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「アルフレドなら家に居るけど」
バランの口から飛び出た言葉に、ジュードは目を見開いた。
「え!?今バランさんの所に居たんですか!?」
「うん」
さら、と何でも無い事の様に言うバラン。
ジュードは脱力して手に持っていた本を閉じた。
「もう…………変に心配して損した………」
「その様子を見るに、君たちには一報も無しだったのかな?」
「ユルゲンスさんに『アルヴィンには休暇をあげたよ』って言われてびっくりしましたよ」
僕ら、誰もその事知らなかったんですから。
恨みがましくアルヴィンへの文句を口にしながら、ジュードはバランを見上げる。
随分変わってしまった従兄を思い出して、バランは困った様に笑った。
「まぁ、僕の所に来たのも割といきなりだったんだけどね。部屋の前でうろうろしてたからどうしたんだろうと思ったけど」
『休暇を貰ったんだがどうすればいいかわからない』、と。
焦る子供のような顔でアルヴィンそうバランに告げたという。
「取り敢えず『好きにすればいいんだよ』っていったら、家に住み着いちゃってね。暫くいるんじゃないかな」
「そうなんですか………もう、急に居なくなるなよ………」
「よく聞かせておくよ」
「お願いします。………あ、そうだバランさん」
「ん?」
「ユルゲンスさんが言っていたんですけど――――――」
「満月だ」
ぼそりと、誰に言うでも無くアルヴィンは呟いた。
ロドマンション二階、バランの部屋の窓枠に座り込んで、彼は月を眺めた。
ーーーぐるぐると、同じ事を考えていた。
ただ、ただ、そう。
「あ」
ここから落ちたら何か変わるのか、と。
後ろ向きに、彼の体は傾いた。
ーーーー嗚呼、このまま落ちたら痛いだろうなぁ。
目も当てられない程無惨な死体になって、誰かに迷惑を掛けながら処理されるんだろう。結局最後まで俺は厄介な人間だ。
………うん。でも、まぁ、
どうでもいい、か な 。
きしり、首元が軋んだ。
「…………ナイス、バラン」
微妙に斜めに傾いた状態で、彼の襟が掴まれ落下を阻止される。
逆さまの世界ですぃと視線を下げれば、呆れた様な顔で溜息を吐く従兄と目が合う。
「なにやってるんだい、アルフレド」
「いや、ちょっとバランス崩しちまって」
呆れた顔をされつつ、バランに引き上げられて窓際に置かれたベッドに座り込んだ。
バランはアルヴィンに背を向けて、机の上の書類整理を始める。
「僕の部屋から投身自殺なんて、シャレにならないからやめろよ」
「………」
「……死ぬな、とは言ってくれねェんだな」
ぼそり、呟かれた言葉にバランは顔をあげる。
今にも泣きそうな顔で、彼はバランを見詰めていた。
「………そう、言って欲しいのかい?」
「別に」
「……ねぇアルフレド。ジュード君から聞いたんだけどさ。君が休暇貰った理由」
「…………?」
「『今にも泣きそうな顔で空見上げてたから』、だってさ」
ぱちり、きょとんとして瞬きを繰り返す幼い姿に苦笑した。
書類整理の手を止め、バランはアルヴィンに近付く。
ベッドの前まで来て、窓から見える空を見上げる。
「ジルニトラが消えたの、今日だったね」
「…………あぁ」
ジルニトラが消えた日。
二十年前、何人ものエレンピオス人がリーゼ・マクシアに送られた日。
ーーーー泣き虫だった従兄の、運命を狂わせた日。
「かあさんが、」
「うん」
「かあさんが泣いてたんだ。帰りたいって」
「うん」
「だから俺はかあさんをエレンピオスに帰す為に、それこそなんだってやった」
「うん」
「でも間に合わなかったんだ。何処で間違っちまったんだろう」
「…………アルフレド」
「バラン」
レティシャさんは最終的に彼を息子と認識していなかった。
彼は何度も仲間を裏切り、何度も何度も傷付けて、傷ついて。
………随分、卑屈になってしまっていた。
バランはアルヴィンの横に座り込む。
「沈むんだ。海の底みてぇに暗い寒いとこに」
「誰も俺をそこから引き上げちゃくれなかった」
「掴もうとは、してくれるヤツも居たけど」
「………」
あのお人好しな少年や、強い意思を持った精霊の主の顔が目に浮かぶ。
彼らが伸ばしてくれた、手は。
「俺が全部振り払っちまった」
「それは、俺が選んだ選択だったけど」
「でも、それでも、諦めきれなかったのは、多分、もう戻れなかったからなんだ」
「今まで犠牲にしてきたものが間違ってるって、思いたくなかった」
アルヴィンが顔を伏せる。
「最初はあったんだ、俺を引き上げてくれる、手」
「でも、かあさんが俺を解らなくなって」
かあさん、と、そう呼べば。
化け物を見るみたいな目で見られて、幼い彼は口を噤んだ。
「叔父さんはやっぱ俺を助けてくれなくて」
初めて回された仕事は、幼子にやらせるには到底無理な物で。
その後自分に何があっても、助けてはくれなかった。
「かあさんが死んだ」
今までやってきた事の理由が、全て消え去った。
意味が、積み上げてきたものが、脆く崩れ去った。
「それで、俺はもうダメなんだって思った」
誰からも、信じられないし、自分も信じられなくて。
「もう戻れないんだなって、そう思った瞬間に、な」
「恐くなったんだ。光が」
「もう誰も、俺を引き上げちゃくれない。もう誰もこの手を掴んでくれないなら」
「もう、降参しちまおうって」
「降参して、沈んじまいたかった」
どこか遠くを見詰める瞳は、されど泣くことは無い。
「誰が俺を、受け入れてくれるんだろう」
ぐい、と隣に座ったアルヴィンの頭を引き寄せた。
ぱち、彼が目を見開く。
「な………何を」
「あの丘でお前達を見つけた時、」
「………?」
「すぐに解ったんだ。君はアルフレドだって」
「戻ってきたんだって、体中が歓喜したよ」
「……俺は、」
もう20年前とは違う、と、そう言いかけて止められた。
