モロッコの春のピクニックのお料理。アマル先生のレッスン。 | ルワンダのおうちから。

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ロンドン→半年の東南アジア放浪旅→プラハ→またまた旅→ハーグ→インドネシア周遊→タシュケント→キガリ、と海外生活10年弱を終えて、2011年、東京に帰って来ました。毎日のお料理と、ぷつぷつの思いの記録。


再び、モロッカン・キュイジーヌのレッスンの日。
今度は、また違う先生に習う。
あいにくの雨模様の中、アーティストのお友達、ふみえちゃんとアマル先生のレッスンへ。
アマル先生は、ファス生まれのモロッコの方だけれども、フランス生活も長く、ご主人もフランスの方。
そして、そのお宅は、日本の古いものと、エキゾチックなマグレブのテイストがミックスされた、とても洗練された空間。
それに私は、すっかりと魅了される。

もうすでに、テーブル・セッティングは整えられていて、こんな素敵な空間が広がっている。
うつくしい、モロッコのコセマ(たぶん)の磁器がセッティングされていて、独特なエキゾチックな雰囲気を醸し出している。

アマル先生は、とてもチャーミングで、かわいらしいお大きな目をくるくるさせて、私達には英語で話してくださる(きっとアラビア語もフランス語も理解されるのでしょう)。ウェルカム・ドリンクは、特製のレモネードと、コーヒーと、どちらがいい?と聞かれるので、迷わずレモネードに。

この作り方がまた興味深い。
レモン4個をざくざくと刻んで、15分煮込んで、皮ごとハンドブレンダーで滑らかに撹拌してしまう。
それをシフターで濾して、そのパルプを少しリンスするように、お水を足して大体3リットルぐらいにする。そこに200gのお砂糖を加えて、氷を入れて、とくべつなレモネードの出来上がり。
皮の苦味も感じられなくて、酸味もまろやかで、それでいて皮の鮮やかな風味が加わって、とても華やか。
モロッコの人は、本当にレモンの使い方が上手だと思う。

それから、アマル先生もくるくると魔法みたいにお料理を進める。

最初のお料理は、モロッコのそら豆のコリアンダーのおかず、Faul m'shermel。
昨日のマリカ先生も、似たようなお料理を作ったけれど、アマル先生のは、モロッコのチリ・ペースト、アリッサソースが入るのと、シトロン・コンフィを加えるところが少しだけ違う。
それぞれの家庭の、それぞれの味を習えるところが、何より楽しい。

そら豆は、やっぱり中の薄皮ごと煮込む。
柔らかなスパイスとコリアンダー、パセリで、30分位煮込むと、あの薄皮も柔らかくなって、食べるときには全然気にならない。かえってフレイバーが強くなって、おいしい気がする。

次のメニューは、モロッコ風のラタトゥイユ、Touktouka。これもさっきのそら豆と似たようなスパイスを使うのだけれど、全く違った味わいに仕上がるから、楽しみにしていて、とアマル先生が言う。
みんなで、野菜(ズッキーニや茄子、トマトなど)を刻む。
また、生徒の皆さんも、多彩なバックグラウンドで、プロのピアニストの方や、記者の方、数学者の方や翻訳家の方など様々。そんなお話もとても楽しくて、それに今日は英語なので(ロシア語よりも)精神的にずいぶんと気楽だ。特に意識しなくても、話せる外国語というのはとても安心する。


印象的だったのは、アマル先生の玉葱のみじん切りの仕方。まな板を使わないの!器用に空中で玉ねぎに切込みを入れて、刻んでゆく。ちょうど、タイのイサーンの女の子たちが器用にグリーン・パパイヤを刻んでゆくように。

あっという間に、お鍋はこんなふう。


スパイスも、アマル先生はぱぱっと目分量で、ぴたりと味を決める。
それが家庭料理だなあ、と私は思って眺める。
こつは、トマトを最初と後からと、2回に分けて加えること。野菜がくったりしんなりとするまで、よく煮込む。


それから、メインは、Brochettes de kefta。牛ひき肉の、モロッコ風のケフタ。
これにもたくさんスパイスが入る。
Ras el hanoutという、ちょっとカレーみたいなミックススパイスを使うのだけれど、それを売っているお店とか、その他のアリッサ・ソースだとかオレンジブロッサムウォーターだとか、マグレブのいろいろな食料品を売っているお店を教えてもらう。
なんだか世界が広がるみたいで、とても楽しい。


ケフタは、こんなふうに成形。
本当は炭火で焼いても良いのだそうだけれど、今日はオーヴンで。
スパイスの良い香りが、一面に漂う。

ここまで、どんどんあっという間に出来てしまって、残すはデザート。
Ghoriba a la noix decoco、セモリナ粉とココナッツの柔らかなクッキーのようなお菓子。
これもどんどん混ぜてゆくだけで、とても簡単。
アマル先生は、みんながおうちに帰っても、簡単に再現できるようなレシピ作りを、何より心がけているの、と言う。そしてそのベースになっているのは、お祖母様やお母様から、代々受け継がれてきた、家庭の味。


こんなふうに成形をして、後はオーブンへ。

その間に、食卓はすっかり整って、素敵なワインも開けて頂いて、楽しい昼食会に。


先生のお嫁入り道具だという、食器のセットはとても素敵。
テーブルコーディネートは、グリーンに、オレンジをアクセントに、春の装い。


まずは、サラダとそら豆のおかずを前菜にいただく。
バゲット(メゾン・カイザーのものとのこと)がつくのが、なんともフレンチモダンをミックスしたアマル先生らしい感じ。


そら豆のお料理には、追加でアリッサ・ソースをたっぷりと。
癖になる味だよね、とみんなで話す。
ほんとうに今日のメニューは、お花見やピクニックで、太陽の下でいただくのにぴったりなお料理。


メインも焼きあがって、モロッコ風ラタトゥイユ、トゥクトゥカと一緒にいただく。
スパイスは効いているのだけれど、マイルドで優しい味。
モロッコ料理の特徴がここにある。

お花見の計画や、楽しいおしゃべりもたっぷり楽しんで、ゆっくり食事をいただく。
この時間もとても楽しい。


そしてデザート。


焼き上がりはこんなふう。
セモリナ粉のおかげか、ふんわりと軽くて、ココナッツのさくさくがとてもおいしい。
ごまやアーモンド、小麦粉だけ、いろいろなヴァージョンがあるんだよ、とアラビア語のお料理の本を見せながら、アマル先生が説明してくださる。

楽しい時間はあっという間に過ぎて、おいとまの時間。
来月のクラス(フレンチのビストロ風のお料理)も予約して、うきうき。

皆さんと連絡先の交換をしたり、お別れを言って、小降りになった雨の中を家路へ。

帰り道、最寄りの駅でふみえちゃんとお茶をする。
ふみえちゃんの、クリエイティブな想像力や、お写真が常々大好きだった私。
こんなご縁でお誘いをして、ふみえちゃんとも近くなれたのが、何よりうれしい。
年齢も近いせいか、いろいろな生きてゆくことで感じること、を話すことができて、そんな時間はとても貴重だ。

アマル先生の、来月のクラスもご一緒する予定なので、とても楽しみ。

モロッコ料理、楽しいな。