浄土真宗とキリスト教は似ているようで、実は決定的に違うところがある | 仏教講師の菊谷隆太が『人生の目的』を親鸞とブッダの言葉で示すブログ

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世界の三大宗教といえば、仏教とキリスト教とイスラム教です。
インドは人口が多いので今日、ヒンズー教は仏教信者より多いと言われますが、人種や民族、文化圏の枠を超え広範な人々に広まった宗教は、仏教、キリスト教、イスラム教のみなので、三大宗教といえばこの3つをさします。



この三つは世界宗教とも言われます。
それに対し、特定の地域や民族にのみ信仰される宗教は民族宗教と呼ばれ、ユダヤ教や神道、ヒンズー教などはこれに分類されます。



その世界宗教の中でも、仏教は他の二つ(キリスト教、イスラム教)とは、教義が著しく違います。
キリスト教とイスラム教はけっこう似通っています。
共にユダヤ教の旧約聖書から派生した宗教であり、この世界を造った神が存在していて、しかもそれは唯一の神だという教義も一緒です。
その唯一神の名を英語では「ゴッド」といい、アラビア語では「アッラー」といいますが、言葉が違うだけで、同じ一人の神を指しています。
キリスト教とイスラム教は歴史上幾たびも、また今日でも世界各国でぶつかっている犬猿の仲ですが、実は信じている対象は全く同じなのです。



それに対し仏教では「一切法は因縁生なり」万物は因縁によって生じたのであり、これに一切の例外はないと説きます。
その意味で、宇宙を造った神は存在しないという「無神論」です。
創造神を信じるのが教えの中心であるキリスト教イスラム教と、創造神は存在しないと説く仏教とでは根本から異なります。
それは見解の相違どころではありません。
キリスト教イスラム教から見れば、神を信じない無神論は最も重い罪なのですから。



幕末期に英語の「Religion」の訳語が必要となって「宗教」と翻訳したのですが、そもそも原語のほうの英語「Religion」は、ラテン語の「religio」から派生したものです。
「religio」とは「re」「ligio」という二つの言葉からなり、「re」は「ふたたび」という意味の接頭辞、「ligio」は「結びつける」という意味ですから、「再び結びつける」という意味です、



神の怒りで楽園を追放されたアダムとイブの子孫である人類を、神と再び結びつける、という意味を持つ言葉なので、キリスト教、イスラム教の教義に当てはまりますが、仏教の教義からすると何の関係もない言葉です。
はたして仏教を「宗教(Religion)」の一つと呼んでいいのか、から見直さなければならないのではという宗教学者もいます。