2020年1月
夫から離婚届が郵送されてきたが、『はい、そうですか』とサインをして送り返すつもりはサラサラなかった
私たちは離婚にあたっての取り決めを、まだ何も行っていなかったのだから。
『働いている限りお金は払いますよ』
と夫は言ったが、どのくらいもらえばいいものなのだろう?
そして、私たちのような熟年離婚であれば、退職金の山分けや年金分割、といった話も出てくるのが普通かもしれない
でも私はそのどちらも受け取るつもりはなかった。何故なら老後の私はちょっとリッチになる予定だからだ
10年前、私の父が亡くなり結構な額の遺産を手にした。
私はそのお金を元手にして不動産投資を始めたのだ。
東京都内に単身用マンションを買い、1件2件と増やしていった。
そして今の私は5件のマンションのオーナーとなった
もちろん、今はまだまだローンの支払いがある。
入ってくる家賃の大半は支払いに消えてしまうので、旨みはないに等しい。
けれど元々このマンションは老後のために買ったもの。
仕事を辞めて年金生活に入ったとき、プラスαの収入があればいいなと思ったのだ。
だから今はそれでいい。
今の会社に65まで勤めたら、その後は家賃収入で悠々自適、というのが私の明るい老後計画
なので65でローンが完済するようにちゃんと計画を練っている。
最初の1件目のマンションを買ったとき、私と夫はまだ仲がよかった。
2人でちょっと豊かな老後を過ごすため、夢を膨らませながらおっかなびっくり、投資を始めてみた
1件目は現金で買ったので、入ってくる家賃収入はそのままどんどん膨らんでいった。
それに味を占め2件目3件目…
ローンは組んだけど、入ってくる家賃から支払うので腹は何も痛まない。
そしてこの10年、家賃が途絶えたのは1ヶ月もない
人口減少時代に入ったけれど、東京の人口はまだ増え続けている。
東京都心部では今後20年は、まだ減少には転じないと言われているので、単身用マンションの需要はまだまだありそうだ
そして都心のマンションは、古くなっても家賃が下がらないのが特徴だ。
アラ還で離婚する私にとって、頼れるのはお金だけ。
5件のマンションの家賃収入と私の年金があれば、一世帯の平均の年収額をはるかに上回る。
36まで独身で正社員として働いていた私の年金は、同世代の女性の平均よりは高いはずだし。
うん
これだけあればちょっとリッチな老後が過ごせそうだ
さて、このお金をどう使おうか。
ひとりでフラッと旅に出たいな
行きたくなったときに行きたい場所へ
時には娘や友だちを誘って
街歩きも好きな私。
近場でもまだ行ったことのないところはたくさんある。
誰にも何も言われずに、自分の時間を自分のためだけに使うんだ。
それにはお金が必要だもんね
そのために今は繰上げ返済も行なっているので、決して余裕があるわけではない。
でもこれからは一年ごとに楽になっていくことだろう。娘もやっと社会人になる
『働いている限りお金は払いますよ』
と言う夫に、老後は逆に私がお金を払うことになるかもしれない
でも
本当は本当は、お金なんてそんなになくたっていいんだ。
夫がいてくれればそれだけでね
夫の両親のように、毎朝2人でお散歩に行って、
3食一緒にご飯を食べて
旅行は年に一度でもいい
何があるわけでもない毎日
でも、おじいさんとおばあさんになっても手を繋いで歩くような夫婦でいられたら
それだけで幸せなんじゃないかなぁ…