最初の降格枠が決まりました。磐田は1年での降格が決まりました。2部制になって降格がなかったのが2シーズンしかなくて、ひとつは05年です。このときはサンガ、福岡、甲府が昇格しましたが、全チーム下位、サンガと福岡が降格となりました。そして、昨季。サンガと磐田が昇格し、最終節を待たずに磐田が降格決定、サンガも下位に沈んでいて、降格チームがないシーズンはいかにJ2のレベルが下がるかが分かっていただけるのではないでしょうか。

ということで、ここまでの磐田の歩みを振り返りつつ、最近のトピックやら来季以降についても考えていくこととします。

 

 

まず、磐田にとっては2度めのJ2、これも2年で通過することができました。近年、磐田の経営事情はタイトルを獲得してきた時期と比べると苦しくなっています。各チームが資金力を上げていくなか、30億円ほどで推移しています。J2ならばうらやましい限りなんですけどね。J1だと力不足だということです。この30億円の水準というのはJ1で戦う目安になっていて大宮を除いて、J2に定着しているチームがありません。その大宮も8億円の縮小を行ったため、30億円あれば金でJ2を勝てるようになってきているのはあながち間違いではなくなってきました。

さらに磐田としては債務超過の問題も抱えています。債務超過が膨らむとライセンスが失効する可能性もあるので、昇格はおろかJ3に強制降格の可能性もあるので、綱渡りで強化を行っていかねばなりません。

昇格を果たしたものの、明るい未来を見通せたかというと難しかったのが磐田の実情だと思います。

昨季、昇格に導いた鈴木政一監督はサッカーの原理原則を徹底するという戦いをしてきました。ベテランの多いチームにとって余計なことをしなくていいという強みに変えることができました。特に昨季の磐田はゲーム終盤に強く、終盤に得点して勝ち点を積み上げる試合も多かったです。昨季、J1で躍進した神戸、J2昇格を果たした岩手もどちらかというと戦術家ではない指揮官のもと、サッカーの基本に立ち返った戦い方をして躍進したシーズンでもありました。ただ、磐田としては鈴木氏がシーズン終盤、体調不良によりチームを離れ、そのまま退任となってしまいました。ですので、前シーズンの勢いを今季でも活かすことができなくなりました。そこで磐田に与えられた選択肢は内部昇格を含めた継続か、それとも組織サッカーの構築か。実のところ、磐田は鈴木氏の前はフベロ氏のもと、ポジショナルサッカーにも取り組んでいて、それで短期的な結果を残すのは不可能とみて、路線変更したことがあります。ですので、組織サッカーへの憧れみたいなのはもっていました。選んだのは甲府でポジショナルサッカーをしていた伊藤彰前監督ということになりました。

ただ、この路線転換はベテランを中心に戸惑いを見せてしまい、結果としては失敗に終わりました。サンガを見て経験したのはベテランより、若い選手の方が理解力があって、組織サッカーをやるにはベテラン中心だといろいろきついということです。戦術の浸透も進まず、シーズンが経過していくだけ。

8月についに監督交代という決断をします。ただ、ここも拙かったです。というのも大敗を喫して、明らかに感情的な監督交代だったからです。監督交代にも準備をしてからじゃないと厳しいでしょう。さらに市場も閉まったタイミングであり、補強もままならない状態での新体制でした。ただでさえルキアンの抜けたCF問題を解決する手立てもないままでシーズン終盤。泥沼が予想されました。

そんな厳しい予想に反して、終盤まで粘りましたよ。首位のマリノスに勝つなど、延命を行ってきましたが、ブービーガンバとの直接対決で沈み、降格が決まりました。

 

 

原因としてはポジショナルサッカーへの転換と、それに順応できる戦力を準備できなかったこと、CFルキアンの穴を埋められなかったことに尽きるでしょう。資金的な問題もありますし、難しかったとは思いますが、J1で戦うには準備が不足していました。

さらにチームに追い打ちをかけるかのように浮上してきたのがファビアンゴンザレス(ラッソ)の二重契約による制裁です。タイのクラブと二重契約がなされ、それを確認せぬままプレーさせたということで2回の市場で移籍禁止、および新加入についてはアカデミーも含まれています。同様のケースでこれまでも同レベルの制裁を食らっていることから、磐田の制裁を覆すことはかなり難しそうです。現地では加入の段階から二重契約との噂があったようで、確認不足という瑕疵があるのではないかと考える部分ではあります。

ただ、上訴期間があるので、この間は移籍可能となるでしょうけど、次、その次にアウトになる可能性が高いので、補強は難しくなるでしょう。こうしたことから来季の強化はかなり制約を受けそうです。今オフを逃れたとしても、次のオフで補強できないことを考えると選手をできる限り複数年で囲わないといけませんし、新卒選手の獲得準備も早めに行っていかないといけません。

資金力不足もありますが、細かい部分での詰めの甘さとかが近年の磐田の低迷の象徴かもしれません。まずは現場ではなく、クラブという大きな単位で見直すべきところがあるのかもしれません。他人事ではないんですけど。

 

 

磐田の降格と今後の厳しさまでまとめてきました。世代交代を含めて、しっかりとしたチームづくりをしていくことが大切だと思ってます。もしかすると泥沼にはまるのではないかという危機もあると思いますが、ここを乗り越えて、もう一度J1で戦いきるチームをつくっていかねばなりません。クラブ単位でしっかり取り組めるかですね。