夕闇の迫った外は霏々として雪が降り続いている。
いつまで降り続けるつもりなのか、山間部の積雪量は既に10cmを超えているという。
明日はついにシイタケ原木の納品の約束を反古にすることになるだろう。
約束を必ず実行することを自分の身上としているだけに残念だ。
子供の頃、雪が降ると無条件に嬉しかった。
校庭が雪で真っ白な日、体育の時間は雪合戦。
家に帰れば裏山の山道でソリすべりということになる。
ソリは各自の自作だ。
親に作ってもらう子もいたが私は工作が好きなくらいだったから断然自作派だった。
板を二枚、船を横から見た様な形に削り、それを横木でつなぎ合わせる。
横木の後ろの方は座面になり、先端のちょっと長い部分は足をかける為のもの。
滑走面には竹を貼り付ける。
青竹を板の幅に裂き面取りをする。
節のでこぼこはカンナで平らに削り板のカーブに合わせて貼り付けるのだが、ここで少し火の力を借りねばならない。
焚き火をし、竹の曲げる部分を火であぶる。
あぶり過ぎないように注意して静かに曲げて形が決まったら水で冷やす。
キリで竹に穴をあけクギでとめれば出来上がりだ。
滑るのももちろん楽しいが、こんな事の方が記憶に鮮明。
そんな子供だった。