用を止めた人がいると知っていると、正しい事実を追い求め、自分で考えることを捨ててはいけないなと、改めて思いました。
川田龍平さんのお元気そうな姿を久しぶりに見て、なんだか涙が止まりませんでした。
彼の勇気と行動力と心の強さに、感謝です。