めっちゃびっくりした!え?何?ブログ2ヶ月放置してたん?まじで?
自分の非生産に驚きです。会社でもやる気を出さず、私生活でもやる気を出さずって生ける屍じゃないですか。
最近ちょこっと小説なるものを書いてみてます。というか書きなおしてみました。
小説読むの好きなんですけどそれってインプットなんですよね。
アウトプットしたいんですよ。歌うとか、絵を描くとかとか。
というわけで選んだのが小説なんですよね。
書いてみたはいいけれど、直前に読んだのがライトノベルなので文体がライトノベルです。うごご。
_/_/_/_/_/_/
いつだってここにいるって気付かせるのは声だ。
「マイさー何か今日ぼーっとしてない?」
名前を呼ばれてハッとした。手元には空になりそうなお弁当。目の前には出来たばかりの友達が二人。いつから考え事していたんだろう。
「やー昨日小説ずっと読んでいてね。現国からもうつらいつらい。眠たいし続きが気になるしでさー。」
大丈夫。いつも通り言えた。人の話を聞いてないことなんて日常茶飯事だ。いい加減直したい。
「なになにマイって本好きなの?じゃあ図書局入るん?」
「本好きだと図書局なの?でも図書局は気になるけどどうかなぁ?雰囲気によるかなぁ?でも何かには入りたいとは思うよー。ヒナは何か決めた?ユナは楽部だっけ?」
「楽部ねー迷ってるんだー。」
ヒナより先にユナが間延びした声で答えた。
「あれ?そうなの?」
「うん。中学の時はコンクールへゴー!って感じで昼休みも放課後も部室にゴー!してたんだけどねー。一週間何にもしないでこうしてお昼ご飯のんびり食べてたらこういうのもいいなって。でも迷ってる。」
「そかー。んーそろそろ決めないとヤバイじゃないん?見学行ったん?」
「ううん。行ってない。」
「あー・・・そーなん。ってマイなんでニヤニヤしてるん?」
あら。顔に出ていたんだ。
「ユナが迷う気持ちわかるなと思ってね。私こうして二人とご飯食べれてのんびりした昼休み好きだよ。でも見学ぐらい行った方がいいんじゃない?見学なんだし気軽に行ってみたら?一人で行きにくかったら私も行くよ?」
「あ!私も行っていいよ!私は帰宅部って決めてるからさ!」
ヒナがケラケラ笑いながら言う。注意されない程度に茶色くてゆるくパーマがかかったボブカット。小さくて可愛い耳にはピアスの穴がチラッと見える。放課後になったらすぐピアスをつけるのかもしれない。オレンジのチークが似合うヒナは今どきって感じで中学までの私なら怖くて近寄らない見た目の人。改めてこうしてご飯を一緒に食べていることが不思議。ヒナから声をかけてくれなかったらご飯を食べる間柄にはならなかったと思う。
「そういえばね。図書室の噂聞いたよ。」
「噂聞くの早っ。ユナどっから仕入れたの?」
「中学の時の友達。その子も楽部だからさ。」
私のクラスはまだ席替えをしていないので出席番号順に座っている。私「瀬尾真衣香」の後ろが「高宮優那」だった。入学式が始まる前にクラスに入り先に座っていた優那に社交辞令として「よろしくね」って笑って声をかけたらボソッと「よろしく」と返され出鼻をくじかれた。その後やたら明るいオーラを身にまとったヒナが教室に入ってきたので二人して視線がそっちにいって優那との会話とファーストコンタクトは終わった。あぁ。後ろの席と友達になれそうにない。やばい。どうしよう。と考えていたら入学式が終わりクラスに戻っていた。また考えていて周りの音が入って来なかったことに後悔しつつ、自分の席に座ろうと思い椅子を引いた時、セーラー服を後ろに引っ張られてたたらを踏んだ。何事かと思い振り返ると頬を染めて「あの・・・私人見知りで緊張しいであの・・・ごめん。ほんとよろしく・・・」と言った優那はとても可愛くて大丈夫だよって抱きしめたくなった。不安だった気持ちは綺麗さっぱり消えて漠然と高校生活は楽しくなるとその瞬間確信した。
「ほうっ。」
肩が・・・!肩をどつかれた・・・!