「それが君の選択なら、それが何であろうと僕はとやかく言わないけどね」
それが、もっとも辛くて苦しくて、悲しい選択だとしても。
「沈んでしまったものは仕方ない。僕じゃ引き上げるのに役不足だと言うのなら、」
少し、アルヴィンの顔が焦った物になる。
バランは気にせず、続けた。
「せめて、窒息しないようにしよう」
「………」
「ーーーーーあぁ、そう言えばまだ言ってなかったね」
「お帰り、僕の大切なアルフレド」
「………、」
アルヴィンが自らの顔を掌で覆う。小さい溜息が聞こえて、バランは彼の頭をゆるりと撫でた。
「…………うん。なんか………やばい、かも。俺泣きそう」
「泣けばいいんだよ。甘え下手」
「うっせ。………ジュード君達には言うなよ」
「どうしようかな」
「言ったら今度こそ絶交だかんな」
「それは困るな」
軽口を叩き合って、笑った。
緩く笑ったアルヴィンが、ぽろり、泣き出して。
「………バラン」
「ん」
「……ただい、ま」
「ん。お帰りアルフレド」
泣きながら笑う彼を、やんわりと抱きしめた。
あんまシリアスってかクルものがないですね。
なんかどうすりゃいいかの助言誰かください。
ディセンダーは一応男と女両方デザインしました。
どちらがいいか選んでください。
きったねーのは赦してください二つあわせて一時間でやったんで。

男バージョン
名前:ノア
髪色:紫のグラデ。この際メッシュとかでも。漫画の時は右側にメッシュ入れてください。
目色:赤
服の形は図解通り。

女バージョン
名前:ノア
髪色:金髪で毛先茶色。漫画では毛先だけ塗ってください。
目色:緑
服は図解通り。肩ひもはリボン。服はピンク色。
性格は割とクールキャラ目指して空回りしてる感じ。
可愛いもの好きだけど隠してる。オタオタ大好き。
早い話がティアみたいな子です。
『痛いディセンダー』
どうも皆さん。カノンノ・グラスバレーです。
今日は皆さんに私達のディセンダーについてお話しします。
私達のディセンダー、ちょっと変なんです。
噂をすれば、とでも言う様にエントランスをディセンダー――――ノアが横切った。
カノンノは彼に声をかける。
「ノア!これから仕事?何しにいくの?」
「…………」
ノアはしばし黙って、やがてゆっくり口を開いた。
「神の恵みをこの手に掴みに(採取にいってきます)」
そう。ノアは喋り方が変です。
割と最初からこんな感じだったので今はもう慣れたけれど、最初は彼の言葉を理解するの、すごく大変だったの。
彼をルバーブ連山で見つけた時も、
「貴方は?」
「…………堕天使?」
「へ?」
「偽りの天使」
とまぁ、とても真面目にそう言われちゃって。
とにもかくにも、ハッキリ言ってしまえば彼はとてもイタい子なんだ。
しかし彼は彼で今は聖騎士であるが、全ての職業でレディアントを所持、さらに大前提としてディセンダーである訳で。
強ち嘘でもないので、誰も何も言わない。
今の所、実質的な被害が出てる訳でもないしね。
でも折角なので、私たちのディセンダーを紹介します。
* * *
「たっだいまーっ!」
「お帰りスタン、ノア………うわぁ」
「もうびしょ濡れだよ」
魔物退治を終えて、帰ってきたスタンとノアはびしょ濡れで。
ロックスにタオルを二枚頼んで、カノンノは二人に近付く。
「いきなり降ってきたもんね。大丈夫?寒くない?」
「あぁ、大丈夫だよ!」
「神の涙は慈しみに溢れていた(あったかい時期だから大丈夫)」
「そう、風邪、引かないでね」
「にしても体に服が張り付いて気持ち悪いよ………ノア、お前も眼帯とったら?顔に張り付いてちゃ乾かないだろ」
スタンの手がノアの眼帯に伸びる。
その瞬間。
「っ!触るな!」
ばしん、スタンの手は弾き飛ばされた。
弾かれた手をそのままに、呆然とノアを見詰める二人。
ノアは二、三歩後ずさって、眼帯を抑えて顔を逸らす。
「あ、過ちの序曲………!(これは、だめだ!)」
「え……ど、どうして…………?」
しばし黙って、ノアは逸らした視線をあわせ、また逸らしを繰り返す。
やがてゆっくり口を開いた。
「失われた世界の再生し、現在破滅と絶望が鎮魂歌を奏でる……!(融合したラザリスが、また復活する………!)」
「………」
「………」
あんなしょっぱい顔したスタンを見たの、初めてでした。
* * *
「みなさん、今日のおやつはピーチパイですよ」
ロックスがテーブルに並べるパイたち。
その香ばしい匂いに甘党はもちろん、基本寡黙な男達でさえもパイを持っていく。
勿論、カノンノとディセンダーも例に漏れない。
「はい、お嬢様とノア様の分です」
「ありがとうロックス!」
「いいえ、どうぞ、お召し上がりください」
カノンノに二人分の皿を渡して、ロックスは厨房に引っ込んだ。
焼きたてのピーチパイが乗った皿を、カノンノはノアの前に差し出す。
「はい、ノア」
「………」
「ん?どうしたの?」
中々受け取ろうとしないノア。
少し逸れている視線の先を見れば、周りの目を気にしている様子だ。
「………ノア?」
「…………感謝」
「………」
少し頬を赤くしながら、ノアはピーチパイを受け取る。
滲み出ている喜びに、カノンノは何かを察した。
「ねぇロックス。まだピーチパイ余ってる?」
「え?あぁはい、少しですけど」
「ノアにあげてもいいかな?ピーチパイ、好きみたいなの」
「そうなんですか?ノア様が…………わかりました、他の皆さんには内緒ですよ?」
「うん!ありがとうロックス!……ノア、聞いた?」
ピーチパイ、まだあるから一杯食べてね。
ぱぁ、と花が咲きそうな程ノアの顔は明るくなる。
その様子を微笑ましげに見守っていたら、ぱち、と冷静に戻ったのか顔を赤くしてあわあわし始めた。
そして。
「べっ別に嬉しくないんだから!ありがとう!(現在再び恵みが齎される事を我は祝福すれど賛歌は捧げずしかしそれは以下略)」
