群馬は大槻毅組長監督の解任、そして武藤覚ヘッドコーチの監督就任を発表しました。

 

 

まず、GWを終えて、各チーム夏への動きを本格化させるなかで監督の見極めも終わりに差し掛かろうとしています。今回はそのケースに当てはまるかなと思います。今季からJ2はチーム数が減りながらも降格チーム数が増えるというハードなレギュレーションとなりました。当然ですが、カテゴリを維持できなければ死活問題になるチームもあります。各チーム策を凝らしながら必死に目標に向かっていくなかで、現時点の群馬は取り残されている状況にありました。開幕時点で絶望的な出来だったチームがいくつかあるなかで、それぞれに策を講じて最悪の事態から脱出したチームもあります。そういや、徳島も気づけば降格圏外まで上昇しました。勝ち点二桁にちょっと乗っかろうとしたチームが残留争いをしているなかで、その半分くらいしか群馬は勝ち点を稼いでいません。この成績を考えるとさすがに何らかの策を講じていかないといけないのは当然なのかなと考えています。

とはいえ、監督交代が妥当なのかは分かりません。限られた予算・戦力のチームのなか、昨季は大躍進を遂げました。後半失速したとはいえ、十分すぎる成果を収めることができました。しかし、抜かれた戦力の穴埋めが進みませんでした。こればかりは現場だけの責任ではなく、強化担当にも責任があると思います。ただし、大槻監督を慕ってくる選手がいるなかで権力が肥大化していると考えれば監督に大きな責任を負わせるというのはやむを得ないところであります。リスクも当然あるわけで、今後の選手の獲得競争に何を魅力に感じてもらってきてもらうのかというのを考えると難しくなります。かなりリスクのある選択をしたなと思っています。

戦力の穴埋めの失敗もありますし、パワハラ騒動により、内部統制や選手のメンタリティのところで難しくなった部分はあると思います。シロという形で決着しましたが、大槻さん自身、めちゃくちゃ言葉の力をもっている方です。彼の言動に惹かれる人間がいる一方で、傷つく人間もいるかもしれません。戦力的に限られていることもあり、なんとしてでも全員戦力にしたいという行き過ぎた考えをもつとこっちを無理やり向かせようとする傾向があります。それがパワハラにつながりかねないですね。この事件がシロだったのでよかったんですけど、結果的に選手や監督のメンタルが揺らいでしまいました。

チームの戦いのベースとなるビルドアップを破壊されていて、手詰まりになっているなか、いろいろ策を講じていかねばならないのに、そこが迷走していてどうにもならないんですよね。監督がもし正常なメンタルで策を講じられたら可能性はなくはない(それでも厳しいかもしれませんが)と思う部分もありましたが、いろいろへし折られましたね。

 

 

監督交代という策は仕方ないと思う一方で、良化する材料になり得ないなと思っている部分もあります。というのは大槻さんによってチームがこれだけ進んでいった部分があるからです。それを監督初経験の武藤新監督が劇的に良化させるだけの材料に乏しいわけです。前任の否定から入ればバランスをさらに崩す可能性もありますし、引き継ぐといってもベースの部分が崩れていますから。いずれにせよ、厳しい状況であることには変わりありません。

 

 

新監督がどうチームをつくっていくのか。解任ブーストに期待しつつ、それだけではない何かをもたらしていけるかが問われます。