町に一軒の本屋は定期購読だと月刊誌を配達してくれた。

小学校の低学年のころ、少年向けの月刊誌で「日の丸」と「ぼくら」というのがあった。

私が「日の丸」で、兄が「ぼくら」を読んでいた。

お互いにまわし読みするから、どちらのと言うこともないのだが、自分のテリトリーを誇りたい気分があって、互いに自分の雑誌のほうが面白いと言い張るのだった。


たぶん講談社と小学館の雑誌だったのだと思う。

何故かといえば、やがてそれらの月刊誌が廃刊になり、その跡目を継ぐように講談社から「少年マガジン」、小学館から「少年サンデー」、ふたつの少年向け週刊誌が創刊されたからだ。

それは同時だったように記憶しているのだが、よく覚えてはいない。


正直、「日の丸」の内容はあまり記憶にない。

それは活字が媒体の主体だったせいなのだと思う。

まだ幼くて活字で感動することができなかったのだと思うのだ。


しかし「少年マガジン」と「少年サンデー」は漫画が主体だったから非常に飲み込み易かった。

そしてまたしても私と兄の雑誌に関するライバル関係が続いたのだった。

私が「マガジン」兄が「サンデー」。


マガジンの主筆はなんといっても「ちばてつや」だった。

魔球をあやつる野球少年の物語に始まり「紫雷改の鷹」「あしたのジョー」と続いて私たちを熱狂させてくれた。

「巨人の星」もマガジンだった。大リーグ養成ギブスを装着した星飛雄馬にみんな目を丸くしたけれど、今思うと「大リーガー養成ギブス」がほんとうじゃないだろうか。

矢吹ジョーのクロスカウンターパンチとか、とにかくマンガって荒唐無稽なお話ばかりなんだけど、これがまた文句なく面白かった。

サンデーの「おそ松くん」のナンセンスも面白かったが、その中の脇役ちび太のキャラクターが特に好きだった。

貧しい家の子だけど反骨心旺盛、そんなキャラ。

「おばQ」「伊賀の影丸」「少年ケニヤ」みんな面白かった。