「マイさー。また何か考えてたでしょ?」
「うっ。ごめん。その通りです。でもだからって肩どつくこと無いじゃん・・・。何で肩。」
「優那が真衣に声かけてるのに返事しないのが悪いんよ。」
「真衣香は面白いね。でも私の話を聞かなかった罰として図書室に行って様子を私達に報告してくださいな。」
二人してニヤニヤしている。一緒にいる時間が増えると優那の表情は増えていった。クラスのみんなはまだ知らないんだと思うと独占欲が出てくる。優那には悪いが彼女に彼氏が出来てほしくない。アイドルに惚れる男の気持ちがわかった気がする。見守りたくなる魅力が優那にはある。
「話聞いてなかった私が悪いな…行くけど何を報告すればいいの?」
「きっと目立つ人がいるからその人が何やってるか報告ね。そうそう正面の方だからね。よろしくね!」
◇
長い廊下を歩く度に思うが私の高校は少し変だ。入学式の次の日に行われた生徒主導の新入生歓迎会で生徒会長が教えてくれた事を思い返す。彼いわく数年前に校舎を新しく建て直したことで拍車がかかったらしい。
受け売りだから間違ってるのかもしれないが、そもそも変な高校となったのは理数科クラスといううちの高校独自のクラスのせいらしい。名前の通り普通科とは違いカリキュラムが理数系に偏っている。チラッと1年生の理数科クラスを見たが普通科よりメガネ率が高かった。偏見だろうか。
そんな理数科なんてあるものだから中学校の時に配られたパンフレットによると科学室や地学室等の特別教室が充実しているらしい。私は学力ランク的に最初から普通科を目指していたし、たいして興味が無いので他校と比べてどこがどう充実しているのかわからないが追々恩恵にあずかるのだろう。私達普通科だって特別教室は使うのだから。
あと図書室が二つある。校舎から少し離れたところに建っている第一図書室と、校舎内にある第二図書室だ。紛らわしいので第一図書室を図書館と呼び、第二図書室を図書室と呼んでいる。先輩方に限らず先生方もそう呼ぶものだから一週間足らずで新入生にも定着した。
校舎は簡単に言うとカタカナの"ロ"の様に四角形で真ん中が中庭になっている。正面玄関がある辺を「正面」。正面に向かって右側、教室ばかりなので「教室棟」。正面に向かって左側は部室とか先生の為の個室がある「研究棟」。残り一辺は美術室や音楽室等入っている「特別棟」と呼んでいる。覚えておくと便利らしいというのは生徒会長の御言葉である。
中庭にはバカでかいオンコの木が1本と噴水、ベンチがある。私たち一年生の教室は三階で図書室も三階、オンコの木も三階まである。一体何年間生きていて、一体秋になったら中庭はどうなってしまうのだろう。あの赤い実が大量に落ちていると思うとちょっと引く。そういえば校舎がシンプルな形しているから移動教室で迷うことないなーと思って校舎探検してない。自分の教室と体育館、職員室さえわかっていれば問題ないのは中学生でわかったことだ。
そんなことを考えていたらやっと図書室についた。一学年九クラスあるのにそれを一直線に並べるとは設計を考えた理事長の考えが知りたい。8組の私の身になって欲しい。正面まで遠すぎる。いやまぁ。特別棟近くて楽そうなんだけどさ。
図書室の扉はガラス張りで中が見えるようになっている。ガラスには手の痕が無くなんだかドアに触れにくい。うちの図書委員会は神経質なんだろうか。ガラスに手を触れないようにそっとノブを握り、足音をたてないように図書館に入った。
入って左手には司書室のドアがあり壁に沿うようにカウンターがある。向こう側は一面ガラス張りの壁になっているらしくブラインドが床まで垂れ下がっている。その手前にはバーカウンターのようなテーブルが横に伸びている。右手には天井まで達する大きな本棚…これは大きすぎやしないだろうか。私の倍ぐらい高く見えるから3メートルちょっとあるかもしれない。つや消し加工されたアルミ製の黒い棚は近づくとすごい圧迫感がある。ブラインドから漏れた陽射しがなければ誰も図書室を利用しなくなるんじゃないだろうか。
