良書のススメ(50)三石巌先生の「科学の起源99の謎」 | 福島市南沢又のきくや洋品店

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本コーナー「良書のススメ」は1年以上も休載してしまい、店主は当初の連載予定見込みの甘さを猛省しております。お店の仕事が全てに優先するため、本ブログ、本コーナーはついその次にということになり、気が付くと長くほったらかしにしてしまっていたというのが正直なところでございます……m(_ _)m。

 

今日は久しぶりに時間がつくれましたので、また、今後、もう一度、定期的に書いてゆこうという意欲と申しましょうか、また書かせていただこうというやる気のようなものも湧いてまいりましたので、長年愛読してまいりました三石巌先生の「科学の起源99の謎」を取り上げさせていただこうと思います。

 

店主の手許にあります「科学の起源99の謎」はサンポウ・ブックスシリーズの昭和53年6月20日第19刷版ですが、初版は昭和51年7月1日に発行されております。発行所は(株)サンポウジャーナルでございます。

 

「科学の起源99の謎」表紙

 

裏表紙

 

著者・三石巌先生のプロフィールと和達清夫先生の推薦文のアップ

 

この本はサブタイトルに「宇宙の発見から数・生命・動力の発見まで」と記されているとおり、人間と科学の長大な歴史をピンポイントで俯瞰するサイエンティフィックヒストリーの体裁をとっております。

 

洋の東西を問わず、古代から現代までその網羅範囲はあくまでも広く、内容はあくまでも濃く、三石先生の実に親切で分かりやすい書きぶりが冴え、科学好きには垂涎の読み物であり、一般の方々には好個の科学入門書となる好著であると言えるでしょう。

 

勿論、書物というものは、皆様が実際にお手に取って精読されることで初めてその価値を発揮するものでありますから、店主がああだこうだと余計なイニシエーションを行うのは野暮以外の何者でもありませんし、低次元な老婆心はただ迷惑なだけでありますけれども、この本がかなり古いものであることを考えると、どんなことが書かれているのか、そのほんのさわりをご紹介するのは決して無意味なことではないと思われます。

 

……ということで、目次の主だった項目を見繕って、以下に記させていただくことにいたします。

 

「科学の起源99の謎」目次(抜粋)

 

