純粋理性批判 11(空間はアプリオリな必然的表象) | カント哲学&日々の断想

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本ブログでは『純粋理性批判』をシリーズで解説しています。また同時に日々の断想を加えています。

空間概念の第2の特徴は、「ア・プリオリな必然的表象」ということです。カントはその理由を次のように述べています。空間内に何も外的対象が見いだされないとしても、いかなる空間も存在しないということは考えられない、

 

空間概念は外的現象に依存していない、ということです。だからア・プリオリな表象だということ。これは何を意味しているのでしょうか。カントはア・プリオリという言葉を経験的に獲得したものではないという意味で用いています。

 

さらに必然的とも言っています。ここで意味する必然性は、外的現象を表象する際に、その根底に欠かすことができないことを意味します。

 

ここで注意すべきことがあります。外的対象がまったくない空間を考えうる、もしくは表象しうるとしても、この空間自身はけっして知覚されるものでありません。空虚な空間はけっして経験の対象ではないのです。だからといって、どこかに絶対的なものとして存在しているものでもない。これは存在という意味では無なるものです。

 

空間という存在者は存在していないのです。