長いですが、ジェネリックについて思うことなどを解説してみました。

とうとう、ニュースで流れましたね。
いつ報道されるのかなーって、気になっていました。このまま握り潰されるのかなと。



以下抜粋


「小林化工(福井県)では2年12月、爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤が混入したことによる健康被害が明らかになった。3年3月には当時、業界最大手だった日医工(富山市)が、承認されていない工程で製造した医薬品を出荷するなど品質管理上の問題を指摘され、富山県から業務停止命令を受け、製品を自主回収した」


これから始まった薬の出荷停止や出荷調整の嵐🌀。コロナも相まって、先発も後発も色々な薬が全然入ってこないわけです。


今回のサワイのテプレノンは、4月ごろに回収がかかってね。それ以降全部、私の勤める薬局では、同じ効能効果の「先発:ムコスタ(レバミピド)」に処方変更してもらってきたけどね。(ムコスタは先発も後発も同じ値段だから、先発採用です)。テプレノンの先発医薬品であるセルベックスも希少になってしまいましたし。


ジェネリックっていうと、昔はゾロとか言って非常にイメージが悪かったけれど。医療費削減のために国が無理矢理ジェネリックを推進して切り替えてきました。

研究開発費が含まれないジェネリックは、自ずと薬価が安くなるから、手っ取り早く医療費が削減されるわけ。

でも、原薬などは輸入に頼っていたりするし、光熱費も上がっていたりして、物価高のあおりで国の決めた薬価ではなかなか品質を保った状態で作り続けることが難しくなってきたようです。


↓これは、同じ成分の医薬品の、銘柄ごとの薬価比較です。



気管支喘息や、アレルギー性鼻炎、その他夜咳が出て寝られない感じの時に、大人も子どもも処方されるモンテルカストですが。

先発が2社。後発はたくさん。(この表は下にもっと続いています)

それぞれ規格ごとに比較しても、先発同士、先発後発、後発同士でも、薬価が違います。後発の値段の安さは魅力的。本当にジェネリックが先発と全く同じなら、安い方がいいと思います。

シングレアの10mgを30日分出してもらったら、薬価は2,916円。これの3割負担(一般の人)だと874円。1割負担(高齢者)だと291円。

「モンテルカスト10mgKM」だと、薬価1,365円。3割負担だと409円。1割負担だと136円。「モンテルカスト10mg「日医工」」だと、薬価528円。3割負担だと158.4円。1割負担だと52円。

と、値段がかなり違います。

シングレアだったら、3割の人は保険に2,042円支払ってもらい、1割の高齢者たちは2,625円支払ってもらう。同じくKMだと3割の人は956円、1割の人は1,229円。同じく日医工なら、369円と、475円。

モンテルカストだけで処方が終わるわけはなく大体他の薬も出るから、特に3割負担の一般人は、この不景気ではなかなか「先発で」とは、言いづらい値段差。


また、後発の中もAGっていう分類もあって、これも実は少し種類があるけれど、大まかには全く先発と変わらないものと説明できる。



普通のジェネリックとの違いは、



ということで、AGだとジェネリックといえどほぼモノは先発と同じってことになる(厳密には少し違うのもあるけれど)


私の勤務先は、AGがある場合はほぼAGを取り入れている。上のモンテルカストもAGである「モンテルカストKM」を採用している。でもね、AGがないジェネリックもたくさんある。


何が言いたいかというと、①安直に「ジェネリックだから不良品である」わけではないということ。

そして、②国が薬価を下げ過ぎている状況。

何より③実は薬って高いのよってこと。


国はさ、医療費削減対策に薬価ばかり注目せず、「蚊に刺された」「ちょっと喉が痛い」「花粉症で目が痒い」というだけで病院受診し、薬が7〜9割引で手に入ることや、美容目的での処方など、そちらの方に注目する時が来たんじゃないかなー、思ったりするわけです。(そうすると開業医は困るだろうけど)

国民皆保険を守るには、セルフメディケーションをすすめ、なんでも病院に行って薬を出してもらうのではなく、薬局で薬を買えばいいのよ。


Aさん:耳鼻科でもらった抗菌薬などの一連の処方を飲み切る前に、今度は内科に受診して、他の抗菌薬が処方されたり。

Bさん:「この薬は飲んでないんだ!家にたくさん余っている」と言いながら、また同じ薬をもらっていく。医師に言って数調整しようと提案しても「いいのいいの」と余計なことはしてくれるなと拒否。

Cさん:「症状が全然良くならない」と医師に言っても、何度も何度も同じ薬を3ヶ月分ずつ長期処方されている。患者さんは「もう諦めた」と苦笑い。


このA〜Cの3人。月曜日に私が勤務中のたった5時間でやってきた人たち。(Aさんは医師に問い合わせをして内科の処方が止まったけどね)


ほんとはさ、薬ってさー、高いんだよね


と、いつもお腹の中で思うけれど、1割負担(9割引き)だと、払う方(患者さん)も払わせる方(医師)も胸も懐も痛みがない。

でも、このままだと、我が子たちが大人になる前に、日本の素晴らしい皆保険が破綻してしまう。


出荷調整で出回ってない薬がどんどん処方される現状は、薬局も大変だけど、結局困るのは患者さん。

糖尿病で必須の薬(先発品)が品薄になっている中で、美容目的の痩せ薬として出回っている異様な状況。

喉の痛みで処方されるトラネキサム酸(先発も後発も)が、コロナで本当に品薄なのに、美容目的の処方で1ヶ月分ごっそり持っていってしまい、在庫がなくなる虚しさ。


日本の医療は、医者も患者も多岐の方向にそれぞれ向いて、限りある資源を食い尽くしている感じがする。

(もちろん、真摯に向き合っている方もたくさんいるけれど)


ジェネリック大手のサワイの不正がテプレノンだけだとは、思えない。他の薬も停止になったら、どうなっちゃうのかなー不安厚労省はサワイにも厳しく突っ込めるのかな。

同じく大手の東和は大丈夫なのかなー。

そもそも、先発メーカーは不正していないのかなー。


サワイの報道を見て、いよいよ嫌な予感しかしない悲しい