ノアはたまにカッコが入れ替わります。
* * *
「やっぱりノアの心を開くべきだと思うんだ」
深刻そうな表情でそんな事を言ったのは、あろう事かシングだった。
「あの喋り方、やっぱいつまでたっても慣れないよ。どうにかして治すべきだと思うんだ」
「あぁ、うんまぁそれはかまわねぇんだけどよ。何であえて俺を捕まえたよお前は」
「何でって、スパーダなら何かあってもどうにかしてくれる気がしたんだよ」
「あぁそうかい嬉しくない名誉ありがとうよこのクズがぁ!」
机を挟む形で対面している二人の隣には、所在なさそうに視線を彷徨わせているノアが。
スパーダに口汚く罵られても全く意に介さないノーテン菌ことシングはぐるりと勢い良くノアに向き合った。
「と、言う訳でノア。今日は存分にオレたちと語らおうじゃないか」
「俺を含めんなノーテン菌」
「………我が安寧の地への翼(帰ってもいい?)」
「ははは、さてまず何から話そうか」
「おい聞いてやれよ」
いちいちツッコミを入れるスパーダはなんだかんだ言いつつマメでいいヤツなのだ。
「何でもいいよノア。好きな食べ物でも好きなものでも」
「…………」
「ん?」
たっぷり、二十秒は表情を崩さず固まって、ノアは口を開く。
「糧となりしは、(好きな食べ物、は)」
「うん」
「………レモングミ?」
「え、うそだぁ」
「折角口開いたのにいきなり否定かよ」
「だってあれすっぱいじゃないか」
「世の中にはすっぱいもん好きなヤツだっているだろぉ?」
「いいや、絶対違うよ!ノア、もっかい!もっかい正直に言って!!」
「…………ぴ、」
「ぴ?」
「ピーチパイ…………」
かぁぁぁぁ、と顔を真っ赤にしてノアは小さい声で言った。
にま、とシングは笑う。
「そっか、ピーチパイはおいしいよね!オレも好きだよ!」
「…………」
「……おー、そうかそうか、恥ずかしかったか。お前はよくがんばったよ」
スパーダが保護者よろしく顔を手で覆ってしまったディセンダーの背を叩く。
「?何でそんなに顔赤いの?ノア」
「我が精神の鎧に相違が生まれそして精神を食い荒らしていく。光の聖域をどうか、侵さぬよ、う………ね?ね?(キャラが違うんだよ、お願いだからこれ以上聞かないで………)」
「ちゃんと言ってくれなきゃ解らないよ、何だって?」
「まさかお前何でこんなこと言い出したのかと思ったがコイツの言ってる事理解出来てねぇんだろ!」
「そんな事無いよ酷いなスパーダ!ちょっとオレの頭の中で変換が追いついてないだけだ!」
「それを理解出来てねぇっつぅんだよ認めろ!」
「いいや、理解はしてるよ、変換出来ないだけで!」
「わかった俺が悪かった妥協する変換出来てねぇからだな!」
「そうだよ!やっと解ってくれたね!」
「やだコイツめんどくさい!!」
今にも頭突きしそうな距離でシングとスパーダの二人は言い争う。
それをおろおろと見詰めるディセンダー。
喧嘩に巻き込まれているようだったと、その時その場を通り過ぎたロイドは語る。
「まぁそう言う訳でさ、もっとこうやってノアの事を教えて欲しいんだよ!そうしたらゆくゆく普通に喋ってくれると思うんだ」
「まったく………おいノア、このノーテン菌にこれ以上付き合う必要ねーぞ。お前の喋り方、解るヤツは解ってっから心配すんな」
「あれ?スパーダどこいくのさ」
「付き合ってらんねーよ。あと仕事あんだよ」
ひら、と手を振ってスパーダはその場を後にする。
その背中を見送ったノアは、さて、というシングの声に再び肩を震わせる。
「続けようかノア」
「っ!き、傷ついた翼………!(も、もう無理ですライフはとっくに0です……!)」
「ノアって可愛いもの好きだったりするの?この前オタオタをじっと見詰めてもが」
「い、言うなーーーー!!(言うなーーーーーー!!)」
初めてカッコと台詞がマッチングしました。
「………我が心は地に堕ちた最早黒き霧の中に沈み我が精神ごと消し去る事しか残された道はない(死にたい)」
「あー………あー、うん。お前はよく頑張った。よくやったえらいえらい」
その後スパーダに慰めてもらいました。
『眼鏡ネタ』
「アレ、いねぇ…………」
フレンから頼まれ、レイヴンを捜していたユーリは一瞬ポカンとする。
いつもは船倉にいる筈のあの紫の羽織りが居なかったからだ。
「何処行ったんだよあのおっさん………」
「迷える黒き狼(ユーリ、どうしたの?)」
「ノア」
振り返らずに名前を呼べば、横に並んだのは間違いなく彼だった。
こんな特徴的な喋り方をするのは、コイツしか居ない。
「いや、レイヴン見てねぇか?」
「鴉を捕えなんとする(レイヴン?何で?)」
「フレンに捜してくれって頼まれてな」
「光りは全てを見通さん(そういうのフレンの方が解ってそう)」
「まったくだ」
傍を通ったリッドはなんで会話出来てるんだろう、そう思ったが何も言わず通り過ぎた。
「永遠の中の刹那、鴉は風の楽園で羽根を休めていた(さっき甲板でみたよ)」
「おう、そうか。サンキュ」
「一つの相違(ただちょっと様子がおかしかった)」
「ん?」
様子がおかしかった。
ノアのその言葉に首を傾げながら、ユーリは甲板へと出る。
さっきノアが言った通り、レイヴンはそこにいた。
こちらに背を向けて、髪を下ろして。
「いたいた。おーいレイヴン」
少し違和感を憶えた。なんか嫌な予感もした。
しかしユーリはその背中に声を掛けた。
――――のが、間違いだった。
「レイヴンではない」
いつもより低い声。髪を揺らして、振り返る彼には眼鏡がーーーーー。
「シュヴァーンだ」
シュヴァーンて効果音、聞こえた気がする。
「な……何ィィィィィィ!?」
そのユーリの声は、バンエルティア号に響き渡る。
「うるさいぞローウェル。貴様は遠慮をしらんのか」
「ちょ………なん、え!?何で急に………ここギルドだぞ!?」
流石にここでシュヴァーンを名乗るのは、若干めんどくさい事になるのでは。
