降格圏から脱出できない状況にあります。そこでちらついてくるのは監督交代でしょうか。監督交代については条件付きでOK、ただし、この条件のハードルが高すぎてどうにもならないということです。

 

 

監督交代した方がいい理由としては昨季前半から感じている部分なんですが、まともな判断をできるだけの精神状態にチームとしてないということが理由としてあります。どうしても人間、負けが込むと今までやってきたことが信じられなくなるとかメンタル面にダメージがきます。メンタル面にダメージを負ってしまうとこの選択は絶対にしないと思うようなことを平気でしてしまいます。プレー面で見れば分かりやすいんですけど、この選択、普通の判断力してたらとらないというものを平気でやって、それが特に失点に結びついているんです。失点パターンを振り返るとはめられている要素はあれど自爆したというのがあまりにも多すぎます。本来であればこういうプレーってシーズンが進むにつれて減っていくんですけど、なかなか減らないということはメンタル的に厳しいので判断の質が下がっているのも大きな要因になっているんじゃないでしょうか。監督の選手交代の遅さ(こればかりは監督だけで決めているわけではないです、しかも昨季後半から露骨にそれが見えてますし、その兆候は2022年の後半戦(特に柏戦のラストプレーで逆転を食らった試合によりベンチメンバーへの信頼がガタ落ちしたのもあるかもしれません)からありました)にもそれが表れています。昇格したシーズンなんかは5人交代制の強みを活かし、11人ではない戦いを(特に守備面で)徹底してきました。

判断速度の遅さというのも気になっている部分です。レビューでも書きましたが、基本的に強めにタスクを与えているわけではありません。身体の向きからパスコースのつくり方などそこまで丁寧に仕込んできてはいません。ピッチ内でサッカーが行われているのだから、各自が判断しろということなんですよね。これは正解でもあり、間違いでもあります。特に判断や認知に時間がかかりプレー速度が遅くなります。ある程度オートマティックに仕掛けられるよう特にビルドアップや守備といったタスクは仕込むことが一般的となっています。なんなら最近は攻撃でもそういう兆候が強く、クリエイティビティは落ちますが、スピーディな攻撃ができるのも攻撃パターンの自動化を進めているからです。ただ、こうした兆候からやや外れてやっているわけです。これがスピードダウンにつながっているのであれば、やる意味はないんですよね。特に町田戦は遅さが顕著に出た試合でした。それ以前からなんですよね。実のところ状況としては戦術レスと一緒なんです。戦術レスになるといちいち選手が判断して、選択してやらないといけないので格段に遅いのです。スピード感が大切になっている攻撃のなかでスローダウンしてしまえば相手の網はできてしまいますよね。こうなれば得点はおろかシュートまでいけないことになります。それが得点力の低さにも出ています。

じゃあ奪う位置を高くして遅さを解消すればいいじゃないかと思うわけですが、これって大木サッカーでもトライして、1年間継続できずに終わったことです。むしろ、現体制でよくこれで頑張ったと思います。昇格初年の序盤で奪う部分は崩れてましたから。ただし、奪うところも町田とやって差を感じた部分じゃないでしょうか。奪う部分は技術的に徹底すればできなくもないということなんです。町田が狙っていたのはワンタッチめの後。奪うところにも具体的にフォーカスしているんです。人数をかければなんとかなるところからの脱却。サンガとしては柱兄が就任してからある種人海戦術で生きてきたチームですから、そこからの卒業をしていかないと次の道は険しいことになりそうだなと考えています。

 

 

判断の質と速度に問題ありということなんですけど、その原因は監督だけにあるのかというのも問われる部分です。柱兄の時代を出しましたけど、2006・2010、いずれのシーズンも監督交代を行って、むしろ悪化させシーズンを終えてしまいました。いずれも原因は経験不足のコーチを昇格させるというその場凌ぎの采配を行ってしまったことにあります。というのも戦力的な不足がそもそもの低迷の要因だったということにフォーカスしないといけません。今のサンガもそれに近いなか、監督交代を行うことはむしろ悪化させる可能性もあります。

補強すればいいのかというと微妙なところで、強化ポイントはGW期間中に振り返りましたが、そこまで多くのポイントを指摘していません。要となっていた選手の機能性が低い(特に中盤)も大きな理由ですから、パフォーマンスを取り戻すことが重要になってきます。

 

 

監督交代の条件として最後にまとめておくと、この事態を確実に良化させる人材を引っ張ってくる自信があるのなら監督交代を認めるという立場です。ただし、予算にも限界があって、能力のある監督はアシスタントコーチなどを含めると1億くらいはくだらんと思うので実現可能性は低いです(おそらくは半額くらいが予算の限界だと考えられます)。監督だけでくる外国籍の方は成功した経験がないので、さらに可能性は低い。

てなわけで手近な日本人となってくるんですけど、都合のいい人材は見つからないですね。可能性があるのはサンガ同様、成績が低迷している監督がクビになって、引っ張ってこられるケースだと思います。Jで仕事が続いている方には無能もいますけど、ある程度チームビルドができる方だと考えています。チームビルドをしたうえでもう一度不足箇所はどこかというのをきちんと夏までに検証できれば残留可能性は上がると思います。ただし、チームビルド経験のない人間にこの戦力でチームを良化させることはかなり厳しいです。これを繰り返してきました。

 

 

こういうことを書くのであれば近視眼的な話ではなく、20年くらいのスパンで書かないと駄目だなと思いました。ちょうど20年前のこのタイミングが柱谷幸一GM兼監督の時代がスタートしたわけですから、そこから通底するものを見出せるまとめをしたいなと考えているんですが、分量がどれくらいになるか読めないので、準備しときます。