古い古い懐メロでございます。
美空ひばりさんが歌う「人を恋うる歌」……友の情けをたずぬれば、義のあるところ、火をも踏む……瞑目清聴あるのみです。この曲は。
聴いていると、いろいろなことを考え、普段は想い出さない雑多な記憶が次から次へと甦ってまいります。
メロディもさることながら、ひばりさんの歌唱がとてもいい。
ですが、残念なことに、この今の時代、この歌はもはや忘れ去られゆく歌になり果ててしまっている。
まず第一にとても古い歌であるということ、そして、一般受けする曲ではないということ、そして、古風な歌詞の意味も深く味わえる人はあくまでもマイノリティーでしかないでしょうということは、言えると思います。
しかしながら、だから、店主は好きなのです、この歌が。
男の理想型、女の理想型……歌詞に見える次の文言が直截に心に響いてまいります。
妻を娶らば 才長けて 見目麗しく 情けある
友を選ばば 書を読みて 六分の侠気 四分の熱
この歌は音楽の姿を借りた心からなる語り、真情の吐露なのです。
皆様も、どうぞ、ご清聴のほど。