「取り敢えず誰かに見つかる前に」
「ユーリ、レイヴンさんは……?」
「どぅわぁぁぁ!!フ、フレン!?」
「貴様の口からそんな悲鳴が聞けるとはな」
「おっさんは黙ってろこれおっさんの為だから!」
「………シュヴァーン隊長………?」
隠そうと試みたユーリの努力も虚しく、フレンはおずおずと彼の名を呼ぶ。
まずい、暴走する。
ユーリが慌てたその瞬間。
ぶわっ
「!?」
フレンが、泣いた。
「シュヴァーン隊長!お久しぶりです!何時の間に出てこられたのですか!?」
「完全に二重人格扱いだな!?」
目にも留まらぬスピードでフレンはユーリの横をすり抜け、シュヴァーンの手を掴み振り回す。
その間もユーリはツッコミを忘れない。
「次はいつ会えるのかと………お変わりありませんか!?大丈夫ですか!?」
「それはいいがシーフォ」
「はい!」
「俺は『レイヴン』としていつも俺なのだが……君の中で私は幽霊の様だな。それと、体調を心配するくらいなら労ればいいだろう普段から」
「………」
「…………」
沈黙がながれ、て、
「すみませんシュヴァーン隊長………!僕は………!」
フラッ
「待て早まるなフレン!無言で甲板から投身自殺しようとすんな!アスベル、リステル!!ヘルプ!」
ー間ー
「………で、何がどうしてこうなったのよ!」
「リタ、人を指差すなと教わらなかったのか?」
「うっさいおっさんのくせに!」
フレンはアスベルが連れて行った。まぁ、アスベルも憧れの隊長!って感じで大変だったが。
そしてリタとエステルはこのレイヴンもといシュヴァーンを指差して叫ぶ。主にリタが。
「俺も知らねェ。俺が来た時にはもうこうだったんだよ」
「なにか原因は無いのでしょうか………」
「眼鏡………じゃない?」
「眼鏡?」
騒ぎを聞きつけたのか、先程からそこにはカイルが居る。
ふと彼の口から漏れた単語に、ユーリは首を傾げた。
「オレ、それをハロルドがレイヴンに掛けてるとこ見たんだ」
「………それだけでこんなに人格変わるもんか?」
「でも、リタも一度こうなった事あります。レイヴンが誰かの眼鏡、リタに掛けて………」
「……………マジでこれが原因?」
「ハロルドが面白がっててね、ナナリーがやめなよって止めたんだけど………ハロルド聞いてなくてさ」
「カイル!ハロルドを拉致して来い!」
「えっ!?お、おう!」
「ナナリーはvipだ!俺が崇め奉る程度に感謝していたと伝えろ!」
「わ、わかったよ!」
あわあわと慌てながら、カイルは甲板を走り船内へと戻る。
ふぅ………と息を吐きユーリはくるりとレイヴンもといシュヴァーンに向き直った。
「さて、聞きたい事は沢山あるが取り敢えずそうなった原因を聞くぞ」
「先程から君らの会話に参加していない事で察しがつかないのか?君はそういう直感だけはあるもんだと思っていたのだが」
「………何このおっさん。シュヴァーンこんなキャラだっけ」
「リタの時と同じです………」
「この眼鏡呪われてるんじゃないの………?」
「連れてきたよ!」
「いいタイミングだカイル!」
ずるずるとこの上なくいやそうな顔をしたハロルドを引き摺りながら、カイルが戻って来る。
「ねぇちょっとー。なんで私連れてこられたのー?」
「なんでだろうな。自分の胸に手を当てて考えてみろ」
ぐるり、ハロルドの目が巡回した。
「…………何で?」
「こっちの台詞だ。おっさんに何しやがった」
「えー……?あたしはただ、ジェイドの眼鏡にどんな効果があるのか気になっただけよー」
「ジェイドの眼鏡?」
「これ、ジェイドのだったんです?」
「何回か、この眼鏡を掛けた人間がジェイドみたくなるって聞いたから、どうなるのかなーと思って掛けてみたの。まぁ、あんまりジェイドっぽくなかったからすぐ飽きちゃったんだけど」
「だからってこのまま放置すんなよ!もっとめんどくさいモンほっぽり出していきやがって!」
「レイヴンってあのシュヴァーンだったの?これはこれで面白いわ」
「ちょっとハロルド俺の話聞きなさい!そこ正座!正座して!」
「ユーリが普段からはあり得ない台詞言ってます………」
普段からはみれないレイヴンの姿に混乱しているのかユーリもおかしくなってる。
どうも収集のつかない自体になっている。
この状況をだれが治めるのか………そう思った刹那。
「おやおや………これはまた、珍しいメンツですねぇ」
響いた第三者の声に振り返ると、そこには本来眼鏡の持ち主である男が立っていた。
後ろにティアを引き連れている。
「ジェイド………眼鏡どうした、お前」
「私とした事が先程うたた寝をしていまいまして。その際、どこかに行ってしまいましてね、スペアごと」
「………ハロルド、アンタまさか…………」
「だって眼鏡を外したらジェイドも変わるかなって思って。スペアでもかけられたら実験にならないでしょ?」
「あんたってヤツは!アンタってやつは!このトラブルメーカー!」
「うふっ、褒め言葉だわぁ」
「ちくしょう誰だコイツをこんなにしたヤツ!」
「あ、ナナリーが『止められなくて悪かったね』って言ってたよ」
「なにそれナナリー超いいヤツ俺もう崇め奉る!決めた!」
「…………この茶番はいつまで続くんだ?」
「おや、貴方は…………」
隅の方で黙々と繰り広げられるものを見詰めていたシュヴァーン。
それを見つけたジェイドは、にや、と口許を吊り上げる。
「これはこれは…………ガルバンゾ国騎士団隊長主席………シュヴァーン・オルトレイン」
「………ライマ国の死霊使いと名高いジェイド・カーティス大佐に名を知って頂けてるとは………光栄だ」
「まぁ、仕事柄でしょうか」
「………なんかあの二人、異様な雰囲気出してんだけど。ユーリ、何とかしなさいよ」
「…………あの二人がおっ始めたら楽しそうだな。俺も混ざろう」
「この戦闘狂!さっきまでツッコミだったアンタは何処行ったのよ!ファイヤーボール!」
