絹本に描かれた作品になりますが、この作品は浮世絵では無く日本画の美人画となります。
落款には江村とあります。
永倉 江村人(ながくら こうそんじん 1881年 - 1951年)は、日本の画家。
本名は永倉茂。 初号は江村。
1881年、千葉県印旛郡臼井町(現在の佐倉市臼井)に旧佐倉藩士の永倉良輔の長男として生まれる。
旧制佐倉尋常中学(現在の千葉県立佐倉高等学校)を経て、明治31年東京美術学校(現在の東京芸術大学)日本画科本科に入学。
学生時代、考古学研究における先駆者として、「東京人類学会(現日本人類学会)」に寄稿したという。
明治36年同科を卒業、同校研究科(現在の東京芸術大学大学院)に進むがすぐに退学し、同年に旧制福岡県立中学修猷館(現在の福岡県立修猷館高等学校)図画教師に赴任。
翌年同校教師を免じられ、一年志願兵として軍役に服務。
明治38年からは京都帝国大学福岡医科大学(現在の九州大学医学部)に標本描画嘱託として解剖教室に勤務、人体解剖図を専門に写実した。
一時兵役のため休職ののち、大正2年まで勤務。
ついで九州日報社(現在の西日本新聞社)社友となり昭和の初めまで画筆をとる。
その後西新町の自宅で画家、俳人、表具師などの文化人グループを結成。
昭和26年1月25日、没。享年71。 (Wikipedia)
大正~昭和初期に描かれた作品だと思いますが、なんとも素朴な画風といいますか、ぬり絵の表紙絵を思い出させるような色調の作品です。
現在の東京芸術大学大学院までいった人に対して失礼な感想かも知れませんが、この時代に生まれていたら大変だったと思いますよ。
日清戦争、日露戦争、太平洋戦争と子供の頃から戦続きです。
そんな中で絵を描き続けただけで、尊敬に値すると感じます。
望郷とは故郷に想いはせる事ですが、同じ様に歳を重ねると子供の頃に生きた時代を懐かしく感じるものです。
私にとって微かな記憶の中にある、懐かしさを感じさせてくれる作品のようです。
全く知られていない画家ですが、この作品の現持ち主として紹介させて貰いました。
旧里や 臍の緒に泣く 年の暮 ふるさとや へそのをになく としのくれ 松尾芭蕉
久しぶりで故郷の生家に帰って来た年の暮。 自分の臍(へそ)の緒をふと手に取ってみると、遠い幼児のころや、亡き父母の慈愛の昔がしきりに思い出されて、ただ懐旧の涙にくれるばかりである。