水戸は濱崎芳己監督の解任、そして、森直樹デベロップメントコーチの監督就任を発表しました。成績が振るわないなか、GWの連戦期間中の監督交代には少々驚きました。

 

 

まず、監督交代の妥当性についてまとめておきますが、仕方ないかなと感じていました。昨季終了段階で続投というのが意外だったからです。選手の入れ替えがあるなかでも近年水戸の成績はボトムハーフの上からトップハーフには入れるかというレベルで推移していました。少し色気を出せば昇格争いというシーズンも増えてきたなかで、昨季は17位。残留争いに加わる時期は少なかったものの、出来不出来の差があったこと、最終順位の低さ、水戸の伝統ともいえる失点の少なさが崩れているのを止められなかったことを考えると継続すべきではなかったと感じていました。それが順位予想でも低く設定した理由でもあります。あと、チーム事情を考えると監督交代に費やせるものが限られているので、継続している以上は危ういなと思ってました。

あとは戦力的な部分もどうなのかという点。これは監督に責任のある部分ではないんですけど。チームの方針として売って稼ぐ。いわば移籍金によって規模を維持・拡大していくという方針だと思うんですが、あまりにも新卒選手が多すぎてバランスが悪くならないか心配でした。やはりというか使われる選手もいれば使われない選手もいます。実力上、そうならばスカウトが甘かったわけですし、監督の好みで使われてないのであれば、現場の意向をくみ取れない編成だったということになります。若い選手がいるのはいいことなんですけど、いずれにせよバランスが良くないと選手は機能しません。サンガにおいて元社長がピッチ内に立つ選手全員がアカデミー出身であることを理想として掲げられていた方がいらっしゃったんですけど、これもまた危険な発想なんですよ。それぞれに育てるのが得意・不得意なことがあって、ポジションによっては勝手に育つのを発掘しないとどうにもならないポジションもあるんです。移籍選手も一定数いないとどうにもならんということですね。

育成型クラブとしてやっていくにあたってカテゴリが落ちる危険性というのはあるのは事実です。カテゴリが変わればサッカーの質も変わりますし、選手の集まりも変わってきます。今季の成績だとチームの根幹を揺るがしかねない状況にありましたね。

あと、同じようなタイプのクラブとしていわきが上位進出しているのを見て、焦りがあるんでしょうね。立地も遠くない後発クラブに現時点で順位としては下ですから。

 

 

後任としては森直樹コーチが就任することとなりました。特段発表がないので、暫定ではなく正式就任になるものと思われます。

森コーチですが、水戸在籍歴は長いです。選手として2003年から、引退後もスタッフとしてかかわってきました。おそらくはチーム事情を知り尽くしている人材かと思われます。監督しての実績がないので、かなりリスクのある選択になりますが、チーム事情を理解し、今やるべきことを正確にやって窮地を脱出することが求められます。

水戸としては柱谷哲二氏が解任されて以来の途中交代となりました。これが2例めという極めて途中交代の少ないチームでした。もともとJ2に降格がなかった時期も長かったのも影響しているのかもしれません。このときに引き継いだのがコーチだった西ヶ谷氏でした。その後3年指揮しました。濱崎前監督もですが、3年くらいのスパンでと考えていたなかで、やはり成績が振るわず、こういう形になりました。新監督にはこうならないことが求められます。

 

 

交代そのものはGW期間中ではありましたが、序盤を見て、この体制では駄目だという認識をもったチームが動き始めました。大きな課題となっているのが後任の成り手です。安易かもしれませんがヘッドの昇格を除いてJクラブの多くが選択肢を失っている状況です。フリーで経験のある方は仕事エリアを限定しているとか年齢的に監督業は難しいとかなんですよね。スキルのある人間は普通、フリーで活動せず、どこかのチームに登用されますから。

あとは最近の課題として監督交代のタイミングと手続きプロセスですね。ここを見誤るとどれだけ正しいことをしたとしてもうまくいかないような気がします。チームのモチベーティングは大切ですから。空気を読める強化部であってほしいですね。