きょろきょろを周りを見渡す私をカウンターの図書局員は横目でちらっと見ただけで、気にも留めず文庫本を読み続けている。きっと不審なのは私だけではなく、他の1年生もみんな不審なんだと思う。というかそうであって欲しい。
文庫本を読み続ける図書局員の前を通りカウンターテーブルの端から図書室の奥を見たが、誰も座っていなかった。黒く大きな棚は5つあり、奥の壁も本棚だった。ページをめくる音に混じってキーボードを打つ音が聞こえた。振り返って図書局員を見たが、文庫本を読み続けている。優那が言っていた目立つ人は目立っていないけれどこの音の発信源だろう。奥にいると思い進んでいくと
壁沿いの本棚と中に立つ本棚の間に六角形のテーブルが見えた。カウンターテーブルだけではなく何台かテーブルがあるらしい。パソコンを使う人の顔をこっそり見ようと相手から見えないように本棚の角に立ってそっと覗き見た。
タイピングをしているので俯いているがあの人は生徒会長だ。あのメガネは見覚えがある。メガネフェチの私がだからわかる。新入生歓迎会で見たメガネを一緒だ。レンズは丸みがあるが長方形に近く、レンズ下のフレームが無いタイプの黒いハーフフレーム。レンズの付け根はは太く耳にかけて細くなっていくテンプル。テンプルは透明なプラスチックがベースで黒と紫、水色がストライプが入っている。縦のストライプじゃなくて斜めのストライプなのがちょっとオシャレだと思ったし、何より堂々と柔和な表情を浮かべる態度と理知的なメガネとのギャップを感じて裏の顔がある印象を受けたのを覚えてる。
というか生徒会長って何かあるイメージがあるのはライトノベルを春休みに読んだせいかもしれない。どうしてライトノベルに出てくる生徒会長って一癖も二癖もあるのだろう。特殊能力かお金どっちか必ず持っている気がする。
生徒会長は短い文章を打っては少し休み、また短い文章を打っていた。学校内でチャットとはすごい。情報の授業でWifi環境が整っているという話がなかったからもしかしたら生徒会長はモバイルルーターを持ち歩いているのかもしれない。優那が言っていた通り図書室でチャットする生徒会長というのは目立つと言っていいだろう。腕時計を見ると昼休みは残り10分程だし、生徒会長と戻るタイミングが一緒になると気まずくなるから先に戻ろう。
「俺に何か用かな?」
急に声をかけられて驚いて前を向いたら生徒会長を目が合った。しまった。考え事していてタイプ音が止まったのに気づかなかったらしい。
「いや・・・あの・・・」
あぁ。まずい。何も考えてなかった。生徒会長は何も言わずこっちを見ている。私が何か言うまでこの場の雰囲気が変わらないのかもしれない。ここは素直になろう。当たって砕けろ精神だ。
「用はありますが、ありません。すみませんでした。いつから私のこと気がついてましたか?」
生徒会長は私のおかしい態度がツボに入ったらしく笑い声を噛み殺した。表情だけではなく態度も柔和で新入生歓迎会で受けたイメージは間違っていなかったみたいだ。
「図書室に入って気が付かなかったかな?中に立っている本棚の5段目だけ本が詰まってないで仕切り板も無くスカスカなんだ。座った時に図書室の奥まで見えるようにね。君みたいに覗き見するような悪い子を見つける為にね。」
「うわ・・・。」
「君は新入生か。」
値踏みするように私の足元から胸元までさっと視線が走った。上履きと胸ポケットに刺さる校章の色が私は緑色で、生徒会長は青色だ。今年の1年生は緑色で2年生は青色、3年生は赤色で区別されている。
「なら知らないよね。昼休みに奥まで来る人がまず少ないんだよ。奥は専門書がメインだからね。放課後になったら勉強のためにみんなテーブル使うけど君が手ぶらなのは棚の隙間から見えたからね。最初からなんだろなーとは思ったんだよ。」
ふふふ。とニヒルに笑う生徒会長。強めに出たけど会話の主導権は生徒会長のままだ。
「で、なんで俺を見てたの?」
ニコニコしながら聞いてきた。ここまで来たら態度を変えるのは癪だ。一発かましたい・・・!
