基本的に日本人は野球が好きだと考えています。というのも100回やってプロであれば100回負けるというものをあまり好まないからです。実際のところスポーツの世界においては同じチームが勝ち続ける競技って結構多いもんです。それをいかに覆すか。ある種、それができてきた競技が日本においてメジャースポーツになるんじゃないでしょうか。

巨人のV9時代みたいに。石橋をたたいてもなお渡らないように戦えば100回やって100回とも勝てる可能性はありますけど。それでもどの年度も圧倒したわけではありません。オリックスのV3もそんな感じですね。昨年初めてマジックを消しての優勝だったわけですし。

そんな野球が人気スポーツの地位を築いていくなかで平成に入ってからサッカーという競技もメジャーになってきたと考えています。もちろん、サッカーもある程度の力の差はあるものの、代表チームが世界トップクラスのチームと戦ってなんとかなるという可能性が高くなっています。それを2年前の年末に経験しました。国内リーグに目を向けても、やはり最終的にはここが強いというのはありますけど、過程に目を向けるとそうでもないわけです。埋めがたい差というのはなくなりつつあります。これが日本におけるサッカー隆盛のポイントじゃないでしょうか。

まさに高校レベルで、こうしたサプライズに近いものを見せてくれたということで今回はまとめます。

 

 

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先日のインターハイ、京都予選決勝の模様です。最終的には東山がAT弾で勝利することとなりました。決勝点はセットプレーのボールをキャッチしたキーパーがボールを置いたところを掻っ攫ってのゴールでした。まあこういうこともあるわなという得点でした。当事者ならそんな切り替えもできないんでしょうけど。プロの世界でも年1であるかないかくらいのプレー。ただ、東山は数年前にも同じようにキーパーの後ろに隠れていた選手がボールを置いた瞬間に掻っ攫って得点したことがあるようで、チームとしてもこういう可能性を排除しないでやってきたんでしょう。プロのサッカーも見ていてこういうことがあるというのを分かっているようでした。蹴るだけでは会得できないプレーですね。

 

 

ただし、内容は大谷にありました。大谷は京都のなかでトップレベルの高校というわけではありません。強化は去れているんだろうなと思いますが、それでも京都2強(東山、橘)と比べると無名の存在です。そのなかで魅せた攻撃サッカーは見事でした。基本的にボールを動かせるチームです。キーパーもサイズがあるわけではなく、ビルドアップ重視の選手でしたね。相手が食いついてきたら疑似カウンターで前線につけてフィニッシュまでいく。特に前半の途中までのチャンスはこの形が多かったです。おそらくはそれを警戒して東山もあまりハイプレスにいかず、中盤を消すディフェンスにしましたが、後ろで組み立てられるので、うまく前進できればチャンスになりそうというシーンは多くありました。サッカーがフィジカル、アスリート能力を求める傾向が強く、特に高体連はそれがモノを言うことが多くなるなかでこういうサッカーをして、強豪を追い詰めたわけですから。しかも、京都の強豪に勝って決勝に上がってきたというのを納得させる出来でした。

じゃあ、勝つために何が必要だったかというとゴール前の攻防の質だと思います。決めるか決めへんか、とられるかとらせへんか。敢えての関西弁にしておきます。その追求ができていければ上にいけるんじゃないでしょうか。結局サッカーの本質ってここなんですよね。プロセスのデザインがうまいチームが勝てるわけではないですし、ゴール前の攻防にフォーカスした方が結果は出やすいです。ただ、最後の質を問えるくらいの質になっているというのは間違いなく収穫です。冬にリベンジできるといいですね。

まさに東山が全国レベルにいくことで培ってきているのがゴール前の質のところだと思います。最後のところで踏ん張るというシーンは多かったです。メンバーが入れ替わっても経験はある程度伝わっているんだなと思います。昨年は全国行きを逃しましたが、今冬はそのリベンジを果たす機会になると思います。

 

 

私としては京都からトップを目指す選手、チームが出てきてほしいという願いがあります。2強構造からグレードアップしていくということは競争環境の質も上がるんじゃないでしょうか。そうすれば一発勝負となる全国大会においても好結果が期待できると考えています。どんな相手であってもきちんとサッカーができる。そうすることで結果はついてきやすくなりますから。

京都の高校サッカーから見た可能性についてまとめてみました。最後に東山高校は京都の代表として恥じぬサッカーをしてきてください。大谷、さらには敗退したチームについて、冬は同じようにいかないぞという準備をしましょう。