今月いっぱいまで移籍市場が開いているので、まだまだ動きがありそうですが、いくつか今オフのポイントとなったことについてまとめていくこととします。何回かに分けてまとめる予定としています。普段であればオフシーズンにまとめていたGKの人事についても扱う予定です。今回は別のテーマですが。

今回テーマとするのはベテラン選手にとっては厳しめのオフになったということです。先日、中村太亮の引退が発表された件についてはすでにまとめました。時期を同じくして福岡を満了となった輪湖が今季限りで引退。両者ともプレースタイルは異なりますが、主戦場が左サイドバック、しかも左利き、キャリアも同期(2008年からプロキャリアをスタート)でした。年齢はネックとなりますが、左利きの希少性とかを考えれば需要があるかと思われましたが、結果的に選手としてのオファーはなし、もしくは本人が望む形ではなかったということになります。怪我で現役続行が難しいのであれば満了という形を経ずに引退を発表していたので、少なからずオファーは待っていたはずです。サンガにおいても彼らと同期、なんなら高校年代ではトッププレーヤーだった大前が今年から地域リーグでプレーすることとなりました。昨季は怪我で思うように活躍できませんでしたが、その前年は群馬で違いを見せていました。

私自身、今回ピックアップした選手とは同い年でもあります。ですので、寂しさもあって、今回、こういう形で記事にすることとしました。

 

 

基本的に技術は錆びつかないといいます。とはいえ、サッカーを続けていくうえで大切なのが戦術的な進化についていけるかです。マリノスは現代的なフットボールをやっていますけど、それこそベテランがいたときはそうでもなかったんですよ。中澤がいるとラインは下がるし、俊輔がいると攻撃のスピードが落ちてしまうということに悩まされてきました。クリエイティビティや最後のところでの強さは必要なんですけど、現代的にブラッシュアップしていくなかで足かせになってくる部分となっていました。そこに思いきった改革を実践したことで、全盛期を築こうとしています。

続いては走力の部分ですね。これは仕方ないことです。走行距離そのものは落ちなくてもスプリントの質が落ちてきますから。あと単純に強度の部分で厳しくなってきます。ベテランになればなるほど技術だったり、相手の逆をとるうまさだったりで勝負をせざるを得ないわけです。

それに加えて年俸という問題もあります。プロ契約ならできなくはないんですけど、給料を抑えるというのは難しくなっています。下方硬直性という問題ですね。下げればいいじゃないかという話にもなりますけど、選手にも生活が懸かってますからね。コロナもあってクラブとしてはどこも潤沢な経営環境をもっているわけではありません。それを考えたとき、同じ給料ならベテランか若手なら後者を雇って移籍金などで儲ける可能性に懸けた方がいいと考えるのは当然ですし、2人の若手を雇えたらそっちの方がなおさらいいですね。A契約枠25人というのはまさに契約に制限をかけようとするシステムになっているんじゃないでしょうか。

 

 

こうしたハンディを乗り越えて契約し続けるベテラン選手がいるのも事実としてあります。若手の模範になり続けられることが求められますね。真のプロというか。山瀬(現山口)なんかがまさにそんな感じがしますね。40を越えましたが、まだ現役選手としてプレーし続けています。大怪我がありながらも毎シーズンゴールを続けています。常にどこでやめるか分からない状況を覚悟しながらも契約し続けられているのは奇跡ですね。

もちろん、ピッチ以外でできる仕事はたくさんあります。サッカーを普及させるにあたって、圧倒的にスタッフの量が足りていません。スタッフは監督だけの話ではなく、経営者も営業もスクールスタッフも強化担当も。プロを経てないスタッフもいますが、プロがそのままサッカーで食っていくというケースもかなりあるので、引退してからの仕事もまた大切だと思います。

 

 

ベテラン選手にとって厳しいオフとなりましたね。それを乗り越え、まだまだやろうとする選手もいますし、次の舞台で頑張る人も出ています。どんな形であれ、サッカーに貢献する姿があればいいんじゃないでしょうか。引退する選手にとっては切り替えが難しいところではありますが。