額に入れられた浮世絵になります。

勝川春潮の扇屋容野という作品になります。

 

しかし墨一色の墨摺版画で、普段見る浮世絵とは感じが違います。

これはヤフオクで買った物ですが、作品の中にボストン美術館のエンボス印が押されています。

 

詳しい事は分からないのですが、ボストン美術館で1986年に、北斎などの大量の浮世絵の版木514枚が発見されました。

浮世絵は多くが海外に流出してしまいましたが、版木も海外のコレクターによって国内から持ち出されていたのですね。

 

エンボス印に1987年とあるので、その時に発見された版木の何点かを墨一色で主版(おもはん)を摺って数量限定で販売した物ではないかと思います。

何点か持っていますが、4年程前に初代豊国の役者絵を紹介しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

1987年と近年に摺られた浮世絵ということですが、これは復刻版ではありません。

なぜなら江戸時代のオリジナルの版木から摺られているからです。

 

今でも時々ヤフオクで見かけますが、正体が分からないで出品されているので、人気はないようです。

しかし今回の作品は大判サイズですが、これよりも少し大きなサイズの作品が当時は50万円以上の価格で売られていたようです。

 

この作品も当時は相当高価だったのでしょう。

 

新潟県の知足美術館(ちそくびじゅつかん)で、ボストン美術館所蔵版木による墨摺絵として所蔵されているようです。

 

 

今回の勝川春潮の扇屋容野という作品の、江戸時代に摺られた作品を探してみたのですが見つかりませんでした。

結構版木の痛みが見られて、線が欠損している個所が見られるので、かなりの枚数摺られたのだと思われるのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勝川 春潮(かつかわ しゅんちょう、生没年不詳)とは、江戸時代の浮世絵師。

勝川春章の門人。本姓は不詳、名は吉左衛門。

画姓に勝川を称し、雄芝堂、紫園、東紫園、中林舎、吉左堂と号す。

安永から寛政にかけて活躍した。役者絵の春章門下であったが、主に鳥居清長風ののびのびとした優艶な美人画を描き、紅嫌い、柱絵、三枚続に力作を残した。

天明後期の頃になると、まるで清長と見紛うばかりのあでやかな美人画を多数描き、その人気を清長と二分した。柱絵にも優れた作品があります。

 

 

実は春潮の肉筆美人画が去年のヤフオクに出品されました。

落款には別号が書いてあったので、春潮と気付いた人は少なかったと思いますが、印章には春潮とありました。

着物の模様などが細密に描かれた、花魁道中を描いた作品でした。

 

 

 

勝川春潮 てうじやひな鶴 こてうつるじ (国立国会図書館蔵)

 

 

 

こちらの作品は紅嫌い(べにぎらい)で描かれている浮世絵木版画になります。

 

紅嫌いとは、天明から寛政年間(1781-1801年)に流行した浮世絵の一種。

紅色などの派手な色を敢えて使用せず、墨、淡墨、鼠(ねず)を基調として、黄色、藍、紫や緑を僅かに加えた錦絵を指します。

特に、紫を主調としたものを「紫絵」と呼ぶこともあります。

 

華やかな色彩を使用する錦絵において、紅嫌いは渋い色彩により、上品な典雅さが当時の趣味人に好まれました。

しかし、最初は目新しさに流行りましたが、そのうちに飽きられていったのだと思われます。

 

 

 

 

勝川春潮 松葉や瀬川 いなしゆかり (国立国会図書館蔵)