「友だちから図書室に言ったら目立つ変な人がいるって聞いたので確認しにきました。」
言ってやった。対抗してニコリとしながら言ってやった。些細な反撃だ。生徒会長はオーバーに驚きの表情を出した。なんだこの生徒会長は。ふわっふわしている。
「いやー君、面白いね。ここが図書室じゃなかったら手を叩いて笑ってたわ。」
「そうですか?生徒会長さんに比べたら全然ですよ。」
「まぁね!俺は面白いっていうかおかしいやつで通ってるからね!この分だと1年生にもそういう評価で通っちゃいそうだなー。今日明日中に広まったら君のこと恨むよ?肩どついちゃうからね?」
なんなんだ。この人。みんなしてなんなんだ。どうして肩をどつくんだ。
「私も私が面白い人だって先輩たちに広まったら会長さんのこと恨みますから。」
「肩どついちゃう?」
もう今すぐどつきたい。まじで。
自分の非生産に驚きです。会社でもやる気を出さず、私生活でもやる気を出さずって生ける屍じゃないですか。
最近ちょこっと小説なるものを書いてみてます。というか書きなおしてみました。
小説読むの好きなんですけどそれってインプットなんですよね。
アウトプットしたいんですよ。歌うとか、絵を描くとかとか。
というわけで選んだのが小説なんですよね。
書いてみたはいいけれど、直前に読んだのがライトノベルなので文体がライトノベルです。うごご。
_/_/_/_/_/_/
いつだってここにいるって気付かせるのは声だ。
「マイさー何か今日ぼーっとしてない?」
名前を呼ばれてハッとした。手元には空になりそうなお弁当。目の前には出来たばかりの友達が二人。いつから考え事していたんだろう。
「やー昨日小説ずっと読んでいてね。現国からもうつらいつらい。眠たいし続きが気になるしでさー。」
大丈夫。いつも通り言えた。人の話を聞いてないことなんて日常茶飯事だ。いい加減直したい。
「なになにマイって本好きなの?じゃあ図書局入るん?」
「本好きだと図書局なの?でも図書局は気になるけどどうかなぁ?雰囲気によるかなぁ?でも何かには入りたいとは思うよー。ヒナは何か決めた?ユナは楽部だっけ?」
「楽部ねー迷ってるんだー。」
ヒナより先にユナが間延びした声で答えた。
「あれ?そうなの?」
「うん。中学の時はコンクールへゴー!って感じで昼休みも放課後も部室にゴー!してたんだけどねー。一週間何にもしないでこうしてお昼ご飯のんびり食べてたらこういうのもいいなって。でも迷ってる。」
「そかー。んーそろそろ決めないとヤバイじゃないん?見学行ったん?」
「ううん。行ってない。」
「あー・・・そーなん。ってマイなんでニヤニヤしてるん?」
あら。顔に出ていたんだ。
「ユナが迷う気持ちわかるなと思ってね。私こうして二人とご飯食べれてのんびりした昼休み好きだよ。でも見学ぐらい行った方がいいんじゃない?見学なんだし気軽に行ってみたら?一人で行きにくかったら私も行くよ?」
「あ!私も行っていいよ!私は帰宅部って決めてるからさ!」
ヒナがケラケラ笑いながら言う。注意されない程度に茶色くてゆるくパーマがかかったボブカット。小さくて可愛い耳にはピアスの穴がチラッと見える。放課後になったらすぐピアスをつけるのかもしれない。オレンジのチークが似合うヒナは今どきって感じで中学までの私なら怖くて近寄らない見た目の人。改めてこうしてご飯を一緒に食べていることが不思議。ヒナから声をかけてくれなかったらご飯を食べる間柄にはならなかったと思う。
「そういえばね。図書室の噂聞いたよ。」
「噂聞くの早っ。ユナどっから仕入れたの?」
「中学の時の友達。その子も楽部だからさ。」
私のクラスはまだ席替えをしていないので出席番号順に座っている。私「瀬尾真衣香」の後ろが「高宮優那」だった。入学式が始まる前にクラスに入り先に座っていた優那に社交辞令として「よろしくね」って笑って声をかけたらボソッと「よろしく」と返され出鼻をくじかれた。その後やたら明るいオーラを身にまとったヒナが教室に入ってきたので二人して視線がそっちにいって優那との会話とファーストコンタクトは終わった。あぁ。後ろの席と友達になれそうにない。やばい。どうしよう。と考えていたら入学式が終わりクラスに戻っていた。また考えていて周りの音が入って来なかったことに後悔しつつ、自分の席に座ろうと思い椅子を引いた時、セーラー服を後ろに引っ張られてたたらを踏んだ。何事かと思い振り返ると頬を染めて「あの・・・私人見知りで緊張しいであの・・・ごめん。ほんとよろしく・・・」と言った優那はとても可愛くて大丈夫だよって抱きしめたくなった。不安だった気持ちは綺麗さっぱり消えて漠然と高校生活は楽しくなるとその瞬間確信した。
「ほうっ。」
肩が・・・!肩をどつかれた・・・!
