「昨日、ある本を読んだのですが」
将棋の対局中、古泉は唐突に話し始めた。
古泉
「涼宮ハルヒ。彼女には、願望を実現する能力がある。その能力のせい…というかおかげで、長門さんという宇宙人、朝比奈さんら未来人、そして我々のような超能力者が生み出され、集められました」
キョン
「ああ」
古泉
「言わば、この世界をひとつの物語とするなら、涼宮さんは主人公、僕達は彼女をサポートするサブキャラ、そして、ただの一般人でありながら彼女によって選ばれたキョン君。アナタがヒロインです」
おいおい、俺をヒロインとか言うな。どこのボーイズゲーだよ。
それならむしろ俺を主人公にした方が売れるだろうよ。
それなら、当然女性陣も攻略対象だよな。俺なら無論勿論当然、最初に朝比奈さんルートを喜んで選択するぜ。
古泉
「そこです」
キョン
「あ?」
何だよ。お前も朝比奈さん派か。
馬鹿言うな、朝比奈さんは俺の嫁だぞ。
よく思い出したら『ハルヒちゃん』でそんなゲームのネタがあったな。アニメはその回見逃したが、見た外人達が掲示板で「これを出したら絶対買う」って騒いでたそうだ。
俺も買うよ。
古泉
「いえ、そうではありません」
キョン
「じゃあ長門派か」
古泉
「いい加減その“架空恋愛ADV”から離れましょうよ」
何だよ。お前がそこだって言うからこんな話題になったんだろうが。
キョン
「……僕がキョン君と、最初に涼宮さんについて話したことを覚えていますか。――ええ、僕が超能力者であることを話したときです」
つまり『憂鬱』の163ページ辺りのことか。
古泉
「その時僕は、アナタが特別な力も無い正真正銘“普通の人間”と言いましたが」
キョン
「ああ」
古泉
「もしかしたら、それは間違いだったかもしれません」
は?

キョン
「ちょっと待て。俺は情報操作も出来んし、タイムワープもしてな――…自分の意思では出来んし、赤い光弾で巨人と戦ったり、かめはめ波も卍解も出来んし、ギア化にも仙人モードにもなれないんだぞ!」
古泉
「待ってください。何で後半全部ジャンプ漫画なんですか」
俺の趣味だ。とにかく、俺に特別な力は今のところ発動した覚えは無い。
特別な力にめぐり合ったことはある。すべてがハルヒ関連のことで。
古泉
「それです。――ところで、よく美少女ゲームや漫画やアニメなどであるでしょう。『何の取り柄も無い主人公のもとに、突然女の子がやって来る物語』」
? …たしかにあるな。逆に何の取り柄も無い主人公が女の子ばっかりの所に突然やって来るっつーのもあるなあ。ルイズとかルイズとかルイズとか。
古泉
「多くが、それらの『突然』を『偶然』としています。 ――ですが、本当にそれが『偶然』だったのでしょうか」
キョン
「何が言いたいんだ」
古泉
「主人公のもとに突然美少女がやって来るのではなく、実はその逆、主人公の方が、彼女達を、そして何らかの“非日常的なイベント”を呼び込んだのではないか、と」
うーん、つまり“何の取り柄も無い”はずの主人公が、美少女を呼び寄せたってのか。
古泉
「お察しのとおりです。僕の読んだ本では、それを『巻き込まれ能力』と書いてましたがね」
なんつー受動的な力だ。
古泉
「ええ、まったくです。ですが自分から一切発動が観測できない能力――そのため、この能力は自覚はありませんし、他者から認識されることはありません。それがこの能力の恐ろしい点です」
キョン
「ハルヒの力と似てるな」
古泉
「ううん、惜しいようで異なりますね。確かに涼宮さんの場合、本人は無自覚ですし、世界の大多数の人間は発動を認識していません。しかし僕らや長門さんは発動したことを認識しています。――しかし『巻き込まれ能力』の場合、“その世界の全ての人間”には発動したことすら判りません」
どうでもいいが古泉。お前の長ったらしい台詞回しはネットの文章では読みづらくて向いてない気がする。ラノベとネット小説は区切り区切りが大切なんだぞ。
俺の主観だが。
「お気遣い痛み入ります」そう言って古泉は、少しだけ笑みを弱めて、言った。
古泉
「もしその『巻き込まれ能力者』がいるとすれば…キョン君、アナタなんですよ。このその『能力者』は」
何を馬鹿な…と言いたいが、“巻き込まれ”って言われたら否定できんわな。
…何しろ、なぁ。
一生分の非日常イベントをここ数ヶ月で経験してるんだもの。この辺は原作1・2巻とアニメだけしか知らん筆者よりも博識な読者方のほうが知ってるだろう。
巻き込まれ・オブ・ザ・イヤーなんつーもんがあったら間違いなく俺はチャンピォンになれる自信がある。是非作ってくれ。そんな名誉はいらんが、賞金が出るならくれ。
古泉
「確かに涼宮さんはとんでもない能力をお持ちですが、その彼女を呼び寄せたのは、アナタかもしれない」
つまり何か。願いを叶える能力によって宇宙人やら未来人やら超能力者やらを呼び寄せた涼宮ハルヒがラスボスと思いきや、皆が血眼になっているハルヒをスケープゴートにしているのが裏ボスの俺ってことか?
古泉
「仰る通りです。さながら涼宮さんとキョン君は、超絶な能力を持つサーヴァントに振り回されるマスターと言った所でしょうか」
↑古泉(代役)
俺の頭には、獰猛な犬に引き摺られつつも鎖を必死で引っ張っている飼い主の情景が浮かんでいた。
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話を終えて、一息ついたところで古泉が「どうです?」と尋ねて来る。
そうだな。
長門の言葉を借りるなら、「実にユニーク」と言った所か。
だが仮に、一億歩譲ってその『巻き込まれ能力者』とやらだったとしよう。
どうやってそれを立証する? 発動した本人の意思とは関係なく、自身も、周りの奴ら誰も発動を認識できない。
結果を見て、「そういう能力がある」と“こじつけ”て、ああそうだったのかもしれないなって話だ。
そんな能力をどうやって立証するってんだ。
古泉
「ええ、仰るとおりです。しかし、それを“ない”と証明することもまた、同じなんですよ」
キョン
「そりゃ詭弁だろ。悪魔の証明ってやつだ。第一、証明してお前の説が本当だったとしてどうなるってんだ。何か変わるのか? お前ら『機関』が俺を捕らえにくるってか」
古泉
「誰もキョン君を捕まえませんし、何も変わりませんよ。ですから、これは僕の独り言です。忘れて下さい」

ああそうかい。
ちなみに古泉。いくら睨んでもこの一局は詰んでるんだけどな。
と、過去に書いた考察を、キョン君と古泉君代役の十四松に演じてもらいました。
現在でも『涼宮ハルヒの憂鬱』は連載されてるのでしょうか。
上記事は2009年に書いたものですので、現在とは内容が変わるかも知れません。
また、古泉君が読んだ本は『魔獣学園』というもので、古いものですが、
内容はラノベチックで、本当に『ハルヒ』の元になったような作品です。
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魔獣学園 (ソノラマ文庫 (270))
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読んだことないというラノベスキー・ハルヒスキーは一読を推奨します。
今日は私の過去に書いた考察を掘り出しましたが、評判があればまた続けます。
おつかれさまでした。
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