最近、
「昔よりADHDの人が増えたよね」
そんな言葉を聞くことが増えました。
実際にSNSでも、
大人になってからADHDだと分かったという人をたくさん見かけます。
すると、
「昔はこんなにいなかったのに」
と思う方もいるかもしれません。
でもADHD歴51年の私くらいになると、
本当に増えたのか。
それとも見つかるようになったのか。
そこは分けて考えた方がいいように思うんですよね。
今日はそんなお話です。
まず一つ目。
昔は診断されなかったんですよね。
昔の私は、
落ち着きがない。
忘れっぽい。
変わっている。
要領が悪い。
そんなふうに見られることが多かったんです。
今のようにADHDという言葉も一般的ではありませんでした。
だから困っていても、
「努力不足」
「気合が足りない」
で終わってしまうことも多かったんですよね。
今は、
「もしかしたら脳の特性かもしれない」
という考え方が広がった。
だから昔なら見逃されていた人が、
ようやく見つかるようになったんです。
そして二つ目。
女性のADHDが見つかるようになったことです。
昔のADHDのイメージは、
授業中に立ち歩く男の子でした。
でも実際には、
ボーッとしている。
頭の中だけ忙しい。
忘れ物が多い。
頑張りすぎて後で倒れる。
そんな女性もたくさんいたんですよね。
私自身もそうですが、
外から見ると普通。
むしろ真面目。
でも内側では毎日必死。
そんな人は少なくありません。
最近になって、
大人の女性のADHDが注目されるようになり、
「私もそうだったのかもしれない」
と気づく人が増えてきたんですよね。
そして三つ目。
実はこれがかなり大きいと思うんです。
社会がADHDに厳しくなったことです。
昔は、
同じ職場。
同じ作業。
同じ人間関係。
そんな環境が多かったんですよね。
忘れっぽい人がいても、
「あの人はそういう人だから」
で済むこともありました。
でも今は、
パスワード。
アプリ。
ログインID。
会議URL。
SNS。
メール。
チャット。
覚えることも管理することも本当に多い。
さらに、
メールを返しながらチャット。
会議をしながら資料作成。
SNSも確認。
一日中マルチタスクです。
ADHDの苦手な
「注意の切り替え」
をずっと求められる社会になったんですよね。
さらに、
SNSの影響もあると思います。
昔は仕事が終われば終わりでした。
でも今は、
LINE。
SNS。
ニュース。
動画。
通知。
24時間刺激がやってきます。
スマホがADHDを作るわけではありません。
でも、
もともと注意が散りやすい人は、
特性が目立ちやすくなることはあると思うんですよね。
そしてもう一つ。
今は自己管理が求められる時代です。
スケジュール管理。
健康管理。
お金の管理。
情報管理。
全部自分でやらなければいけません。
昔は家族や地域や職場が、
自然に補ってくれていた部分もありました。
でも今は、
何でも自己責任。
ADHDの人が苦手としやすい
「実行機能」
を使う場面が圧倒的に増えたんですよね。
さらに言うと、
ADHDの強みが活きる場所も減りました。
昔は、
営業。
職人。
農業。
漁業。
自営業。
その場で判断する。
体を動かす。
変化が多い。
そんな仕事もたくさんありました。
ところが今は、
書類。
管理。
データ入力。
事務作業。
そういった仕事が増えています。
つまり、
ADHDの苦手な能力が評価されやすい社会になったんですよね。
そして私が一番大きいと思うのは、
「普通」の基準が上がったことです。
今は、
空気を読む。
即返信する。
遅刻しない。
整理整頓する。
感情を安定させる。
ミスをしない。
そんなことが当たり前のように求められます。
でも本来、
人間ってそこまで完璧ではないんですよね。
ADHD歴51年の私くらいになると、
昔のADHDが楽だったとは思わないんです。
昔にも苦しさはありました。
ただ、
昔は家族や地域や職場が、
できない部分を自然に支えてくれていた。
今は自由になった反面、
全部を自分で管理することが求められる時代になったんですよね。
だから私は、
ADHDが急に増えたというより、
昔は見つからずに苦しんでいた人たちが、
ようやく自分のことを理解できるようになった。
そして、
社会の変化によってADHDの苦手さが目立ちやすくなった。
その両方が起きているんじゃないかなと思うんです。
昔なら、
「もっと頑張れ」
で終わっていた人が、
今は
「私は怠け者だったわけじゃなかったんだ」
と知ることができる。
私はそれが、
この時代の一番大きな変化なんじゃないかなと思うんですよね。



