黄色い花2019年4月1日午前、新元号である『令和』が菅官房長官から発表された黄色い花

新しい元号が何になるかは祖母とも色々話して想像を巡らせた事を覚えている。
祖母は真剣な顔で『こういうのはもう何案か出ていて、だいたいは決まっとるんや!』等ともっともらしい事をドヤ顔で言ってみせた。
そんな祖母は『令和』を知ることなく『昭和』・『平成』と生き、旅立っていった星空


この頃母は毎週の様に病院通いをしていて、私も母に付き添って一緒に病院に行った🏥

外科、放射線科、脳外科、ケモ室。

それぞれが違う日だったりして、一週間に2、3回行く事もあった車実家から一番近い一番大きな病院だ🏥

この大きな病院はいつも患者さんで溢れていて予約を取っていてもかなり待たされ最後に会計をして山のような薬を貰う頃には毎回クタクタになった。
普通に暮らしていたら気付かない事だが、世の中には病気で苦しんでいる人がこんなにいるんだ、、、と胸が苦しくなる。

病院の待合い室にいる人達は皆だいたい静かに俯いて順番を待っている。
具合が悪そうに横たわっている人、痛みに耐えている人、不安な顔や泣きそうな顔をしている人。そんな人ばかりだ。

でも、この日は違った。

皆が一様にテレビに目を向け、隣の人と声を掛け合って新元号の発表を待った。

『新しい元号は『令和』であります!!

この時のあの待合い室のパッと明るく華やいだ雰囲気を忘れる事は出来ない。
皆が口々に『令和』と発音し、テレビの音が聞こえなそうな所にいる人に急いで教えてあげに行ったり、近くにいる人と笑いあったりした。

私はあの瞬間、母と外科の待合い室にいた。

先が見えている、恐ろしい運命の中にいた。

だけどその一瞬、恐怖を忘れ、まだ母の病気が見つかっていなかった昔に戻り母の手を取り昔の様に心から笑いあって新しい時代の風を全身に感じた。母は『いい時代になるとええな』とにっこり笑った。

母の病気の事を忘れられたのはあの瞬間だけだ。


私は一生、忘れない。令和と聞く度思い出す。

『令和』と発表されたあの瞬間、お母さんと一緒にいた事を。


『令和』少しでも長くお母さんと一緒に過ごしたいよ。



下矢印不忍池に蓮を見に行ってきました照れ
今がちょうど盛りで大きくて美しい花がたくさん見られます。早朝、ポンッと音がして開き、午後には閉じてしまう。
それを3日位繰り返したら、おわりを迎えるそうですブーケ2儚くも、美しいブーケ2