秋の終わり
乾いた風の匂い
色と音と光と
少しの不穏さと
寂寥感
幽かな胸の痛み
冬を連想すると蘇る
イロ、いろ、色
冷たい風が吹き抜ける
灰色の地下鉄の出口
無機質の街灯の光
化粧気の少ない白い肌
行きつけの中華屋
白と黄緑
淡いぬくもりは
さっき見たオレンジの夕日
儚げな表情
控えめな語り口
微かな笑顔
抱きしめると
壊してしまいそうなほど
透明で
それはまるで
昨日のようであり
千年も前のようであり
甘い思い出も
しょっぱい記憶も
すべては
分厚く透明な
遠い記憶の向こう側
顔立ちも、しぐさも、
シャンプーの香も
雪の中の白い花のように
曖昧なまま
心の奥に焼き付け
冬が終わる前
幻のように
去っていったあなた
消えることのない
胸の痛みと
炎より鮮やかな
赤いコートの記憶だけ残して