井川建具道具店さん

　我が家は築５０余年の木造住宅をスケルトンリフォームして、離れを7.５畳の茶室、６畳の前室、ミニキッチンを備えた６畳の水屋とした。

　５０余年前に建物を新築したときに造った日本庭園は木々が大きく育ち、駐車スペースを広げたりしたので、竣工当時のままの姿を残しているのは庭石や灯籠くらいである。

　リフォームにあたり建物の内装は、無垢材の建具にこだわり、他県の建具屋まで探し歩いたが、最も気に入った建具が揃っていたのは、京都御所近くの夷川通りにある井川建具道具店だった。

　京都の町家や商家で使われていたものを中心に、他の地域ではあまり見られない古都らしいものが多く揃っていた。

　中には、それほど古そうに見えないものやオーダー品が完成後にキャンセルになったという新品の建具も少なからずあった。
　板戸、舞良戸、蔵戸、障子、欄間など２０数枚と風炉先屏風を何枚か購入した。
　店主の井川さんは、老舗の気品を持った京都人で、建築の素人である私に、やさしい京都弁で建具のことを色々教えてくれたり、私の希望する建具を２千枚以上あろうと思われる店舗や倉庫の中を一所懸命探してくれた。
　他の建具屋さんではあり得ないことだったが、商品の選択や購入した商品の引取りを何ヶ月も待ってくれたので、本当に満足のいく建具を選ぶことができて、とても感謝している。
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