「ぐふっ!………き、効いたぜリタ………」
「そうはいっても、やはり止めないと不味いと思うわ」
「ティア………?」
「今の大佐は眼鏡が無い。つまり譜眼を抑えるものが何も無いのよ」
「つまり?」
「つまり今の大佐はサンダーブレードを打つだけでインディグネイションになりかねないわ」
「まじでか」
「いやそれは無いでしょ」
リタの冷静なツッコミも届かず。ティアは真顔でボケるんだな。
今にも戦闘でも始めそうな軍の重役二人に、ユーリは冷たい汗を流す。
「始まる前に止めなくちゃな………こりゃ、でかい戦になりそうだぜ………」
全員がゴクリ、と唾を飲み込んだのだった――――――。
(……レイヴンの眼鏡、外しちゃえばいいだけだと思うんですが………)
「ねぇハロルド。ジェイドの眼鏡、スペアも持ってったんだろ?どうしたの?」
「持ってるわよ。はい」
「あ」
ハロルドが持っていたスペアの眼鏡をカイルにかける。
ここでまた一つ、惨劇が生まれるのであったーーーーー。
取り敢えずこんなもんで
なんとなく微妙なんでなんか自分で面白くアレンジしてくれると嬉しいです。
どちらがいいか選んでください。
きったねーのは赦してください二つあわせて一時間でやったんで。

男バージョン
名前:ノア
髪色:紫のグラデ。この際メッシュとかでも。漫画の時は右側にメッシュ入れてください。
目色:赤
服の形は図解通り。

女バージョン
名前:ノア
髪色:金髪で毛先茶色。漫画では毛先だけ塗ってください。
目色:緑
服は図解通り。肩ひもはリボン。服はピンク色。
性格は割とクールキャラ目指して空回りしてる感じ。
可愛いもの好きだけど隠してる。オタオタ大好き。
早い話がティアみたいな子です。
『痛いディセンダー』
どうも皆さん。カノンノ・グラスバレーです。
今日は皆さんに私達のディセンダーについてお話しします。
私達のディセンダー、ちょっと変なんです。
噂をすれば、とでも言う様にエントランスをディセンダー――――ノアが横切った。
カノンノは彼に声をかける。
「ノア!これから仕事?何しにいくの?」
「…………」
ノアはしばし黙って、やがてゆっくり口を開いた。
「神の恵みをこの手に掴みに(採取にいってきます)」
そう。ノアは喋り方が変です。
割と最初からこんな感じだったので今はもう慣れたけれど、最初は彼の言葉を理解するの、すごく大変だったの。
彼をルバーブ連山で見つけた時も、
「貴方は?」
「…………堕天使?」
「へ?」
「偽りの天使」
とまぁ、とても真面目にそう言われちゃって。
とにもかくにも、ハッキリ言ってしまえば彼はとてもイタい子なんだ。
しかし彼は彼で今は聖騎士であるが、全ての職業でレディアントを所持、さらに大前提としてディセンダーである訳で。
強ち嘘でもないので、誰も何も言わない。
今の所、実質的な被害が出てる訳でもないしね。
でも折角なので、私たちのディセンダーを紹介します。
* * *
「たっだいまーっ!」
「お帰りスタン、ノア………うわぁ」
「もうびしょ濡れだよ」
魔物退治を終えて、帰ってきたスタンとノアはびしょ濡れで。
ロックスにタオルを二枚頼んで、カノンノは二人に近付く。
「いきなり降ってきたもんね。大丈夫?寒くない?」
「あぁ、大丈夫だよ!」
「神の涙は慈しみに溢れていた(あったかい時期だから大丈夫)」
「そう、風邪、引かないでね」
「にしても体に服が張り付いて気持ち悪いよ………ノア、お前も眼帯とったら?顔に張り付いてちゃ乾かないだろ」
スタンの手がノアの眼帯に伸びる。
その瞬間。
「っ!触るな!」
ばしん、スタンの手は弾き飛ばされた。
弾かれた手をそのままに、呆然とノアを見詰める二人。
ノアは二、三歩後ずさって、眼帯を抑えて顔を逸らす。
「あ、過ちの序曲………!(これは、だめだ!)」
「え……ど、どうして…………?」
しばし黙って、ノアは逸らした視線をあわせ、また逸らしを繰り返す。
やがてゆっくり口を開いた。
「失われた世界の再生し、現在破滅と絶望が鎮魂歌を奏でる……!(融合したラザリスが、また復活する………!)」
「………」
「………」
あんなしょっぱい顔したスタンを見たの、初めてでした。
* * *
「みなさん、今日のおやつはピーチパイですよ」
ロックスがテーブルに並べるパイたち。
その香ばしい匂いに甘党はもちろん、基本寡黙な男達でさえもパイを持っていく。
勿論、カノンノとディセンダーも例に漏れない。
「はい、お嬢様とノア様の分です」
「ありがとうロックス!」
「いいえ、どうぞ、お召し上がりください」
カノンノに二人分の皿を渡して、ロックスは厨房に引っ込んだ。
焼きたてのピーチパイが乗った皿を、カノンノはノアの前に差し出す。
「はい、ノア」
「………」
「ん?どうしたの?」
中々受け取ろうとしないノア。
少し逸れている視線の先を見れば、周りの目を気にしている様子だ。
「………ノア?」
「…………感謝」
「………」
少し頬を赤くしながら、ノアはピーチパイを受け取る。
滲み出ている喜びに、カノンノは何かを察した。
「ねぇロックス。まだピーチパイ余ってる?」
「え?あぁはい、少しですけど」
「ノアにあげてもいいかな?ピーチパイ、好きみたいなの」
「そうなんですか?ノア様が…………わかりました、他の皆さんには内緒ですよ?」
「うん!ありがとうロックス!……ノア、聞いた?」
ピーチパイ、まだあるから一杯食べてね。
ぱぁ、と花が咲きそうな程ノアの顔は明るくなる。
その様子を微笑ましげに見守っていたら、ぱち、と冷静に戻ったのか顔を赤くしてあわあわし始めた。
そして。
「べっ別に嬉しくないんだから!ありがとう!(現在再び恵みが齎される事を我は祝福すれど賛歌は捧げずしかしそれは以下略)」
ノアはたまにカッコが入れ替わります。
* * *
「やっぱりノアの心を開くべきだと思うんだ」
