Wii Fitを利用したインソール作成から全身のバランス調整 | ぎっくり腰と交通事故治療専門院「延寿堂」

Wii Fitを利用したインソール作成から全身のバランス調整

月に2回メンテナンスに通ってくれている男性の意外な事実がひょんな事で発覚しました。



よく整体で両足の長さが違うといった指摘をうけて、骨盤調整やアジャストをするのは普通にあるかと思います。


足の長短のくるいが、3cm以上あると腰を含め、何らかのトラブルが起こりやすくなると言われております。



今回の例ではご覧の通りかかとの位置がだいぶ違うのがおわかりになるかと思います。



自分たち施術家はしばしば骨盤の調整を希望されて来院される方にこういったアプローチをするのですが、気をつけなければいけないことがあります。


ひとつは、足の筋緊張や仙腸関節自体の問題でくるっているのか?


先天的にどちらかの足の長さが違うのではないか?


を見極めることです。



彼は、通常のメンテナンスを月に2回行っているので特に強い症状は偶然にもなかったのですが、たまたま発見した落とし穴を含めてリポートしてみます。


長短の長さと偏平足が気になり、よく観察していたらナント!写真では更にわかりづらいですが足に傷跡が・・・





すね毛に隠れていつも見落としていましたが、この日偶然にも左すねの前後に大きな手術痕を確認しました。


聞くと、小学生のころに大きな交通事故に遭い、複雑骨折をしたそうです。


ここで複雑骨折を少し解説すると、複雑骨折は骨または骨の一部が皮膚の外に飛び出た状態をいいます。


これに対し、皮下で粉々になった骨折を粉砕骨折といいます。


よく間違える人が多いので説明まで。



で、ここで納得。


何度矯正しても長短が合わなかったのは、事故後の手術の影響と成長期であったことが片側の骨を過剰に伸ばしてしまった原因だと判明。


確かに左の脛骨の方が2~3cm長かったです。


本人はまさかそんな昔の事故が今の腰痛に結び付いているとは思わず、予診表の過去の既往歴や事故欄にも記入していませんでした。


本人に「右の靴だけど、かかとの右側面の減り多くない?」と尋ねたところ、「そうなんですよ!」と驚き顔。



早速重心計でバランスチェック。


ここで大活躍するのがWii Fit。



こどものゲームだけではもったいないくらい素晴らしいアイテムです。


早速彼のデータを入力しバランスをチェックすると・・・



やはり右後ろ重心でした。


本人も意外な事実にビックリ。


ということで次回はインソールを制作しようということになりました。



そして2週間後。


インソールに彼の短い方(右足)の足型をマジックでなぞり、それを切りだす。



次に切りだしたインソールをプレーンシートに写す。


更にそれを切りだしてインソールと合体。


少しでも重心が真ん中に近くなればあとは微調整でOKという段取りでした。



そして再度Wii Fitでバランスチェック!


出来たインソールを右側にセッティングして乗ってもらいました。





結果は・・・・



ほぼドンピシャ!!


若干後ろ重心ではありますが、一番重要な左右のブレは解消できました。


誤差、わずか0.4%




こちらがビフォーアフターです。



この瞬間、二人で大声で笑ってしまいました~。



まさかこんなにバッチリいくとは思っていなかったので僕も驚きましたが、本人の感動のほうがすごかったようで、「治療もできて装具まで作れるなんて伊達に造形やってるわけじゃないですね!」と大満足のようでした。


今後、彼の腰痛や時々なる頭痛など、バランスが崩れたことが原因でそれを補おうとする余計な筋の緊張が軽減することで症状も緩和するのではと期待したいところ。



・左右の足の長さが違う→すぐに骨盤調整ではく、よく観察する。

・患者さん自身が忘れている事や、こんな事は今の症状と関係ないと思っているようなことがある。

・原因がわかったら、どうやって対処し予防していくかをわかりやすく説明し指導していく。


ケガをすればほとんどの人は病院へ行きます。

従来の柔道整復の業務範疇だけで仕事をしていくことはますます困難な状況となっています。


柔道整復の技術や知識をどうやって活かしていくか?が今後のポイントになると思います。


僕の知り合いの先生で、鍼灸師でありながら柔道整復師と同等、もしくはそれ以上の外傷に対する知識や 軟部組織損傷への細かい分析とアプローチを行っている先生がいます。


ドクターとの連携もしっかり行い、鑑別診断や「見たて」を重要視しています。


医学的な根拠や具体的な評価法など、限られた中でどれだけ客観的に症状を捉えられるかが大切だと思います。


僕もできるだけ時間を作り、先輩でもあるドクターのところへ勉強に通わせていただきたいと思っています。