前回の続きです。

前回は徳島の監督交代、強化本部長の交代について扱いました。吉田達磨がサンガのOBというのは知る人ぞ知ることなんですけど、後任の強化本部長である黒部、そして強化部にはかつてサンガでもスカウトを務めていた高本が入閣するなど、サンガとの関連の深いチームでもあります。サンガといえばかつて様々な迷走を繰り返し、もはやサッカーに集中できない環境をつくり、自滅を繰り返してきたチームでもあります。その経験者が何を語れるのかは分かりませんけど、チームとして繰り返さないことを祈り、今回まとめることとしています。

今回の主要なポイントとしては選手の移動(島川の引退と西谷の契約解除)についてです。

 

 

 

現時点でのアウトとなったのはこの2人です。これで済んだという見方をしていいんじゃないでしょうか。

成績不振もさることながら、現場が分断されてしまったというのは監督交代の理由になると思います。それについてきちんと収めきれず、地元紙に報じられ、サポーターの前の態度など、チームとして対処を誤ったなと改めて思う次第です。

島川についてはなかなか去就が決まらないなかで、恩師に拾ってもらう形でこのチームに加わることとなりました。前指揮官への忠誠心が高いことは確かです。逆にそれによって、彼に対しても攻撃は間違いなくあったと考えられます。監督がいなくなったことだけでいなくなるような人間ではないですからね。島川については残る余地(悪い言い方をすると所属はするけど、試合には出さないという選択肢もあるわけで)はあったと思います。ただし、チームにおける不信感、監督交代決定のプロセスにおける問題やサポーターへの不信というのが大きかったのかなと思います。気持ちが切れたというのは耐えきれないという思いが強くなったんだと考えています。

監督の尻尾切りに成功したからといって監督だけに問題を起こしたわけではないわけです。ですので、少なくとも現場にいた増田コーチ(暫定監督)に対してもマイナスの姿勢をとってしまった可能性がある以上、西谷がいられる可能性というのはかなり低かったんじゃないかと思います。要するにチームが西谷を全面的に認めるのであれば増田コーチを暫定監督にしないという選択肢もあったわけです。監督・コーチ間が対立しているのであればこの体制でも西谷を置くこともあったでしょうし、暫定監督にそれこそチーム内にいるS級所持者(もしかするといない可能性もありますが)を据えることもできたわけです。増田体制が暫定でとられるということは、彼が新監督を据えた後でも残る可能性が高いので、西谷を残す余地はなくなったかなと思います。

西谷については栃木時代もやりたいサッカーとの方向性の違いから放出された経緯もあって、今回もサッカー観の違いというのはあったと思います。だからといって年齢や影響力を考えると適切な態度だったかというとノーなんですよね。ベテランだからチームをまとめられるとか、チームを前進させられるというのも幻想なんですよね。悪い影響をもたらすことだってあるわけです。もちろん、彼もまた長年在籍していて、影響力をもっていたことは確かですから、支持者もいますし、分からなくもないです。西谷の考えみたいなのを支持するのであればフロントがなぜ吉田達磨続投にしたのかという疑問だけが残ります。

 

 

あと、現場のバランスでいうと今季から甲本コーチ(彼も元サンガのコーチです)がトップチームから離れ、現在は療養中(肩書はユース監督だったかな)となっています。彼も美濃部に引き連れられ、Jのコーチとなり、徳島へとやってきました。美濃部が退任しても、チームに残り続けました。退任した岡田強化本部長同様、古参の人間でした。チームとしてコミュニケーションをとるうえで欠かせない人間であった可能性もあります。

 

 

さて、結論に入っていきますけど、今回アウトとなった人間のなかに古参の人間も混じっていることが大きな問題だと言えます。チームとして酸いも甘いも知りながらチームをつくり上げてきた構成員なわけです。チームを知っている、よくしたいと思い続けてきた方々です。結果的にチームを大きくするためにスペイン人監督の招聘やアトレティコマドリーとの連携など奔走してきましたが、土台が緩かったということなんでしょうか。あるいは、上を見すぎていて、足元を見てなかった可能性もあります。近年の徳島の動きを見て、うらやましいと思う人もいて、それが若手を呼び寄せる材料になっていました。ただ、私としては風呂敷広げすぎて大丈夫なのという疑問もあって、それが露呈したように思います。

岡田さんがいなくなった以上、チームとしていろいろ見つめ直しながらやらないといけませんけど、とにかく今やるべきことは現場の混乱を治めることです。黒部には最初の仕事をきちんとやってほしいですね。