ゆう君がさりげなく近づいてきて
合図を送る
「あいつはどう?」
おのぼりさん感丸出しのおとーさま
接待役の取り巻きに囲まれ、
気分も大きくなっているようね
顧客(ターゲット)として、申し分はない
そっとうなづいて、合意のサイン
後は、いつもの手管で誘い込み
程よいところで、ゆう君登場
火遊びの授業料を払ってもらい
業務終了
簡単なことよ
ゆう君が抱える営業さんが何人いるのか知ったこっちゃないけど
どうやら私は、一応エース級みたい
直で仕事する人は限られているんだって
ま、確かに、彼は仕事が良くできる
おかげで、
私もこの副業で稼がせてもらっているわ
もちろん、本業は堅気の職業に就いているわよ
どちらかというと、副業とは正反対のお堅い仕事ね
そちらにも、やりがいはあるんだけど、
なんていうのかしら
・・
まぁ、そんなことはどうでもいいわね
ゆう君との関係?
信頼できるパートナー
優秀なマネージャーと、その手下の営業
それ以上でも以下でもないわ
確かに、彼は仕事も出来るしイケメンだけどね
まず、仕事とプライベートとはきっちり線を引きたいし
彼もわたしも、相手に不自由はしていないし
なにより、彼は女をまったく信用していない
つまり、付き合う相手としては最悪ってわけ
それに、仕事以外の彼を知っている人は極端に少ないの
一種の生ける都市伝説ね
どこぞの組長の息子
裏グループのリーダー
闇金の元締め
特殊団体トップの御曹司
どれも本当のように聞こえるし
どれも信じられない
ただひとつ、はっきりしていることは
この街で、大ぴらにこの商売をしていても
どこからも横やりが入らないってこと
全部、ゆう君が話をつけたらしいけど、
どうなのかしらね
ただ、仕事上の趣味は、バッチリ合っているわ
子供と貧乏人は相手にしないってところ
顧客は常に、小金持ちのおとーさま
男も仕事も、見極めが大切ってことよ
インタビューはそれだけかしら
えっ?
私のオトコ?
さぁ、どうかしら
別にもったいぶっているわけじゃないけど
説明するのが面倒くさいのよ
といっても、一番面倒くさいのは
多分、私自身だけどね
他人の評価なんて、一切当てにならないから
私は私の評価しか信じない
そして、どんなにいいオトコでも
他者がみた私の評価と、私自身の評価が近いと
すごく気持ちが悪いの
過小評価や過大評価は、そもそも論外だけどね
それらを、恋愛感情に転換すると、
一致点を見つけるのがとても難しいのよ
言ってる意味がわからない?
そう
だったら、
私は永久にあなたの女にはなれないわ
つまり、そういうこと
それでは、
時間もきたようだし、
この辺で失礼させていただくわね