ネットでもリアルでもよく聞く点検業者の機能点検の未実施、不正や偽装を正当化する説明
・蓄圧式は機能点検ができない。
・消防署も理解しているので、機能点検は実施しなくてよい(暗黙の了解がある)。
今日はこれについての解説をする。
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点検業者「蓄圧式は機能点検ができないので、しなくていいんです。」
設備管理担当者「できないなら、ヨソに頼む。あんたの持っている資格はホンモノか?」
点検業者「本物です。消防署もしなくていいって言っているんです。」
設備管理担当者「ウソを付くな。こんなもんが10年、外観点検だけで使えるはずないだろ。消火器がどんなときに使うものか分かって言っているのか?ここの利用者の安全を何だと思っているんだ。もう来るな(取引停止の意味)。」
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これが機械の分野で仕事する人の普通の反応である。
法定点検資格者が「点検できない」なんて十分に「あやしい」。
また、「できない」から「しなくてよい」では、まるで「ガキの使い」である。
まともな社会人であれば「〇〇は難しいので△△がよいですよ」と代案を出すものである。
機能点検ができない理由を詳しく聞くと、できないのは点検ではなく再充填の作業が消火器を持ち帰らないとできないと言う。
再充填のためのガスボンベ、漏れ試験の道具を持ってくるのが大変と。
機能点検のみであれば現地でできる。
消火器は持ち運べるのだから、代わりを置いて持って帰って機能点検して、終わったらまた持って来て交換すればよい。
それが手間だと言うのなら、機能点検した消火器は点検後廃棄、その分の新品を補充すればよい。
せっかく点検した消火器をなぜ廃棄???
機能点検は10%の抜き取り検査だから。
・10%の本数を抜き取り検査して合格ならば、全体を合格にする。
・抜き取ったのもに不良があれば全数検査をする。
・抜き取り検査(抜き取り方式)
品質管理の代表的な方式。ほぼ同じ条件で製造された品物の一仕切り(ロット)を対象とし、その一部を無作為に抜き取って検査し、その結果から推測統計学を応用して仕切り全体の合格、不合格を決定する。全数検査が適当でない場合や、検査をすれば品物が破壊される場合などに利用する。日本工業規格JIS、国際規格ISOに規格がある。
・全数検査が適当でない場合
→消火器は数が多いことがあるから、10%の抜き取り検査
・検査をすれば品物が破壊される場合
→蓄圧式は再充填の現地作業が難しいから点検で破壊したと扱い、廃棄してもよい
「できない」ではなくて、「抜き取り検査」のルールに則って「できる」ようになっている。
点検要領には再充填は規定されていないので、点検後、抜き取った10%の消火器は再充填しても、廃棄してもどちらでもよい。
点検業者は単に知識がないのか、「面倒」だから「したくない」、「したくない」から「できない」と説明しているか、そのどちらかである。
「抜き取り検査」は料理のときの味見と同じ。
一部を味見して問題なければ全体を合格にする、問題があれば全体を不合格にする。
味見した分が減るのを誰も問題にしない。
一般市民が「普通にやっている」ことを、法定点検資格者である点検業者が「できない」と説明している。
「抜き取り検査」は食品、工業製品、建築など様々なところで使用されている。
「抜き取り検査」を否定したら、スーパーに行っても買えるものがなくなる。
6年目からの機能点検をして再充填しても、11年目には耐圧試験になる(買い替えになる)。
機能点検をした分は廃棄し、その分の新品を補充する方が5年は外観点検のみで使用できるし、再充填したものより新品の方が信頼性が高いという利点がある。
費用は「消火器を買うから、機能点検はサービスでやって」と交渉してみる。
ただし、機能点検に対応できる業者が少ないのが実態のようである。
言わばペーパードライバーの点検業者がまともな点検作業ができるかどうかの問題があり、「機能点検をしたことがない」と言われたら、ヨソの業者を探すか全数交換となる。
・蓄圧式は加圧式より破裂事故が少なく安全性が高い。
・その代わりに、蓄圧式は加圧式より点検が難しいため点検費用、交換費用が増える。
ただ、それだけのことである。
「蓄圧式消火器の機能点検フェイクの真実」はこちら。
今までの記事のまとめ「ダイジェスト」はこちら。