年の暮れに翌年のカレンダーが来ると、まずやること。
それは祝日の確認だった。
祝日が日曜の前後であればニコニコもの、それが月曜であれば、さらに喜びはおおきい。
そのかわり祝日と日曜がかさなっていれば、それに倍して落胆は激しい。
問題はゴールデンウィークだった。
昭和の時代は4月29日が天皇誕生日、5月3日が憲法記念日、5日がこどもの日。
どこに日曜日がはさまるか、またはかさなるか、カレンダーの5月をまっ先に見たものだった。
あのころ10日ほどだった祝日が、今は15日。
かつ土曜日も休日なのだから、祝日のありがたみもずいぶん薄れたことだろう。
年中無休で働く両親だったので、こどもの日と言っても特に出かけることもなかったが、母がかしわ餅をつくるのを手伝うことは楽しかった。
米粉の生地をのばしてブリキ缶のフタで型を抜く。
ムダが出ないようにくり抜くのが私の役目。
あれは何故か楽しかった。
家の裏にカシワの木が一本あって葉はそこから調達していた。
昔は甘い物が少なかったのか、ずいぶん大量にかしわ餅をつくった記憶がある。
和紙の鯉のぼり、菖蒲の葉の香り、カシワの木も今はなく、やはり昭和は遠くなった。