1.宇宙への挑戦 天文学のあけぼの

 1 宇宙の発見 古代人は宇宙をどう観たか

 2 占星術の発見 古代オリエントの宇宙観とは何か

 3 星図の発見 最古の製図とはどんな図か

 4 宇宙の根源の発見 アナクシマンドロスの宇宙とは何か

 5 地動説の発見 どうして地球の回転を知ったか

 ……以下、項目は10まであります

2.地球への挑戦 近代地図のあけぼの

 11 地球の発見 古代人は地球をどう考えていたか

 12 地図の発見 最古の地図はいつごろできたか

 13 地球球体説の発見 もう一つの地球はあるか

 ……中略

 20 大陸移動説の発見 大陸は移動しているのか

3.数への挑戦 数学のあけぼの

 ……中略

 24 実用数学の発見 バビロニア数学はどんなレベルに達していたか

 25 ピタゴラスの定理の発見 ギリシア数学とは何か

 ……中略

 29 微積分の発見 変化する速度をどう捉えたか

 ……中略

4.図形への挑戦 幾何学のあけぼの

 31 測量術の発見 ナイル川は何をもたらしたか

 ……中略

 36 ユークリッド幾何学の発見 古代幾何学はどう集大成されたか

 ……中略

 40 メビウスの帯の発見 表も裏もない世界があるか

5.時間への挑戦 相対性理論のあけぼの

 ……中略

 47 時の乱れの発見 ニュートン力学はいつも正しいか

 ……中略

 49 相対性理論の発見(1) アインシュタインは何を考えたか

 50 相対性理論の発見(2) 浦島伝説はありうるか

 ……中略

6.物質への挑戦 化学のあけぼの

 51 青銅の発見 バビロニア・周を築く原因となったか

 ……中略

 54 不老不死の発見 死は避けられないか

 55 錬金術の発見(1) 卑金属から金ができるか

 56 錬金術の発見(2) クレオパトラも金づくりに励んだのか

 ……中略

7.病気への挑戦 医学のあけぼの

 61 病因は神秘のベールに包まれていたか

 62 死の発見 古代人にとって死とは何か

 ……中略

 63 ハムラビ法典には何が書かれているか

 64 知恵は科学を、無知は信仰を生むのか

 ……中略

 70 近代医学の発見 実験的方法はどうスタートしたか

8.ミクロへの挑戦 生物学のあけぼの

 ……中略

 72 自然の発見 アリストテレスは自然をどう観察したか

 73 原子の発見 宇宙を構成するものはアトムと空虚か

 ……中略

 76 細胞の発見 科学上の大発見時代の幕開けか

 77 種の発見 生物の分類は必要か

 78 生命の発見 生命の根源は何か

 79 染色体の発見 子はなぜ親に似るのか

 80 分子生物学の発見 生命現象をどう捉えるか

9.エネルギーへの挑戦 原子力のあけぼの

 81 火の発見 人間と動物を分化させたか

 82 石炭の発見 いつごろ発見されたか

 83 石油の発見 プロメテウスの火か

 84 電気の発見 現代文明の幕開けか

 ……中略

 87 原子力の発見 未来エネルギーのホープか

 88 永久運動の発見 永久機関は可能か

 89 未来エネルギーの発見 何が本当に有効か

10. 動力への挑戦 機械文明のあけぼの

 90 車輪の発見 いつ、どうしてできたか

 91 梃子の発見 巨石文明を支えたのは何か

 92 翼の発見 大空への憧れによって生まれたのか

 93 エンジンの発見 必要は発明の母か

 94 蒸気の発見 産業革命はいかになされたか

 95 飛行機の発見 どう空を飛んだか

 96 揚力の発見 飛行機はなぜ飛ぶか

 97 ロケットの発見 なぜ翼なしで飛ぶのか

 98 宇宙旅行の発見 星空への憧れか

 99 未来の乗り物の発見 乗り物文明は20世紀のあだ花となるか

 

著者・三石巌先生のご略歴はウィキペディアさんから下に引用させていただきます。

 

三石 巌(みついし いわお、男性、1901年 - 1997年)は日本の物理学者。東京都出身。
略歴
1927年東京大学理学部物理学科、同工学部大学院卒。日大、慶大、武蔵大、津田塾大、清泉女子大の教授を歴任。理科全般にわたる教科書や子供の科学読み物から専門書にいたる著作は300冊余。今なお読みつがれている。分子栄養学を提唱、健康自主管理運動の拠点として株式会社メグビーと三石理論研究所を設立。講演・執筆活動による啓発につとめ、生涯現役を全うした(以上、ウィキペディアさんから引用させていただきました)。
 

 

また、三石先生は表紙カバーの中折れ部分に、次のような一文をお載せになられております。

 

骨百耳尼詰由数……これは江戸時代に翻訳されたオランダの天文書「天地二球用法」に出てくるコペルニクスの訳語である。正確にはコペルニキュスと発音する。

ヨーロッパ中世の宗教界を震撼させたコペルニクスの地動説はこのように日本人に紹介された。当時の日本人にとって地動説はまさに青天の霹靂であった。知識人、林羅山は「地の下にまた天があるのか」と反問したそうである。

だが、百年を経た今日、私たちにとって、地動説は常識の部類に属する。まさにコペルニクス的転回がなされたのである。

思えば科学の歴史はコペルニクス的転回の連鎖であった。その都度、人々は新しい真理に恐れおののき、反発し、やがて常識としてそれを迎え入れたのである……。

 

これまで、店主はこの稀覯書、「科学の起源99の謎」を数え切れないほど読み返しておりますけれども、読むたびに必ず何かしらの発見があり、また新たな疑問を抱き、連綿として発展を続けてきた人類の叡知にただ驚き、テクノロジーの無限の可能性と底知れぬ怖さに思いを致すということを繰り返してまいりました。

 

そして、読後、店主はいつもある偉大なる先達の言葉を思い出すのであります。

 

それは下に記したアルバート・アインシュタイン先生の2つのお言葉でございます。

 

「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」

「学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる」

 

……「科学は最も信頼することのできる宗教である」という言葉を耳にしたことがございますけれども、その宗教を支え、成り立たせるものは我々人類の叡知と良心と愛なのではないでしょうか?(^^)。