「マイさー。また何か考えてたでしょ?」
「うっ。ごめん。その通りです。でもだからって肩どつくこと無いじゃん・・・。何で肩。」
「優那が真衣に声かけてるのに返事しないのが悪いんよ。」
「真衣香は面白いね。でも私の話を聞かなかった罰として図書室に行って様子を私達に報告してくださいな。」
二人してニヤニヤしている。一緒にいる時間が増えると優那の表情は増えていった。クラスのみんなはまだ知らないんだと思うと独占欲が出てくる。優那には悪いが彼女に彼氏が出来てほしくない。アイドルに惚れる男の気持ちがわかった気がする。見守りたくなる魅力が優那にはある。
「話聞いてなかった私が悪いな…行くけど何を報告すればいいの?」
「きっと目立つ人がいるからその人が何やってるか報告ね。そうそう正面の方だからね。よろしくね!」
◇
長い廊下を歩く度に思うが私の高校は少し変だ。入学式の次の日に行われた生徒主導の新入生歓迎会で生徒会長が教えてくれた事を思い返す。彼いわく数年前に校舎を新しく建て直したことで拍車がかかったらしい。
受け売りだから間違ってるのかもしれないが、そもそも変な高校となったのは理数科クラスといううちの高校独自のクラスのせいらしい。名前の通り普通科とは違いカリキュラムが理数系に偏っている。チラッと1年生の理数科クラスを見たが普通科よりメガネ率が高かった。偏見だろうか。
そんな理数科なんてあるものだから中学校の時に配られたパンフレットによると科学室や地学室等の特別教室が充実しているらしい。私は学力ランク的に最初から普通科を目指していたし、たいして興味が無いので他校と比べてどこがどう充実しているのかわからないが追々恩恵にあずかるのだろう。私達普通科だって特別教室は使うのだから。
あと図書室が二つある。校舎から少し離れたところに建っている第一図書室と、校舎内にある第二図書室だ。紛らわしいので第一図書室を図書館と呼び、第二図書室を図書室と呼んでいる。先輩方に限らず先生方もそう呼ぶものだから一週間足らずで新入生にも定着した。
校舎は簡単に言うとカタカナの"ロ"の様に四角形で真ん中が中庭になっている。正面玄関がある辺を「正面」。正面に向かって右側、教室ばかりなので「教室棟」。正面に向かって左側は部室とか先生の為の個室がある「研究棟」。残り一辺は美術室や音楽室等入っている「特別棟」と呼んでいる。覚えておくと便利らしいというのは生徒会長の御言葉である。
中庭にはバカでかいオンコの木が1本と噴水、ベンチがある。私たち一年生の教室は三階で図書室も三階、オンコの木も三階まである。一体何年間生きていて、一体秋になったら中庭はどうなってしまうのだろう。あの赤い実が大量に落ちていると思うとちょっと引く。そういえば校舎がシンプルな形しているから移動教室で迷うことないなーと思って校舎探検してない。自分の教室と体育館、職員室さえわかっていれば問題ないのは中学生でわかったことだ。
そんなことを考えていたらやっと図書室についた。一学年九クラスあるのにそれを一直線に並べるとは設計を考えた理事長の考えが知りたい。8組の私の身になって欲しい。正面まで遠すぎる。いやまぁ。特別棟近くて楽そうなんだけどさ。
図書室の扉はガラス張りで中が見えるようになっている。ガラスには手の痕が無くなんだかドアに触れにくい。うちの図書委員会は神経質なんだろうか。ガラスに手を触れないようにそっとノブを握り、足音をたてないように図書館に入った。
入って左手には司書室のドアがあり壁に沿うようにカウンターがある。向こう側は一面ガラス張りの壁になっているらしくブラインドが床まで垂れ下がっている。その手前にはバーカウンターのようなテーブルが横に伸びている。右手には天井まで達する大きな本棚…これは大きすぎやしないだろうか。私の倍ぐらい高く見えるから3メートルちょっとあるかもしれない。つや消し加工されたアルミ製の黒い棚は近づくとすごい圧迫感がある。ブラインドから漏れた陽射しがなければ誰も図書室を利用しなくなるんじゃないだろうか。
きょろきょろを周りを見渡す私をカウンターの図書局員は横目でちらっと見ただけで、気にも留めず文庫本を読み続けている。きっと不審なのは私だけではなく、他の1年生もみんな不審なんだと思う。というかそうであって欲しい。
