遺贈による弊害 | 北九州の行政書士 山本裕一

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遺贈による弊害

遺言状は手書きの場合は形式に沿っていれば有効なものが成立します。このように他人の協力を得ずに作成することができる手軽な手段だと思われます。しかし遺言状の成立が有効であるのと、遺言状通りに遺言が執行されるかについては別問題です。

例えば財産のすべてを自然の環境保護に努めていた友人に遺贈するとします。財産はそんなに大きな金額ではないし、自然環境保護は本人にとっても重要なトピックの一つだったとします。自分の作った財産なのだから自分の望むように処分できるはずだと考えるかもしれません。

しかし問題は簡単ではありません。一般的に相続人の子供は法定相続分の2分の1の額の遺留分減殺請求権があります。仮に総財産が300万円としてそのすべてをその友人に遺贈する遺言状を書いたとしましょう。そのような場合でも相続人である子供が遺留分減殺請求をしてその友人が納得したときには、その請求額を支払う必要があります。

この話をを読んで「あーあ、全部を遺贈するのはできないんだ、残念」と考えると思いますが問題はそれだけにとどまりません。遺留分減殺請求を受けるということはその遺贈を受けた友人と相続人である子供が対立することを意味します。当人同士で話がまとまらなければ裁判となり、かなりの精神的負担が発生します。

その友人もそんなに大変な思いをするなら受け取らなければよかったと思うかもしれません。このように自己の意思を重視して遺言状を書いてしまうと新たな禍根を発生する恐れがあります。