昨年、サンガの名誉会長であった稲盛和夫氏が亡くなられました。京都にJクラブをという動きがあるなか、企業のサポートをなかなか受けられないなかで、稲盛さんのひと声が今のチームをつくったと考えても過言ではないと思います。今もなお、サンガのスポンサーを見ると京セラや稲盛さんがかかわってきた企業が多く名を連ねています。さらに注目すべきポイントとしては京都に本社を置く企業の多さです。今やJクラブは地元にとどまらず、地域を問わないスポンサーで支えられているチームが多いなか、サンガのスポンサーでネームバリューのあるところはやはり京都に根差す企業が多いです。

こうしたオール京都ともいえるスポンサー体制を築けたのもまた稲盛さんの功績でもあります。というのもサンガがJリーグに参戦するほぼ同じタイミングで京都商工会議所の会頭に就任されたのも大きかったかもしれません。とはいえ、スポンサーのサンガへの関心というのはそれぞれ距離が違っているのも事実としてあります。特に2010年代後半に私が感じたのはスポンサーにおけるサンガへの無関心が広がっているんじゃないかということなんですよね。というのも成績が低迷するなかでアクションもいまひとつということが多くありました。タイミング的には稲盛さん個人が体力的な部分でサンガに神経を注ぐということが難しくなったことも重なりました。いろんな意味でスポンサーのチェックが入ってしまうという悪い企業形態ではあるんですけど、それを経なかったことが落ちひんを生んでしまったんじゃないかと考えている身分でもあります。スポンサーのなかにはサンガへの協力を深めているところもあるので必ずしもこの指摘が正しいというわけではありません。

 

 

これまでのお付き合いが中心だったスポンサーについてですが、今後変化していく、いや変化していかねばならないポイントだと思っています。特に2020年に新スタジアムが完成したことで地域においてサンガへの関心が高まっています。これを契機にスポンサーがかなり増えているとのことです。特にスポンサーでもある京銀経由からの新規獲得が多いとのこと。こうしたスポンサーの協力はありがたいですね。各スポンサーでいろんなノウハウをもっていますから、その効果を活用することもまたクラブとしての力を上げていくことになるんじゃないでしょうか。特にサンガの営業とかチーム運営についてですが、J1のなかでも最低クラスにあると考えています。Jリーグが2010年代に大きく進化していくなか、チームが低迷し、営業どころではない状況が続きました。社員も入れ替わるなかで進化についていけなかったということですね。この10年、いや長いスパンであるべきチームにしていかねばなりません。とはいえ、サンガのクラブの内生的な部分だけでチームを進化させることは不可能だと考えています。そもそも今のチームではノウハウがあるとは思いませんし、資源もかなり限られています。とりあえず模倣ということになるんでしょうけど、それだけでなく、いかに京都だからこそできることを前面に押し出していけるかなんですよね。京都だからというポイントは京都に根差している企業さんがよくわかってらっしゃることなので、模倣したり協力関係を築いたりすることが大切です。そのためにはスポンサーの方々との関係性というのが大切になってくると考えています。

いろんなことを並行してやるべきなのは当たり前なんですが、そのなかで重点的にやるべきことは何かということなんですよね。個人的には個人のお客様を大切にするのは分かるんですが、優先事項はスポンサーに満足してもらえることだと思っています。額面が違いますからね。そこでノウハウが生み出されればという期待を抱いています。これだけでは不十分でしょうけど、まずはやってみないとということですね。

あとは経営陣に求めることとしては余計なことはするなということですね。ここ2代連続で強化に無駄に口を挟んだことでむしろチームのバランスを崩壊させてしまいました。結果を出すのはチームとしての責務ですし、そこに責任を感じるのは分かります。スポーツチームは結果が出てこそですから。結果がすべてではありません。収支バランスを無視して結果を出すとするのは間違いですから。結果を出さなければスポンサーもつかないし、営業も難しいのは分かってます。ただ、現在60ほどのJクラブがあるなかで圧倒的に優位性を築けているかと市場を見たときに、サンガがそうなったことは2010年代以降で1回もないんですよね。かといってノウハウが積み上がっているわけでもありません。そんなチームが2010年代の目標でいうとJ1昇格ですけど、その目標を達成するには運がなければかなり難しいです。監督交代やらわけの分からない編成、編成権を奪われたんじゃないかと思うくらいの迷走を続けました。次、迷走があればそのときはカテゴリが保証できなくなるという警告をせねばなりません。それくらいJリーグの環境は変わってきています。

 

 

まだまだチームとして未熟な部分が多いんですけど、着実に進化しなくてはなりません。どれくらいこのチームにノウハウが積み上がっているかは分かりません。らしさを出すということも大切ですけど、他のクラブを分析し、今何ができてないのか、そのうえで今のチームで何ができて、できないことをするには何が必要かをしっかり考えて取り組んでほしいです。

稲盛さんがいたからこそ、ここまでチームがくることができました。次の章を拓いていけるか、楽しみにしています。