こんにちは。アメリカインディアナ州エバンズビル大学に留学中の張谷です。

 

この大学は、前回紹介にあったフロリダ大学とは打って変わって、学生数わずか2500人程と小規模で、バスは一時間に一本、車で20分程走れば一面のトウモロコシ畑が広がっているというような田舎の地域に位置します。さらに、人種の坩堝と言われているにも関わらず、エバンズビル市のおよそ85%もが白人から構成されているため、街において人種の多様性を感じる機会は少ないかもしれません。

 

 

 

 

(共に大学周辺の景色です)

 

とは言え、車社会のアメリカにおいて、ひとたびバスに乗ると、90%以上の乗客が黒人であったり、寄付によって運営されているキリスト教の教会の礼拝に集まるほとんどが白人で占められていたりと、様々な生活場面で人種による格差社会、グループ化が垣間見えます。

 

さてアメリカと言えば、トランプ大統領の就任後まもなく、矢継ぎ早に繰り出されている大統領令が話題ですが、中でも、学内で最も注目を集めているのは、イスラム圏6か国からの米国への入国を制限する大統領令です。

 

先日も、この発令を受けて、イスラム教徒をはじめとする、影響を被るすべての人々を支援する目的で、学内で「異教徒間の集会」が行われました。この集会では、入国制限がかけられているシリアからの学生や(現在は対象から外されましたが)イラクから移住してきた地域住民等によって、発令による被害や不安な心境が共有されました。また、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の地域コミュニティの各代表が、この発令に対する反対意見を述べ、イスラム教という特定の宗教信者に対する人権侵害であるのではないかとも示唆しました。そして、宗教本来の目的とは愛を育み、推奨するものであるはずであり、宗教自体が害を及ぼしている訳ではないという内容のことが確認されました。

 

 

 

インディアナ州は政治的に保守派の勢力が強く、実際大統領選前になるとトランプ氏を支持する看板や横断幕がよく見受けられたため、この集会に学生はもちろん、地域の子供からお年寄りまで、様々な年代の人々が数百人も訪れたことは正直驚きでした。

そして、90%以上が同一民族によって構成され、一般に特定の宗教組織に対する帰属意識は薄いとされる日本人と比べ、移民国家かつ様々な宗教的多様性があるアメリカにおいて、人々が政治問題を宗教と深く結び付けて考えている点はとても新鮮でした。

 

 その一方で、日本以上にアメリカ国内では、テロに対する警戒警備の意識が高いことも感じられます。例えば、冬休み休暇にワシントンD.C.に旅行した際には、政治の中心地である都市ならではですが、飛行機によるテロ対策として、離陸後30分はいかなることがあっても席を立つことが出来ず、もし席を立った場合には逮捕されると聞きました。

 

 

またニューヨークでは、トランプタワーの前には厳重な警備が施され、建物の前を通ることも、隣の建物に入ることさえ制限がかけられているというような状態でした。ロイター通信によると、米大統領選投票日から大統領就任式までの間に、約2400万ドル(約27億円)もの費用がかかったそうです。


(ニューヨーク市内では特に警備が厳重です。交通量の多い性質を見込んで、警官が車ではなく馬でパトロールにあたっていたのが面白かったです。糞の処理は大変なのだろうと思いますが、、)

 

今現在私も、テロリズムの授業を受講しており、今後トランプ大統領がテロの脅威にどう対応していくのか非常に興味深いですが、私個人としてはこうした宗教を特定しかねるような政策は短期的には有効であっても、結果としてその宗教信者の怒りや憎しみを増殖し、過激な信仰心へとつながる可能性があるため、長期的には向かないであろうと思います。

 

 

留学先の大学は、大都会に位置する青学とは全く異なり、余暇も学内のイベントに参加したり、料理したり、カードゲームをしたりと、のんびりと過ごすことが大半で、たまに都会の空気が恋しくなることもしかりですが、日々様々な国からの友達との会話を通して、文化や価値観を知るのはとても刺激的です。

あと、2か月悔いなく留学生活を終われるよう頑張ります!

 

また、後期の授業から参加させて頂くことになりますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

国際政治学科3年

張谷京子