深刻そうな表情でそんな事を言ったのは、あろう事かシングだった。
「あの喋り方、やっぱいつまでたっても慣れないよ。どうにかして治すべきだと思うんだ」
「あぁ、うんまぁそれはかまわねぇんだけどよ。何であえて俺を捕まえたよお前は」
「何でって、スパーダなら何かあってもどうにかしてくれる気がしたんだよ」
「あぁそうかい嬉しくない名誉ありがとうよこのクズがぁ!」
机を挟む形で対面している二人の隣には、所在なさそうに視線を彷徨わせているノアが。
スパーダに口汚く罵られても全く意に介さないノーテン菌ことシングはぐるりと勢い良くノアに向き合った。
「と、言う訳でノア。今日は存分にオレたちと語らおうじゃないか」
「俺を含めんなノーテン菌」
「………我が安寧の地への翼(帰ってもいい?)」
「ははは、さてまず何から話そうか」
「おい聞いてやれよ」
いちいちツッコミを入れるスパーダはなんだかんだ言いつつマメでいいヤツなのだ。
「何でもいいよノア。好きな食べ物でも好きなものでも」
「…………」
「ん?」
たっぷり、二十秒は表情を崩さず固まって、ノアは口を開く。
「糧となりしは、(好きな食べ物、は)」
「うん」
「………レモングミ?」
「え、うそだぁ」
「折角口開いたのにいきなり否定かよ」
「だってあれすっぱいじゃないか」
「世の中にはすっぱいもん好きなヤツだっているだろぉ?」
「いいや、絶対違うよ!ノア、もっかい!もっかい正直に言って!!」
「…………ぴ、」
「ぴ?」
「ピーチパイ…………」
かぁぁぁぁ、と顔を真っ赤にしてノアは小さい声で言った。
にま、とシングは笑う。
「そっか、ピーチパイはおいしいよね!オレも好きだよ!」
「…………」
「……おー、そうかそうか、恥ずかしかったか。お前はよくがんばったよ」
スパーダが保護者よろしく顔を手で覆ってしまったディセンダーの背を叩く。
「?何でそんなに顔赤いの?ノア」
「我が精神の鎧に相違が生まれそして精神を食い荒らしていく。光の聖域をどうか、侵さぬよ、う………ね?ね?(キャラが違うんだよ、お願いだからこれ以上聞かないで………)」
「ちゃんと言ってくれなきゃ解らないよ、何だって?」
「まさかお前何でこんなこと言い出したのかと思ったがコイツの言ってる事理解出来てねぇんだろ!」
「そんな事無いよ酷いなスパーダ!ちょっとオレの頭の中で変換が追いついてないだけだ!」
「それを理解出来てねぇっつぅんだよ認めろ!」
「いいや、理解はしてるよ、変換出来ないだけで!」
「わかった俺が悪かった妥協する変換出来てねぇからだな!」
「そうだよ!やっと解ってくれたね!」
「やだコイツめんどくさい!!」
今にも頭突きしそうな距離でシングとスパーダの二人は言い争う。
それをおろおろと見詰めるディセンダー。
喧嘩に巻き込まれているようだったと、その時その場を通り過ぎたロイドは語る。
「まぁそう言う訳でさ、もっとこうやってノアの事を教えて欲しいんだよ!そうしたらゆくゆく普通に喋ってくれると思うんだ」
「まったく………おいノア、このノーテン菌にこれ以上付き合う必要ねーぞ。お前の喋り方、解るヤツは解ってっから心配すんな」
「あれ?スパーダどこいくのさ」
「付き合ってらんねーよ。あと仕事あんだよ」
ひら、と手を振ってスパーダはその場を後にする。
その背中を見送ったノアは、さて、というシングの声に再び肩を震わせる。
「続けようかノア」
「っ!き、傷ついた翼………!(も、もう無理ですライフはとっくに0です……!)」
「ノアって可愛いもの好きだったりするの?この前オタオタをじっと見詰めてもが」
「い、言うなーーーー!!(言うなーーーーーー!!)」
初めてカッコと台詞がマッチングしました。
「………我が心は地に堕ちた最早黒き霧の中に沈み我が精神ごと消し去る事しか残された道はない(死にたい)」
「あー………あー、うん。お前はよく頑張った。よくやったえらいえらい」
その後スパーダに慰めてもらいました。
『眼鏡ネタ』
「アレ、いねぇ…………」
フレンから頼まれ、レイヴンを捜していたユーリは一瞬ポカンとする。
いつもは船倉にいる筈のあの紫の羽織りが居なかったからだ。
「何処行ったんだよあのおっさん………」
「迷える黒き狼(ユーリ、どうしたの?)」
「ノア」
振り返らずに名前を呼べば、横に並んだのは間違いなく彼だった。
こんな特徴的な喋り方をするのは、コイツしか居ない。
「いや、レイヴン見てねぇか?」
「鴉を捕えなんとする(レイヴン?何で?)」
「フレンに捜してくれって頼まれてな」
「光りは全てを見通さん(そういうのフレンの方が解ってそう)」
「まったくだ」
傍を通ったリッドはなんで会話出来てるんだろう、そう思ったが何も言わず通り過ぎた。
「永遠の中の刹那、鴉は風の楽園で羽根を休めていた(さっき甲板でみたよ)」
「おう、そうか。サンキュ」
「一つの相違(ただちょっと様子がおかしかった)」
「ん?」
様子がおかしかった。
ノアのその言葉に首を傾げながら、ユーリは甲板へと出る。
さっきノアが言った通り、レイヴンはそこにいた。
こちらに背を向けて、髪を下ろして。
「いたいた。おーいレイヴン」
少し違和感を憶えた。なんか嫌な予感もした。
しかしユーリはその背中に声を掛けた。
――――のが、間違いだった。
「レイヴンではない」
いつもより低い声。髪を揺らして、振り返る彼には眼鏡がーーーーー。
「シュヴァーンだ」
シュヴァーンて効果音、聞こえた気がする。
「な……何ィィィィィィ!?」
そのユーリの声は、バンエルティア号に響き渡る。
「うるさいぞローウェル。貴様は遠慮をしらんのか」
「ちょ………なん、え!?何で急に………ここギルドだぞ!?」
流石にここでシュヴァーンを名乗るのは、若干めんどくさい事になるのでは。
「取り敢えず誰かに見つかる前に」
「ユーリ、レイヴンさんは……?」
