夏の移籍市場のスタートが迫ってきました。サンガとしては現在の成績もあって、おそらくはかなり動くことになるんじゃないでしょうか。現時点でA契約枠も余っている状況ですから。昨季は放出作業と並行して行われましたが、今季についてはそこまでナーバスになることもないと思います。

 

 

先日大熊GMのインタビュー記事が京都新聞において掲載されていました。補強ポイントについては全部とのこと。確かに全ポジションでJ1で戦うにあたってクオリティが足りてないという事実があります。とはいえ、枠も予算も限られたなかで効果的な補強をいかにしていくかが問われます。ざっくり考えると2パターンです。後ろを強固にして前に出やすくする。逆に後ろに人数を割いて攻撃はひとりで完結できる選手を獲得する。いずれにせよ前と後ろで強力な個人能力を欲しているというわけです。

あと、外国籍選手の獲得も重要なポイントとなってきます。これはサンガだけでなく、J全体のポイントとなっているのがリーグへのアジャストです。リーグレベルはともかくとして上位争いできるチームがこれだけ多いというのは世界的に見ても珍しいです。だから、上位常連というクラブもシーズンの進め方を間違えれば下位、下手したら残留争いなんて可能性もあります。資金があっても勝てるわけではありませんし、資金がないと厳しいと考えています。どの相手であっても手を抜くとか強度を落とすということは不可能なんですよね。あと、日本人が多いことによるサッカーの特徴におけるフィットとか、とにかくリーグを戦うにおいて難しいことだらけです。そのうえでチームスタイルへのアジャストも求められます。ですから、Jリーグビギナーが短期でフィットすることは難しくなってきています。

あと、チーム(サンガ)が外国籍選手に何を求めているかというのも考えねばならないポイントです。

 

2015年 ファンジンソン(~途中)

2016年 アンドレイ キロス(途中~)

2017年 ハソンミン ケヴィンオリス

2018年 レンゾロペス キムチョルホ マティアスカセラス(~途中) アレシャンドレ(~途中)

2019年 レナンモッタ 

2022年 マイケルウッド アランカリウス(途中~) パウリーニョボイア(途中~)

2023年 ヴァルネルハーン

2024年 マルコトゥーリオ

 

10年間で我々がJの他クラブを経ずに獲得した、いわば自前で獲得してきた外国籍選手の面々です。

すごい外れ率ですね。それなりに出場機会を得て、チームの成績が伴った事例としてはアンドレイが最初で最後じゃないでしょうか。オリスやロペスは得点こそとりましたがチームは低迷。おそらくはボックスストライカー以上の仕事ができなかったというのもチームとしてプラスになり得なかった部分なのかもしれません。モッタやパウリーニョボイアもそれなりに出場機会を得ましたけど、チームに不可欠な選手にはなりませんでした。技術的は優れているんですけど、外国籍選手にパワー要素、もしくはスピードを求めていることもあり、チームのニーズに合致しきらなかったのではないでしょうか。

こうした事態を踏まえ、サンガスタジアムに移るあたりからJ経験者に対象を絞っての獲得。これがうまくいきましたね。外国籍選手の貢献度は上がってきました。特に近年でいうとウタカとパトリックの存在は大きかったと思います。2人ともボックスストライカーとしての強さはありますが、それ以外にもパトリックは空中戦に無類の強さがありますし、ウタカはスピードがあります。彼らによってサンガが伝統的に苦手とするロングカウンターの成立率を上げていました。起点をつくり、運ぶといったところですね。外国籍選手だからといって、単一の仕事を課すのではなく、マルチタスクを背負わせながら理不尽な個でチームを打開してもらっていたわけです。先日の柏戦のマテウスサヴィオはすごかったでしょ。ひとりでチャンスメイク、運ぶ、プレスバック、得点とマルチタスクにもほどがありました。柏の方がサンガより選手個々の能力は上なんですけど、外国籍選手で明確な差があるなかでよく勝ち点拾えたなと思うしかなかったです。

ただ、今季の外国籍選手の稼働状況を考えると低迷に陥るのも仕方ないかなと考えています。というのもJ経験者を新規獲得しなかったからです。

特に攻撃面では自己完結型の外国籍FWを置くことで解決してきた部分があります。これについて今季の得点力不足を監督の責任を問う声を見かけるんですが、チームの歴史なので監督だけに責任を求めても解決できない問題です。攻撃のデザイン性をもってJ1で戦い抜いた実績なんぞないわけです。攻撃にパワーを割けるほど贅沢な戦いをした経験がありません。後ろを崩壊させないためにこれまで頭を使い続けてきました。必然的に守備におけるタスクが多くなるので、攻撃で事細かく何かをやるというのを植えつけられる余裕なんてありません。セオリーを無視して、攻撃のデザインしかやらなさそうな指導者はいますが、その方がお隣のアカデミーをぐちゃぐちゃにしたというのを忘れてはいけないことだと思います。

それが嫌なので2011年以降戦いの方針を改めたわけですが、今度はJ1に届かなくなりました。てなわけで手法を選ばずJ1に戻ってきたわけで、攻撃に比重を置くという準備はほとんどできていません。攻撃に色気を出そうとして自爆した2010年。そのシーズンとの共通性も多いシーズンではありますが、チームの歴史はドラスティックに変わるわけではなく、積み上げが大事だということを忘れてはなりません。

今季はこうなっている(得点力不足)に陥ってる以上、ある程度個人の力で解決するというやり方を取り戻すべきじゃないかと考えている次第であります。即戦力を求めるのであればJでのフィットを省略できる選手は必要になってくるんじゃないでしょうか。

 

 

補強選手について書こうと思ったら、前提論でかなり費やしてしまいましたので、新外国籍選手について具体的な話は次回やることにします。他にも決まった選手がいますし、今後決まってくる選手もいると思うので。