
葛飾北為

北為と落款のある美人画になります。
北為は葛飾北斎の門人。江戸後期から明治の間に錦絵の他に版本の挿絵、肉筆画や千代紙の下絵まで描いています。
席画(宴会や集会の席で、依頼に応じて即席に絵をかくこと)のように即興に描いたような作品になっています。
月夜にコウモリと美人。これは浮世絵の美人画には良く描かれるものです。
江戸時代のコウモリは縁起の良い生き物として扱われていました、浮世絵でも女性の着物の模様にも良く使われています。
コウモリ(蝙蝠)の蝠の発音が福に似ているから中国では幸運の象徴とされています。
ですから江戸時代のコウモリの絵には、可愛いコウモリの絵が沢山あります。

この北為の美人画の真贋については、残念ながら比較できる北為の作品を他に見たことが無いので分かりませんでした。
オークションでは実はこのようなケースは頻繁にあります。
本などに載っている有名な浮世絵師なら多少の資料も有りますが、無名な絵師など何もないのが現状です。
肉筆浮世絵を集めだして間もない頃に購入した物ですが、迷ったあげくに「こんな無名な浮世絵師の贋作なんて作らないだろう」と思ってしまいました。
私は、こういう場合は安ければ、とりあえず買ってしまう時もあります。
もちろん失敗しても良いぐらいの金額の範囲内でです。
この作品には落款がありますが、本物の作品の落款との比較は出来ていません。しかし江戸時代の人にしては字が下手なので、実は怪しい作品だと思っています。
為一の印が押されているなど、不可解な点も見られます。
ただ絵自体は古い物ですので、北為の作品でなかったとしても今後の為にも後で資料として役に立つときが来るかもしれません。