元 少年Aの本を読んで | art studio Lien ~kie~

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       埼玉県深谷市のタトゥースタジオ★女刺青彫師 kie(きぃ)のブログ
       
●内容●
刺青、TATTOO、
          ボディジュエリー(ダイヤモンドタトゥー)
           イラストデザイン

絶歌を読みました

きっかけは、パソコンをいじっていて目に入ったトピックニュースの神戸連続児童殺傷事件の文字
こんな事件もあったな、と全文を読むと、事件を振り返るというより、元少年Aの母親の事について書いてありました
私も母親になって、長男を産む13年前には抱かなかった感情や気持ちが今はあって、世の中で起きる色んな事件の被害者の両親はもちろん、加害者の両親、兄弟の気持ちを想像してしまうようになりました
自分の子が事件を起こしたら、、、
事件当時の元少年Aに歳が近づいた長男
長男は、中学に入ってから自分の世界を見つけ出している反面、不登校気味で部活もヤル気を持たず部屋に篭って食事もとらず風呂も面倒くさがりゲームに打ち込む姿を見ていると、なんだか、元少年Aが長男に重なって、、、
その当時どんな心境で事件を起こしたのか、原因や、家族の関わりが気になって、本を読みました

読み終えて、
少しの間、何も考えられなくなりました
彼の出所してからの社会で揉まれながら一生懸命生きようとする姿が目に浮かびました
彼を支える人や関わる人との繋がりにも心が温かくなりました
関わった人の中にはこんなにも理不尽な人間がいるのかと元少年A側になって苛々することもありました
彼の、群れない(理由が理由だが)、コツコツ頑張る、流されない性格を好印象に思うこともありました
でも、なぜ人を殺してはいけないかについての回答には、唖然としました
こんなに小説みたいな難しい言葉や表現で何回も繰り返し後悔や反省や生きる素晴らしさや命の尊さを語っているのに、結論それ?って
嘘だろ、、と何度もその辺りを読み直しましたが、私が期待して想像していた言葉は書いてありませんでした
そこだけはすごく残念でした
この本は、自己陶酔と自己顕示欲からできていると言う人がいますが、半分はそんなかんじがしました
こんな風に、事件当時の自分の事、そうなってしまった過程、きっかけを小説みたいに、かっこよくまとめたものを世の中に出せる
私も元は、彼の心境が知りたくて読んだけど、自分が被害者の両親だったら、怒り狂うと思いました
でも涙が出た部分もありました
彼の家族が彼を見捨てず支え続けていて、
母親、父親、弟2人の言動には涙が止まりませんでした
少年Aもその都度、涙を流したと書いてありました
それが本当なら、涙を誘うための作り話でないなら、事件後、本当に家族の愛を感じ感謝し、それと同時に後悔、罪悪感を強く持ったのなら、彼は人の心になっていると思います
どんなに変わった性情でも、これからは理性を持って抑えられると思います
結局、事件当時の心境や犯罪に結びついた理由は私には理解できかねました
すぐ、親のせいだとか言うけど、両親の愛情も、私が見習いたいくらいの素晴らしい親心だと思いました

それとは別で、彼は芸術的な才能があると思いました
サイコパスだとか、更生してないとか言うけど、彼のホームページに載せていた彼の全裸半裸写真とかナメクジのコラージュには惹かれるものがありました
私含め、アーティストなんてみんな頭おかしいでしょ
普通じゃ芸術じゃないし
人と違った人ができないものを作るから芸術なんだし
殺人は駄目だけど
にしても、、、あのムキムキの身体、、、魅力的
こんな事言っちゃってるとこが私も不謹慎で結局他人事として見てますね
ただ、被害者、加害者家族の気持ちを考えて計り知れない苦悩を想像すると、自分を置き換えてしまい気持ちが滅入って私の場合、自らの生活に支障をきたすので、堕ちた精神状態でどうにか何日か後には、深く考えないように、ポジティブに生きていかなくちゃって精神を安定させようとします
この本とかネットの記事読んだ後とかそんなかんじです
とにかく事件と彼の芸術的感性は別物として考えています
ホームページには被害者への謝罪の言葉は載っていなかったみたいだけど、本の方とは違って、こちらは完全に自らの存在を示すためのものに感じました
社会に出された以上、出ると決めた以上、生きていかなくてはいけなくて、罪を背負いながら、1日足りとも忘れてはいけないし、彼が生きる意味は罪を償うためだけど、それでもやっぱり生きるには何か見出さなければ生きていけないし、存在を主張したり、興味を持ったことを表現したいのはすごく分かります
許されない事なんだろうけど、彼は耐えられなかったというのもわかる気がします
ただ、私だったら小心者だからこんな公ではできません
彼は精神が強いんだと思いました
違うか、、、自己中?鈍感?

とにかく、感慨深い本でした
家族の愛や周囲の支えに感動かな1番は
私だったらそんな風に子供を守り続けられるか
ちょっと自信ないです
宮崎勤の父親のように自殺してしまうかも
親の責任を放棄して逃げてしまうかもです
彼の家族は本当に彼を愛しているんだと思いました

色んな反論はあるけど、子供がいる人は一度読んでみるといいです