私が長沢芦雪の絵に出会ったのは表具屋で働いていた20代の頃だった。和歌山の寺から襖絵を掛軸に仕立て直しの仕事がきていた。
それから何となく身近に感じていて名古屋の芦雪展(2017年)からは開催される度に観に行くようになった。同じ絵が展示のされ方によって印象が全く違うと今回の大阪中之島美術館での芦雪展で強く感じた。
例えば、無量寺の虎図・龍図襖絵は名古屋では方丈での配置を再現されていて空間構成の妙や当時の様子が彷彿させられ興味深かった。虎図・龍図の裏側に描かれた唐子の絵なども同時に観ることができた。対して中之島展では虎図・龍図の展示の位置が高めだからか迫力を感じた。
中之島展では、一点一点の絵を鑑賞するのが意図されているのか、それぞれの作品を集中して観ることができた。しかし、全展示を見終わった時に、芦雪の生涯や画業について、概観したような満足感を覚えたのは名古屋展だった。
2018年に訪れた山陰の大乗寺では、襖絵はほぼ高精細複製だが、芦雪の群猿図は実物がそのまま襖に入っていた。当初の場所で観られるのは貴重であるが、保存の面から難しいのだろう。
嵯峨嵐山文華館の「いちからわかる円山応挙と長沢芦雪」展では展示室が明るく、作品のユーモラスなところが強調されていた。同じ作品でも学芸員の展示方法や解説の付け方によってかなり印象が変わるものだと感じた。




