強化、監督についてはより短期的なことをまとめてきましたが、経営とか運営についてのまとめをすると当然ながら長い目で見る必要性もあるので、そうした内容を盛り込んでいこうと考えています。

 

 

社長の交代について

まず、社長人事については新年早々に発表がありましたが、伊藤社長が3月31日付で退任することが決まっています。後任には京セラから飯野氏が就任することも決まっています。2019年(正確には2018年の12月)からチームの社長に就任し、チームの立て直しに尽力してきました。2代連続で成績不振や、人事介入などの責任をとる形で社長交代となったなかで、久しぶりの任期満了という形と考えていいのではないでしょうか。

チームとしてはJ1昇格はおろかJ3が見えてきたなかでの社長就任でした。この間、トップチームではJ1昇格、そして2シーズン連続での残留を果たしました。さらにチーム史上初めての30億クラブへと成長を遂げました。結果が出なくて、サッカー素人が口を出すと余計ややこしくなるというのがオーナー型クラブにありがちな迷走なんですが、現場の介入にきちんと線引きできていたんじゃないでしょうか。チームとしてもスタッフが入れ替わるなどして、Jクラブとしての当たり前がおそらくは全然できてない状況になってたと思われます。その当たり前がどれだけ近づけたかは分かりませんけど、チームとしての体をなしているというのが今の結果につながっているのではないでしょうか。

個人的な印象としてはサンガスタジアムにホームスタジアムが移ったこともあるんでしょうけど、試合前を含め、現場で伊藤社長を見る回数は多かったですね。現場にいながら、声をくみ取るみたいなこともあったんじゃないでしょうか。批判もあるようですが、個人的にはやるべきことをきちんとやったなと評価している次第です。

各スポンサーにおいてもサンガに理解がある方はおろか、サンガがあるからこそスポンサー企業でという方も一定数いらっしゃるようです。サンガのためにスポンサーになる方も増えています。新社長にはこうしたスポンサーや地域などへのサンガに対する期待を裏切らない結果、これはチームの成績を軸としながらも他の部分でも評価されることになると思います。

 

 

30億クラブからの成長

これまでを考えると悲願を目指す、あるいは達成しつつあるチームですが、成長を止めてはいけません。昨年の決算で30億の利益を達成することができました。以前であればこの数値で標準的かなと考えられてましたが、気づけばどんどんJ1クラブの資金力は上がっています。札束攻撃されたらかなわないわけです。その象徴ともいえるのが昨夏の白井の移籍でしょう。きちんと移籍金払うからとされたら抵抗しようがありません。さらなる成長が必要です。

チームの規模をいかに拡大させていくかですね。京都から世界へということに最終的にはつながっていくことになるでしょう。アプリのチェックインやダゾーンの加入の指標においてはJ1最下位という数字を先日の人気指標傾斜配分でたたき出されました。短期的にはこの数値の掘り起こしをやっていくことになるでしょう。

スポンサーについては昨年も書いた通りです。様々な力を駆使してチーム力を上げていきましょう。

 

 

観客動員について

昨季の目標1万4千には達しませんでしたが、コロナ規制も緩和されて、一昨季を上回ることとなりました。数としては1万5千人を目指すとのこと。昨季、完売となったマリノス戦でも18500人でしたから、かなり難しいですね。しかし、やっていかねばならない課題です。

同時に問われるのは単価の問題です。Jリーグでは動員の数だけではなく、単価もオープンにしています。招待を増やせばいいというわけではないんです。しかしながら、社会的な取り組みとしての招待というのはいつもやっていることなのでうまく時期を見定めてほしいですね。まず、夏場の需要の掘り起こしです。昨季を見ても夏の入りは悪かったです。あとはシーズン序盤。マッチスポンサーがつかないとスポンサー関係の動員も限られてくるので、全試合でマッチスポンサーをつけて、企業とのコラボイベントや配布物があるといきたいと思えるのではないでしょうか。

 

 

次に向けて

伊藤社長の任期においてはサッカーチームとしてあるべき方向性に導けたと思います。チームとしてどうあるべきか、他チームが当たり前としていることを模倣しつつ、サンガ、京都という地域性を活かして何ができるのか。アイデンティティを示していくことが重要になってきます。

まず、考えられることとして単純な人手を増やすということ。細かな資料はありませんけど、チームスタッフは30名ほどかと思われます。一般的なチームを想定したときに適正人数ではあるんですけど、チームをより拡大していこうと考えるのであればスタッフの増員は不可欠かなと考えています。トップチームのスタッフは当たり前のように増員されていますし、フロント部門、営業やスカウトといった見える成果が出るところで人員をきちんと割くことが重要だと考えています。

続いてはハード問題。具体的にはクラブハウスですね。これは自治体と一緒にやるべきことなので、クラブが独善的に何かをやるということはできません。しかし、施設が老朽化していることを考えるとクラブハウスを新設することは避けて通れないことです。いいハードになれば選手が集まる材料にもなりますからね。

最後にさらに地域に根差した取り組みと、世界に広がる取り組みの拡充です。前者についてはラッピングバスを地域に走らせることを紹介されていました。あとはJRの特急も通称サンガトレインが走るようになりました。できそうなことは積極的にやっていきましょう。大それたことができるわけではないと思うんですけど、地域においてサンガというものが誇りになるような動きを進めていきましょう。それと同時に市場規模を地域だけに限定していては限界が出てくるので、京都という国際都市というメリット、あとはスポンサーには世界的な企業もありますから、様々な関係性を活かして世界戦略、分かりやすい例で言うと海外クラブとの連携とかになりますけど、そうしたものを広げていっていい時期に差し掛かっているのかなと考えています。J2に定着するなかで、かつて積極的だった海外クラブとの協力関係も萎んでいったんですよね。市場の掘り起こしを様々な形でしていきたいですね。

 

 

伊藤社長についてはお疲れ様でした。何回も書きますけど。課題も残しましたが、むしろチームとして成長していくための道筋をうまく残したなという感じがあります。特に新体制記者会見を見ると、やるべきことはできたみたいな雰囲気が伝わりましたから。

飯野新社長はいろんな意味で大変な運営になると思います。方向性を少しでも誤れば、チームは一気に落ちていきます。ですから、経営者の領域、サッカー素人が踏み込むべきではない領域をしっかり見極めていく必要があります。短期的な課題としてはクラブハウスや単純なマンパワー、あとはポストチョウキジェを考えるうえでも社長がどういうスタンスで向き合うかも重要な要素かもしれません。

まだまだJ1定着への道は長いとは思いますけど、チームがさらにJ1ナイズしていくことに期待を寄せて、今回は締めることとします。