ひとりぼっち。しかし私には心地よかった。便器に腰掛け、膝の上にお弁当を広げる。お母さん、卵焼き入れてくれたんだ。私一番の好物。嬉しいなぁ。一口食べた。ダシが効いていて美味しい。
外では遠くの方で、ガヤガヤと雑音が聴こえる。甲高い笑い声が、いかにも楽しんでいるのが分かり気に触る。だめだ。お弁当に集中しないと。
ご飯の上にはゆかりがふってある。白米にゆかりのピンクが染みて、弁当全体の可愛さを底上げしているように見えた。赤いウインナー、茹でられたブロッコリー。デザートも入っていた、最後に食べた可愛くカットされた梨。すごく美味しかった。
突如として稲妻が走ったかのように、同じクラスのA子ちゃんとB子ちゃんの甲高い笑い声がトイレに響く。持っていた箸を強く握りしめた。
「そういえばあのブス、どこでご飯食べてるんだろね」
「クラスに居場所なんてないんだから……、もしかしたらトイレ、かも」
まさか、それはないよ。二人はケタケタ笑う。トイレに行くこともなく、しばらくすると出て行った。
私は無心でしばらく弁当箱を見つめていた。ここは楽園じゃない。無人島でもなかった。遠くの方で授業開始のチャイムが聞こえた、ような気がした。