きくや洋品店の旧店舗の解体・更地化が済み、一続きの空き地となった南沢又桜内商店街跡地。
日没間近の同地をちょっとぱちぱちやってきました。
薄暮が近づき、陽の光が薄らいで、辺りは飯坂街道を走る車の騒音が聞こえるだけです。
近くの歩道橋に上って信夫山を撮りました。
同じような写真を何度も載せて申し訳ない気がしますが、これらの写真は旧店舗、そして桜内商店街の墓碑のようなものです。
数十年間、ここには数店の店舗があり、それぞれが、日々、営業をして生業を立て、人々の喜怒哀楽があったのです。
そしてそこには建築物と人間の心と体の新陳代謝がありました。
それがきれいになくなってしまったのです。
店主はしばらくの間、歩道橋の上に佇立し、目を閉じて往時の商店街を思い起こしてさまざまなことを考えました。
万物は流転する。
感情的なものは抜きにして、そういう宇宙の基本法則がここにもあるのだと店主は改めて腑に落ちた気がしました。
静けさや 夕闇迫る 店の跡
消え失せし物は静寂だけを残します。今、ここにはその音なしのしじまだけがあります……。