最近は合同稽古や県下の諸試合にシニア層が急増しているようです。
リタイヤする頃から若い頃鍛錬した剣道を再開することは高齢者の心身の健康維持には頗る効果的だと思います。剣道はかなりの高齢でも可能であり、世代を超えて技量の研鑽と鍛錬し合えることはこれからの社会で大いに注目されることと期待しています。
学生時代に活躍した方が時を置いて再開する場合、自信が仇となり怪我や筋肉・腱を痛めることが多々あります。20代の若い方々でも慎重に稽古量を上げていくことが大切だと感じていますし、やはり日頃の鍛練継続の重さを感じます。
しかしながら社会人では教員や警察官など一部の職業を除き、学生時代から比べて稽古の環境や機会が大幅に狭められ、どうしても疎遠になりがちです。大方はそのまま剣道から離れて以後戻らないことになっているのではないでしょうか。
そのような場合を想定するに社会人として日夜就業する中で剣道を継続するにはその本来の目的以外に効用をどのように認識しているかが大切ではないでしょうか。
技量・体力・健康の維持に効果的であろうことは容易に想像されますが、実は心の面での効用が相当期待出来ることを認識している方はどの位おられるでしょうか。
個人的な経験ですが、社会人になってほぼ10年間本格的な運動らしいものをせず殆ど仕事に埋没していました。ふと体力の低下を実感し剣道を再開しましたが、その結果は体力増進などの予想以上に仕事上のストレス発散効果が大変大きいのにびっくりしました。30歳前後になると仕事も覚え職場でも成果を期待されるようになるので仕事上の悩み、対人的、組織的成果に対する精神上のストレスは自覚以上のものがあります。そこで現場を一旦離れ、剣道の稽古に勤しむとそのストレスが一時すっきりと霧散することができました。それは何物にも代えがたい爽快感で心身ともに休息することができました。
あたかも戦国時代の武士が戦乱の中にあって茶の湯や華道、書の世界に一時の安らぎを求めていたのはこのような効用からではなかったかとの感想をもったことでした。
逆に現代の社会人はIT時代、知識社会に至り仕事の性格が益々頭脳的、精神的に偏重しています。それだけに剣道のような稽古は心身バランスを健康に保つために益々重要になっているのではないかと考えています。以後この稽古後の爽快感が病みつきになった次第です。