日々、様々な地域の素材、ユニークなボタニカルと向き合っている当蒸留所ですが、今回は僕にとっても大きな、そして非常にエキサイティングな挑戦についてお届けします。
ご縁があり、熊本県合志市(こうしし)で作られている「自然栽培(無農薬・無肥料)のダマスクローズ」を蒸留させていただく機会に恵まれました。
薔薇の無農薬・無肥料栽培は、並大抵の苦労では成し得ないものです。そんな大地のエネルギーを極限まで蓄えた希少なダマスクローズ。この素材の魅力を最高の形で引き出すため、「低温真空蒸留」致しました。
熱による成分の劣化を防ぎ、気圧を下げて優しく香りと成分を写し取る。 当蒸留所としても「初めてのダマスクローズ」ということもあり、一滴目が滴り落ちるまで、心地よい緊張感に包まれていました。
🌹 蒸留器から溢れた、本物の「薔薇園」の香り
抽出された液体を鼻腔に迎え、そして肌に少しのせてみた瞬間、その素晴らしさに思わず胸が熱くなりました。
最初に感じられたのは、さわやかな草原の香り。 青々とした初夏の風が吹き抜けるような、瑞々しいファーストインプレッションです。
引っぱられるようにそのすぐ後を追いかけるのは、気品に満ちた薔薇の香り。 ふわりと、しかし力強く立ち上るその香りは、目を閉じると「まさに今、満開の薔薇園の真ん中に立っている」かのような錯覚を覚えるほど。摘みたての生花の生命力が、そのまま液体に閉じ込められています。
💧 「濃ゆく、しっとり染み込んでいく」質感の秘密
驚いたのは香りだけではありません。できあがったものを少し肌につけてみると、その質感は驚くほど「濃ゆい」のです。じわっとしっとり肌に馴染み、奥深くへスーッと染み込んでいく素晴らしい心地よさがありました。
実は、この肌馴染みの良さには理由があります。 私たちの低温真空蒸留で抽出された100%の植物水は、表面張力が非常に低い(=水の分子が極めて細かい)という特徴を持っています。だからこそ、肌にのせた瞬間に弾かれることなく、吸い込まれるようにスーッと染み込んでいくのです。
さらに、通常の高温での蒸留とは異なり、酸素に触れさせない真空状態で、かつ熱ダメージを極限まで抑えて抽出するため、「ほとんど酸化しない」という強みもあります。薔薇本来の瑞々しいフレッシュさと濃厚なパワーが、生きたまま贅沢に詰まっています。
🌱 栽培から商品化まで。樫の木蒸留所が仕掛けるこれからの夢
この素晴らしいダマスクローズのポテンシャルを目の当たりにし、僕は決めました。
「このダマスクローズの栽培に、これからもっともっと力を入れていこう」
ただ蒸留所として素材を預かるだけでなく、今後は栽培の段階から深く関わり、最終的な商品化までを、一貫して自分たちの手で手がけていく。そんな新しいプロジェクトを始動します。
合志市の大地が育んだ薔薇と、樫の木蒸留所の技術が仕掛ける、これまでにないプロダクト。
一体どんな素敵な形でお披露目できるか、今からワクワクが止まりません。試作の様子やこれからの進捗は、またこのブログで発信していきますので、どうぞお楽しみに!

