今回で1部リーグについては最後となる。
今回は昇格した2チームを扱う。
愛媛ＦＣレディース
out 西村 山根
in 松永 平塚 呉屋 大矢円
昨季は混戦となった2部リーグを最終節までもつれたが制し、初めての昇格を決めた。今年3月で閉校となった環太平洋大学短期大学部を母体とするチームであるが、最近は神村学園出身者を中心に様々なところから選手を集めている。初めての1部リーグでいかに戦っていくか。
メンバーの入れ替えとしてはベテランの西村が退団。替わって補強した選手の目的は明確で2人しかおらず、ベンチ枠を埋めることが少なかったキーパーの補強、そして長身のフィールドプレーヤーを多く獲得することでクロスボールやセットプレーなどパワーに対応していくこと。
陣形は昨季同様4－1－4－1を予想。メンバー表記については昨季最終節の布陣をそのまま採用し、カッコづけで主に新加入選手を表記した。フィールドプレーヤーで160センチ以上の選手が前線にいる大矢歩と上野、筬島の3人であることが多かったので、新加入選手もどんどんメンバー入りしてくるだろう。
2部リーグ時代には5レーンを採用した攻撃的サッカーを展開してきた。技術を重視するがゆえにサイズのある選手が少ないなか、技術がどれだけ通用するか。2部リーグはプレスサッカーをするチームが多いなか、それをかいくぐってきた。とはいえ、プレス強度は上がってくるわけで、未知数な部分が多い。しかも、昨季の皇后杯やプレシーズンのＴＭを見ても不安要素が多いなかで、どんなサッカーを展開するか。
鍵となる選手は守備面は大矢円佳、攻撃面は山口を挙げる。大矢円佳はジェフではなかなか出場機会に恵まれなかったが、サイズがあってチームに新たな力をもたらす存在になるのではないか。山口は昨季2部リーグで新人賞を獲得。代表経験のある2人に隠れがちだが、一昨季から昨季においていちばん変化があったのが彼女の存在の大きさ。ボールをもつスタイルにおいてドリブルによるリズム変化は不可欠で、そうした役割を担う。もちろん、フィニッシュにも絡んでくる。
セレッソ大阪堺レディース
out
in 岩本（新卒）
怪我人多発であまりエンジンがかからなかったシーズンとなったが、最終盤で追い込み、入替戦→昇格を決めた。一発勝負を多く経験している選手が多いのも、カップ戦や入替戦への強さを生み出しているのかもしれない。
基本的にオールアカデミー方式を採用していることもあり、大きな入れ替えはなし。下部組織化した大阪学芸から岩本が新加入。今後、こういう流れも出てくるという予兆だろうが、現時点で純粋たる補強は行わない模様。なでしこリーグの他チームでプレーするのも松原志歩だけなので、移出もなさげ。
基本的に昨季の4－4－2を踏襲。ＣＢは3人が軸、左サイドも後半戦から昇格した小山とＵ－20Ｗ杯出場経験のある北村が入る。ボランチの2人もほぼ固定。逆に考えると主力とサブの質に課題ありと考えた方がいいかもしれない。トップはバリエーションはあるが、それなりの質に期待できそうだ。一方で流動的なのが右サイド。いろんな組み合わせを試し、昨季終盤はこの2人で固まった。あと、ジョーカーとしての百濃。怪我人の復帰があればもう少し層が厚くなるが、決め手に欠けるポジションといえる。ＧＫについてはＴＭを見る限り福永以外出ておらず、そもそもガールズ・アカデミーを含めて稼働しているキーパーがかなり少なく、これ以上怪我人が出るといよいよ宝田ＧＫの発動をせざるを得ないことになるかもしれない。
鍵となるのは林と宝田。林を守備的な選手とみなすのは微妙だが。両者とも昨年なでしこジャパンに初めて招集され、試合にも出場した。林はチームキャプテンを含め、心臓となる選手。攻守ともオールラウンダータイプ。入替戦、カップ戦でも勝負を決めるゴールを決めていて、勝負強さをもっている。ただ、彼女が守備に奔走されるようだと厳しい状況となる。そして宝田はサイズと身体能力の高さを活かしたプレーが特徴。バニーズ戦では3戦のうち2試合でハットトリックと大爆発。彼女の得点能力が発揮されれば攻撃はめどがつく。一方でもともとＧＫでもセレクション合格していたのでＧＫはもちろん、Ｕ－17時代ではボランチ、一昨季はＣＢとセンターラインは一通り経験してきたが、前で固定できない状況になるようだとチーム情勢は厳しくなる。
大幅なプラスを植えつけて昇格したとはいえず、今季も厳しい戦いが予想される。攻撃では面白い選手がいるのだが、後ろが弱いとこうも戦えなくなる典型例というか（まあお隣のなでしこのチームも同じのような気もするが）。勝てるチームとして何らかの形跡を見せていきたいところ。
もっと分量少なくなると思ったが、意外と書けた。昨季見てきただけに期待したいという心の現れだと思う。とりあえず1部リーグの分析は終える。2部についてはどうするかを含め、検討中。