登別温泉 第一滝本館 | どさ、ゆさ

登別温泉 第一滝本館

http://www.takimotokan.co.jp/index.html
北海道登別市登別温泉町55番地
電話番号:0120-940-489

$どさ、ゆさ

■泉質:優
■設備:優
■料金:良
■雰囲気:優
■露天:有
■総合:10

 北の巨大温泉観光地、登別の超豪華温泉旅館である。ここを侮ってはいけない。1500坪の超巨大スペースには大量の温泉浴槽が並び、なんと7種類の泉質の異なる温泉を心ゆくまで堪能することができるのだ。今日はこういう泉質の温泉に行きたいからあの温泉地に行きたい、というような願いを一度に7つもかなえられる、まさに夢のような施設である。自分は第一滝本館の姉妹施設である滝本インに宿泊したため、第一滝本館の入浴が無料となった。それでも、こんなにいろんな種類のお風呂に入れて日帰り2000円は高いようで決して高くない。これは温泉マニアならぜひとも運んでみてほしい超ド級の温泉施設である。広々とした浴室からは地獄谷の絶景を眺めることができ、また露天風呂の雰囲気も満天である。なお、露天風呂ではビールなどの酒が注文できるサービスが整っており、露天風呂に浸かりながら雪見酒なんてしゃれこむことができる。

 各温泉の泉質を紹介していこう。まずは「癒しの湯」。これはナトリウム・カルシウムー塩化物泉(中性低張性高温泉)で肌触りのよく優しい泉質となっている。ナトリウムというと塩分を多く含む塩化物泉をイメージしがちだが、このような肌に優しい泉質はありそうで意外と探すのが難しい。無色透明。なお、登別でこの泉質が楽しめるのは第一滝本館のみ。

 続いては「きずの湯」。かつては芭硝泉という泉質だったもので、正式には酸性ー含硫黄(ナトリウム)塩化物・硫酸塩泉。硫黄を含んでいるもののお湯自体は無色透明で、やや特徴的な肌触りが感じられる。この泉質はチェコのカルルスバードが有名なのだとか。中風や傷によく効き、飲用すると便秘にも効くとのこと。この泉質の温泉を探すのは意外と難しい。なお、硫酸塩泉には芭硝泉(ナトリウム-硫酸塩泉)のほか、石膏泉(カルシウム-硫酸塩泉)、正苦味泉(マグネシウム-硫酸塩泉)、明ばん泉(アルミニウム-硫酸塩泉)の四種類が存在し、石膏泉も芭硝泉のように「傷の湯」と呼ばれることが多く、正苦味泉は日本ではほとんど例を見ない激レア泉質、明ばん泉は「目の湯」とも呼ばれる眼病に効く泉質である。いずれにせよ、硫酸塩泉はこういった傷などに非常に効果が高いと言えるだろう。

 これは温泉好きなら聞いたことがあるはずの「熱の湯」。熱海温泉など日本各地に点在し、代表的な温泉の泉質である塩化物泉で、正式にはナトリウム・カルシウムー塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。特徴としてはお湯がしょっぱいこと、塩の成分が肌の表面を覆ってしまうので湯ざめしにくく保温効果が非常に高いこと。

 さらにやや熱めの浴槽に注がれた「鬼の湯」。旧泉質名では食塩泉、具体的にはナトリウム・カルシウムー塩化物泉(中性低張性高温泉)となっている。こちらは先ほど紹介した「熱の湯」に比べてカルシウム分がやや多めな気がした。

 これも日本では良く見かける泉質の「美人の湯」。旧泉質名では重曹泉と呼ばれるアルカリ性のもので、うすい水酸化ナトリウムを指で触れたことがある人ならわかると思うが、アルカリ性の高いものに指先がふれるとヌルヌルした感触を受ける。余分な皮脂が取れるので美肌効果が高い。関東だと重曹泉といえば茶褐色のものが多いが、登別の「美人の湯」は無色透明。全国的にはあまり珍しい泉質でもないが、登別で重曹泉に入れるのはこの第一滝本館のみらしい。

 お次に「美肌の湯」と呼ばれるもの。登別をイメージした入浴剤などで知られているとおり、登別といえばこの泉質を連想する人も多いのではなかろうか。旧泉名は酸性硫化水素泉、正式には酸性ー含硫黄(ナトリウム)硫酸塩泉。硫化水素により白濁し、強酸性と腐卵臭をもたらす温泉情緒に満ちた泉質である。普通の浴槽だけでなく、寝湯にもぬるめの「美肌の湯」が使われているので、やや黄色を帯びた湯にゆったり身体を預けながら旅の疲れを癒すのもいいだろう。 

 最後に酸性緑ばん泉の「万病の湯」。鉄泉はその成分により炭酸鉄泉と緑ばん泉に分けられるが、重炭酸第一鉄が主体だと炭酸鉄泉となり、お湯として湧き出した後は空気中の酸素に触れて赤く濁った色になりやすい。緑ばん泉は硫酸鉄が主体でこちらは強酸性となるのが特徴。湧出自はやや緑色を帯びるのだとか。第一滝本館の万病の湯はわずかに白濁した強酸性の湯で、各浴槽に良質の湯が満ちているほか、露天風呂にある「金蔵の湯」はなんと生源泉かけ流しのホンモノの酸性緑ばん泉が堪能できる。木組の小さな浴槽には新鮮な湯が絶えずかけ流されており、泉温も適温そのもので、自分は湯めぐりの最後はずっとこの浴槽に浸かっていた。もちろん7つの源泉めぐりも素晴らしいが、第一滝本館がこの浴槽にものすごいこだわりを捧げているのが伝わってきた。ぜひ、最後に金蔵の湯を体感してみていただきたい。単なる温泉レジャーランドではない、本当に温泉を愛する施設が造った究極の浴槽がここにある。



日帰り受付
2000円(夕方以降は1500円)、無休(9時~18時)

アクセス
登別駅より道南バス利用、第一滝本前下車徒歩すぐ