前回は1年間の戦いを時系列に追ってきました。

今回はそこから出てきたポイントをいくつかまとめていくこととします。

 

 

出入りの激しいシーズン

1シーズン振り返って改めて思うことは連勝とともにたくさんの連敗をしてきたということです。シーズン前半の6連敗を含めて、5回の連敗を喫しました。ただ、J1復帰後というより2002年以来となる3連勝もあり、4つの連勝を記録。はまればJ1の上位にも立ち向かえるという手ごたえを掴んだ一方、はまらないときはどんな相手にも勝てないという脆さも露呈しました。それは天皇杯初戦敗退にも表れていますね。

攻撃陣については出来不出来が激しいものです。実際に点のとれるストライカーは固め打ちすることが基本です。ですから得点源を複数もつことが不可欠であり、脱ウタカという点で今季一定の収穫を得られたのではないでしょうか。二桁スコアラーが2人、途中加入の原も1年間であれば二桁とっていた可能性が高く、前線の得点力は収穫となりました。

ただし、結果的に足を引っ張ったのが守備陣でしょう。キーパー事情については仕方ないです。途中で若原が長期離脱したのもありますし、クソンユンも出たり出なかったりでしたから。その穴を埋めた太田は勝ち運に恵まれました。第4キーパーの立ち位置が基本でしたが、J1でもやっていけるという自信、あとは準備力が光ったのではないでしょうか。ディフェンスラインについては不安定なシーズンになりましたね。マンツーを基本とした守りをしていますから、そこで破られると厳しいです。セットプレーで目立ちますが、クロス対応でも外したり、単純に負けたりというシーンも目立ちました。負けるのは仕方ないにせよ、簡単にやらせないという部分ができてませんね。あとは両サイドバックの基本メンバーが小柄だった前半はクロスをファーに上げられるとやられる印象をもちました。跳ね返したボールを押し込まれるシーンとか失点パターンは焼き直しが多かったですね。

守備が不安定だったということでこれだけ波のあるシーズンを過ごしてしまいました。逆に量産期があったからこそ昨季の勝ち点を上回れたんですけどね。

 

 

逃げきれない試合も増え

チョウキジェサンガの強みのひとつとして逆転負けの少なさ、終盤の失点の少なさがありました。この2つは連動しているわけですが。終盤に耐えられたからこそ逆転されないということです。リーグ戦に限っては逆転負けが2シーズンで1回(昨季のホーム柏戦)だけだったのが4月だけで2回の逆転負けを喫しました。先手をとりながらもリードを守れない試合がこの時期から増え始め、シーズン終盤のAT連続被弾というのは今季の象徴となったシーンかもしれません。

原因として考えられるのが逃げきりオプションとして3(5)バック戦術があまりうまくいかなかったことです。その点では声を出せて引き締められる本多の移籍の影響は間違いなくあったと思います。逃げきり要員として本多に給料を払えるかというのは難しい議論にはなってきますが。単純に今季のCBの布陣が少なすぎましたし、サイドの守備もクロス対応だけでなく、クロッサー対応にも課題を残しました。アウェイ札幌戦なんかは5バックにしたらこんな試合にはならなかったという意見を目にしましたけど、これも結果論であって、今季の5バックの機能性を考えると正解ではなかった可能性もあるわけです。実際、新潟戦は相手の分厚い攻めに人海戦術に出たらサンドバッグになりましたし。後ろを担える選手の選手が単純に少なかったこともありますね。CBだと4人(井上、アピアタウィア/麻田、イヨハ)と枚数不足だったのもあります。左はSB兼3バックのストッパーができる三竿がいましたが、右はそれを担うであろう飯田貴敬が構想外だったのは痛かったですね。サイドバックも陣容が限られていたので、後ろの人数の不足はやりくりも苦労しました。あとは質的な部分でいうとレギュラーとして井上・麻田で組むことが多かったんですが、単純にそれ以下の選手のパフォーマンスが不安定すぎました。チームで守るとはいえ、マンマーク志向が強いこと、あと最終ラインについては質がどんなサッカーでも求められるなかでこの陣容だと厳しかったことに尽きますね。よくこの失点数で防げたんじゃないかと思ってる次第です。

 

 

ロングボールとマンツー

サンガといえばハイプレスと思われるんですけど、間違いではないと思います。ただ、今季の戦いの基本がオールコートマンツーマンに近い形でしたね。どこまでも追っかけてくるので嫌な相手には嫌がられていました。しかしながら、逆に考えるとスペースを生むことで失点のリスクもあるのがこの戦い方です。守備のところで各々が責任をもつというやり方は一定レベルで成果があったと思います。

前進方法としてはロングボールに頼る1年でした。前線にサイズがあるのでそれを活かしたというわけですね。昨季後半からなかなかパスだけで前進できなかったので仕方ないと思います。というより、今季の編成からするとこれを踏まえてということだったんでしょう。ただ、シーズン終盤に入ると中盤の選手にボールを預けることができればロングボール一辺倒にならなくても前進できるということはできました。中盤を消されると苦しくなるんですけど。前進方法は来季も問われるところです。

 

 

これで前半は終了です。次回は課題もありますが、どちらかというと強みとして発揮した部分をピックアップしてまとめていきます。