「どぅわぁぁぁ!!フ、フレン!?」
「貴様の口からそんな悲鳴が聞けるとはな」
「おっさんは黙ってろこれおっさんの為だから!」
「………シュヴァーン隊長………?」
隠そうと試みたユーリの努力も虚しく、フレンはおずおずと彼の名を呼ぶ。
まずい、暴走する。
ユーリが慌てたその瞬間。
ぶわっ
「!?」
フレンが、泣いた。
「シュヴァーン隊長!お久しぶりです!何時の間に出てこられたのですか!?」
「完全に二重人格扱いだな!?」
目にも留まらぬスピードでフレンはユーリの横をすり抜け、シュヴァーンの手を掴み振り回す。
その間もユーリはツッコミを忘れない。
「次はいつ会えるのかと………お変わりありませんか!?大丈夫ですか!?」
「それはいいがシーフォ」
「はい!」
「俺は『レイヴン』としていつも俺なのだが……君の中で私は幽霊の様だな。それと、体調を心配するくらいなら労ればいいだろう普段から」
「………」
「…………」
沈黙がながれ、て、
「すみませんシュヴァーン隊長………!僕は………!」
フラッ
「待て早まるなフレン!無言で甲板から投身自殺しようとすんな!アスベル、リステル!!ヘルプ!」
ー間ー
「………で、何がどうしてこうなったのよ!」
「リタ、人を指差すなと教わらなかったのか?」
「うっさいおっさんのくせに!」
フレンはアスベルが連れて行った。まぁ、アスベルも憧れの隊長!って感じで大変だったが。
そしてリタとエステルはこのレイヴンもといシュヴァーンを指差して叫ぶ。主にリタが。
「俺も知らねェ。俺が来た時にはもうこうだったんだよ」
「なにか原因は無いのでしょうか………」
「眼鏡………じゃない?」
「眼鏡?」
騒ぎを聞きつけたのか、先程からそこにはカイルが居る。
ふと彼の口から漏れた単語に、ユーリは首を傾げた。
「オレ、それをハロルドがレイヴンに掛けてるとこ見たんだ」
「………それだけでこんなに人格変わるもんか?」
「でも、リタも一度こうなった事あります。レイヴンが誰かの眼鏡、リタに掛けて………」
「……………マジでこれが原因?」
「ハロルドが面白がっててね、ナナリーがやめなよって止めたんだけど………ハロルド聞いてなくてさ」
「カイル!ハロルドを拉致して来い!」
「えっ!?お、おう!」
「ナナリーはvipだ!俺が崇め奉る程度に感謝していたと伝えろ!」
「わ、わかったよ!」
あわあわと慌てながら、カイルは甲板を走り船内へと戻る。
ふぅ………と息を吐きユーリはくるりとレイヴンもといシュヴァーンに向き直った。
「さて、聞きたい事は沢山あるが取り敢えずそうなった原因を聞くぞ」
「先程から君らの会話に参加していない事で察しがつかないのか?君はそういう直感だけはあるもんだと思っていたのだが」
「………何このおっさん。シュヴァーンこんなキャラだっけ」
「リタの時と同じです………」
「この眼鏡呪われてるんじゃないの………?」
「連れてきたよ!」
「いいタイミングだカイル!」
ずるずるとこの上なくいやそうな顔をしたハロルドを引き摺りながら、カイルが戻って来る。
「ねぇちょっとー。なんで私連れてこられたのー?」
「なんでだろうな。自分の胸に手を当てて考えてみろ」
ぐるり、ハロルドの目が巡回した。
「…………何で?」
「こっちの台詞だ。おっさんに何しやがった」
「えー……?あたしはただ、ジェイドの眼鏡にどんな効果があるのか気になっただけよー」
「ジェイドの眼鏡?」
「これ、ジェイドのだったんです?」
「何回か、この眼鏡を掛けた人間がジェイドみたくなるって聞いたから、どうなるのかなーと思って掛けてみたの。まぁ、あんまりジェイドっぽくなかったからすぐ飽きちゃったんだけど」
「だからってこのまま放置すんなよ!もっとめんどくさいモンほっぽり出していきやがって!」
「レイヴンってあのシュヴァーンだったの?これはこれで面白いわ」
「ちょっとハロルド俺の話聞きなさい!そこ正座!正座して!」
「ユーリが普段からはあり得ない台詞言ってます………」
普段からはみれないレイヴンの姿に混乱しているのかユーリもおかしくなってる。
どうも収集のつかない自体になっている。
この状況をだれが治めるのか………そう思った刹那。
「おやおや………これはまた、珍しいメンツですねぇ」
響いた第三者の声に振り返ると、そこには本来眼鏡の持ち主である男が立っていた。
後ろにティアを引き連れている。
「ジェイド………眼鏡どうした、お前」
「私とした事が先程うたた寝をしていまいまして。その際、どこかに行ってしまいましてね、スペアごと」
「………ハロルド、アンタまさか…………」
「だって眼鏡を外したらジェイドも変わるかなって思って。スペアでもかけられたら実験にならないでしょ?」
「あんたってヤツは!アンタってやつは!このトラブルメーカー!」
「うふっ、褒め言葉だわぁ」
「ちくしょう誰だコイツをこんなにしたヤツ!」
「あ、ナナリーが『止められなくて悪かったね』って言ってたよ」
「なにそれナナリー超いいヤツ俺もう崇め奉る!決めた!」
「…………この茶番はいつまで続くんだ?」
「おや、貴方は…………」
隅の方で黙々と繰り広げられるものを見詰めていたシュヴァーン。
それを見つけたジェイドは、にや、と口許を吊り上げる。
「これはこれは…………ガルバンゾ国騎士団隊長主席………シュヴァーン・オルトレイン」
「………ライマ国の死霊使いと名高いジェイド・カーティス大佐に名を知って頂けてるとは………光栄だ」
「まぁ、仕事柄でしょうか」
「………なんかあの二人、異様な雰囲気出してんだけど。ユーリ、何とかしなさいよ」
「…………あの二人がおっ始めたら楽しそうだな。俺も混ざろう」
「この戦闘狂!さっきまでツッコミだったアンタは何処行ったのよ!ファイヤーボール!」
「ぐふっ!………き、効いたぜリタ………」
「そうはいっても、やはり止めないと不味いと思うわ」