文庫本を読み続ける図書局員の前を通りカウンターテーブルの端から図書室の奥を見たが、誰も座っていなかった。黒く大きな棚は5つあり、奥の壁も本棚だった。ページをめくる音に混じってキーボードを打つ音が聞こえた。振り返って図書局員を見たが、文庫本を読み続けている。優那が言っていた目立つ人は目立っていないけれどこの音の発信源だろう。奥にいると思い進んでいくと
壁沿いの本棚と中に立つ本棚の間に六角形のテーブルが見えた。カウンターテーブルだけではなく何台かテーブルがあるらしい。パソコンを使う人の顔をこっそり見ようと相手から見えないように本棚の角に立ってそっと覗き見た。
タイピングをしているので俯いているがあの人は生徒会長だ。あのメガネは見覚えがある。メガネフェチの私がだからわかる。新入生歓迎会で見たメガネを一緒だ。レンズは丸みがあるが長方形に近く、レンズ下のフレームが無いタイプの黒いハーフフレーム。レンズの付け根はは太く耳にかけて細くなっていくテンプル。テンプルは透明なプラスチックがベースで黒と紫、水色がストライプが入っている。縦のストライプじゃなくて斜めのストライプなのがちょっとオシャレだと思ったし、何より堂々と柔和な表情を浮かべる態度と理知的なメガネとのギャップを感じて裏の顔がある印象を受けたのを覚えてる。
というか生徒会長って何かあるイメージがあるのはライトノベルを春休みに読んだせいかもしれない。どうしてライトノベルに出てくる生徒会長って一癖も二癖もあるのだろう。特殊能力かお金どっちか必ず持っている気がする。
生徒会長は短い文章を打っては少し休み、また短い文章を打っていた。学校内でチャットとはすごい。情報の授業でWifi環境が整っているという話がなかったからもしかしたら生徒会長はモバイルルーターを持ち歩いているのかもしれない。優那が言っていた通り図書室でチャットする生徒会長というのは目立つと言っていいだろう。腕時計を見ると昼休みは残り10分程だし、生徒会長と戻るタイミングが一緒になると気まずくなるから先に戻ろう。
「俺に何か用かな?」
急に声をかけられて驚いて前を向いたら生徒会長を目が合った。しまった。考え事していてタイプ音が止まったのに気づかなかったらしい。
「いや・・・あの・・・」
あぁ。まずい。何も考えてなかった。生徒会長は何も言わずこっちを見ている。私が何か言うまでこの場の雰囲気が変わらないのかもしれない。ここは素直になろう。当たって砕けろ精神だ。
「用はありますが、ありません。すみませんでした。いつから私のこと気がついてましたか?」
生徒会長は私のおかしい態度がツボに入ったらしく笑い声を噛み殺した。表情だけではなく態度も柔和で新入生歓迎会で受けたイメージは間違っていなかったみたいだ。
「図書室に入って気が付かなかったかな?中に立っている本棚の5段目だけ本が詰まってないで仕切り板も無くスカスカなんだ。座った時に図書室の奥まで見えるようにね。君みたいに覗き見するような悪い子を見つける為にね。」
「うわ・・・。」
「君は新入生か。」
値踏みするように私の足元から胸元までさっと視線が走った。上履きと胸ポケットに刺さる校章の色が私は緑色で、生徒会長は青色だ。今年の1年生は緑色で2年生は青色、3年生は赤色で区別されている。
「なら知らないよね。昼休みに奥まで来る人がまず少ないんだよ。奥は専門書がメインだからね。放課後になったら勉強のためにみんなテーブル使うけど君が手ぶらなのは棚の隙間から見えたからね。最初からなんだろなーとは思ったんだよ。」
ふふふ。とニヒルに笑う生徒会長。強めに出たけど会話の主導権は生徒会長のままだ。
「で、なんで俺を見てたの?」
ニコニコしながら聞いてきた。ここまで来たら態度を変えるのは癪だ。一発かましたい・・・!
「友だちから図書室に言ったら目立つ変な人がいるって聞いたので確認しにきました。」
言ってやった。対抗してニコリとしながら言ってやった。些細な反撃だ。生徒会長はオーバーに驚きの表情を出した。なんだこの生徒会長は。ふわっふわしている。
「いやー君、面白いね。ここが図書室じゃなかったら手を叩いて笑ってたわ。」
「そうですか?生徒会長さんに比べたら全然ですよ。」
「まぁね!俺は面白いっていうかおかしいやつで通ってるからね!この分だと1年生にもそういう評価で通っちゃいそうだなー。今日明日中に広まったら君のこと恨むよ?肩どついちゃうからね?」
なんなんだ。この人。みんなしてなんなんだ。どうして肩をどつくんだ。
「私も私が面白い人だって先輩たちに広まったら会長さんのこと恨みますから。」
「肩どついちゃう?」
もう今すぐどつきたい。まじで。