仕事をしていて出会った親子を見て。私見です。



職場に、眼科の処方を持った9歳男児がやってきた。

学校で目に紙が入り傷ついたとのこと。


お薬手帳に

コンサータ

インチュニブ

と書いてあった。


息子と同類か。


と、待合にいるその子を探してみると、母親の横に座って、ちゃんと待っている。


お薬の準備ができたから、呼んだら。

お母さんの横に並んで立って、こちらを見上げるその子。

目がキラキラしている。

生き生きしている。


ニコニコまだ目が痛いの?

と聞いたら

👦今は痛くないよ!

と、輝く瞳で私を見つめて答えてくれた。


たいてい、お子さんたちは、自分の薬をもらうのに、お母さんの後ろにいる。

でも、その子は母親の横に立ち、興味津々の顔でこちらをみている。

なので、その子に薬の説明をした。

うんうんと頷きながら、理解してくれた。


目薬2種類。

間隔は5分おいてほしいとか、その理由とか。

説明すると、お母さんの横で、うんうんと理解した。

👦5分の砂時計持ってるよ!

教えてくれた。

視覚で時間がわかる砂時計、重宝するよね!


カウンターの目の前にあるお金のトレーに手を出して遊び始める。それをお母さんが止める。

お母さんが出したお金を手に取る。それをお母さんが注意する。


お薬で大きな動きは押さえされているのだろうけど、彼の溢れる興味は健在で、目の前にあるものにすぐに手が出る。それはそれでなんだか嬉しい。

彼の行動をさりげなく交わしながら

ニコニコお金をこのトレーに置いてくれる?

と頼んでみたら、手に持っていたお金をちゃんとトレーに置いてくれた。


お母さんの笑顔も穏やかで、息子をしっかり見守っている。


お薬で上手にコントロールできているんだな。

お母さん、上手く育てられていらっしゃるな。


男の子の瞳のキラキラは、ここまで潰されずにきた証。


一般的にADHDと言われるお子さんたち。

彼らに共通の、興味津々、生き生きと、キラキラ輝く瞳!

この輝きを曇らせることなく、大切に育てていきたいですね。

そのために、お薬をうまく使うのもよし。

環境調整もされているのでしょう。


親はただその子の伸び代を信じ、根気よく、大切に育てていけば、彼ら自身が時期を選んで、ここぞというときに花開くのだと思うんです。

私たちは子どもの瞳の輝きを大切に、あせらずに可愛がればいい。



先日行った美容院は、タブレットで雑誌が読み放題だった。

教育と医学という専門誌は、発達障害診断閾下のお子さんについてクローズアップされていた。

要するに、グレーな子たち。


この子たちは特有のメンタル障害に注意が必要とされていた。診断された子たちとは分けられて考えていた。

いわゆる、二次障害につながる考え方で、なるほどと納得するものだった。


スペクトラムで考えると、誰しもが特性をもつわけで。

その特性が他の人より濃いけれど、いわゆる「普通」に分類されるお子さんたちは、「普通」に属することでその心の中に大きなストレスを負ってしまっている。

でも周囲の大人が理解し環境を整えていけば、メンタルをやられることはない。

そのための補助として、薬はあるということを、教育者をはじめ周りの大人たちは理解して、一緒に育てられたらいいなと思った。


発達障害やグレーの認識は以前よりも格段に親や教育者たちに浸透しているのだと思う。

でも、やはり正しく理解し適切に接することができる人はまだまだ少ないのかな。

親ですら、薬に過度な期待を持つ例を、ブログなどを読むと散見される。


薬は彼らを無事に壊すことなく育てるための一つのツールにすぎないことを社会全体が理解して、何より環境を整え彼らが過ごしやすい場を用意できれば、瞳の輝きは失われずに大人になれるのではないかと、そんなふうに思っている。


未就園のお子さんを、足で挟みながらお金を払うお母さん。

自分が当事者の時は気が付かなかったけれど、実はここまでの子はあまり見かけない。

下の子のにこちゃんを育ててみて、

真顔捕まえていなくても、ここにいる!

と気がついて、心底驚いた時のことは、まだはっきり記憶している。

その頃のぴーすけは常に捕まえておかないと、すぐに走ってどこかへ行ってしまっていた。


お薬の会計の時に、息子を足で挟みながらお金を払うお母さんを見て、自分と同じだなと思った。

その息子の瞳は、キラキラしていた。

あらゆる刺激に反応し、居ても立っても居られない。

母の隙をついて走り出す子を捕まえて戻ってくるお母さんは、大変そうだけど疲れ果ててはいない。その表情に安心した。


頑張れ!頑張れ!頑張れ!

あなたの息子は、輝いている。

イキイキしている。

母は大変だけど、他の子よりも少し時間がかかるけれど、ちゃんと落ち着くよ。


余計な話はできないから、勝手に心の底で思い切り共感し、応援しながら薬を渡した。


医療の末端で社会と関わると、その子たちがいかに少数派であるかがわかる。

増えてきている言われているとはいえ、やはり「普通」に振る舞う子が多い。


でも、その子たちの瞳の輝きは特別で、キラキラしていて、わかりやすい。

是非、壊れることなく、育っていってほしいと思う。