「ティア………?」
「今の大佐は眼鏡が無い。つまり譜眼を抑えるものが何も無いのよ」
「つまり?」
「つまり今の大佐はサンダーブレードを打つだけでインディグネイションになりかねないわ」
「まじでか」
「いやそれは無いでしょ」
リタの冷静なツッコミも届かず。ティアは真顔でボケるんだな。
今にも戦闘でも始めそうな軍の重役二人に、ユーリは冷たい汗を流す。
「始まる前に止めなくちゃな………こりゃ、でかい戦になりそうだぜ………」
全員がゴクリ、と唾を飲み込んだのだった――――――。
(……レイヴンの眼鏡、外しちゃえばいいだけだと思うんですが………)
「ねぇハロルド。ジェイドの眼鏡、スペアも持ってったんだろ?どうしたの?」
「持ってるわよ。はい」
「あ」
ハロルドが持っていたスペアの眼鏡をカイルにかける。
ここでまた一つ、惨劇が生まれるのであったーーーーー。
取り敢えずこんなもんで
なんとなく微妙なんでなんか自分で面白くアレンジしてくれると嬉しいです。
取り敢えず二つ、『イタいディセンダー』と『ジェイドの眼鏡』ネタ、触り部分だけ。
イタいディセンダーは眼鏡ネタにも生息してますが、変える事も可能。
何かご要望あったらお願いします。
『イタいディセンダー』
どうも皆さん。カノンノ・グラスバレーです。
今日は皆さんに私達のディセンダーについてお話しします。
私達のディセンダー、ちょっと変なんです。
噂をすれば、とでも言う様にエントランスをディセンダー――――ノアが横切った。
カノンノは彼に声をかける。
「ノア!これから仕事?何しにいくの?」
「…………」
ノアはしばし黙って、やがてゆっくり口を開いた。
「神の恵みをこの手に掴みに(採取にいってきます)」
そう。ノアは喋り方が変です。
割と最初からこんな感じだったので今はもう慣れたけれど、最初は彼の言葉を理解するの、すごく大変だったの。
彼をルバーブ連山で見つけた時も、
「貴方は?」
「…………堕天使?」
「へ?」
「偽りの天使」
とまぁ、とても真面目にそう言われちゃって。
とにもかくにも、ハッキリ言ってしまえば彼はとてもイタい子なんだ。
しかし彼は彼で今は聖騎士であるが、全ての職業でレディアントを所持、さらに大前提としてディセンダーである訳で。
強ち嘘でもないので、誰も何も言わない。
今の所、実質的な被害が出てる訳でもないしね。
『ジェイドの眼鏡』
「アレ、いねぇ…………」
フレンから頼まれ、レイヴンを捜していたユーリは一瞬ポカンとする。
いつもは船倉にいる筈のあの紫の羽織りが居なかったからだ。
「何処行ったんだよあのおっさん………」
「迷える黒き狼(ユーリ、どうしたの?)」
「ノア」
振り返らずに名前を呼べば、横に並んだのは間違いなく彼だった。
こんな特徴的な喋り方をするのは、コイツしか居ない。
「いや、レイヴン見てねぇか?」
「鴉を捕えなんとする(レイヴン?何で?)」
「フレンに捜してくれって頼まれてな」
「光りは全てを見通さん(そういうのフレンの方が解ってそう)」
「まったくだ」
傍を通ったリッドはなんで会話出来てるんだろう、そう思ったが何も言わず通り過ぎた。
「永遠の中の刹那、鴉は風の楽園で羽根を休めていた(さっき甲板でみたよ)」
「おう、そうか。サンキュ」
「一つの相違(ただちょっと様子がおかしかった)」
「ん?」
様子がおかしかった。
ノアのその言葉に首を傾げながら、ユーリは甲板へと出る。
さっきノアが言った通り、レイヴンはそこにいた。
こちらに背を向けて、髪を下ろして。
「いたいた。おーいレイヴン」
少し違和感を憶えた。なんか嫌な予感もした。
しかしユーリはその背中に声を掛けた。
――――のが、間違いだった。
「レイヴンではない」
いつもより低い声。髪を揺らして、振り返る彼には眼鏡がーーーーー。
「シュヴァーンだ」
シュヴァーンて効果音、聞こえた気がする。
取り敢えず触りってことで。
パチリ、弾けた焔が視界の端に写る。
天守閣の中央で眉根を寄せた三成は、駆け込んできた兵卒に鋭い視線を投げ掛けた。
「も、申し上げます!」
「…………何だ」
「………織田軍、凄まじい勢いで大阪城に向かっており………ここも、直に堕ちます」
「……………」
僅かに開いた窓の隙間から、三成は空を見上げる。
赤く渦巻く空は禍々しく光り、地上を照らしていた。
* * *
魔王の妹により、織田が復活した。
その一報が日ノ本を震撼させた。
嘗て日ノ本を蹂躙しつくした、織田が復活すること
それは、日ノ本が最も恐れていた事。
そしてその歯牙が今、石田に向いていた。
* * *
「………刑部の策が破られるだと………?」
「み、三成様………!?うわぁぁぁぁあ!」
「!?」
目の前で血が飛び散った。
悲鳴とともに迸った閃光は、倒れ行く体をゆっくりと網膜に焼き付ける。
倒れ伏す兵卒の後ろに見える刀の鈍色。
それを握るその姿に、三成は瞠目した。
「………貴、様」
「よぅ、三成」
何故、という呟きは口の中で溶けていく。
男————官兵衛のニヤついた口許から視線をゆっくりと下し、手首でその動きは止まった。
「………貴様、枷はどうした」
「主に外してもらったんだ」
重りが無いと軽くていいな、と。
官兵衛はにやりとした笑いを緩めず、言った。
その手に握る刀から真っ赤な鮮血が滴り落ちる。
「主、だと?」
「あぁ、そうさ」
「……、ま、さか」
「そう、そのまさか」
「小生の主は、織田だ」
銃撃の音が、やけに遠く聞こえた。
「な、ん………?」
「お前さんに一泡吹かせてやろうかと思ってなぁ。ま、流石に久しぶりで腕が鈍っちまってたんだが」
官兵衛が刀を振る度、煌々と燃え上がる壁に血が飛び散る。
血と脂で鈍った光に三成が目を細めた。
「お前さんの兵と刑部で慣れさせてもらったぜ?」
「刑部だと?」
「あぁ、いち早く小生の事に気付いてな、お前さんの元に行かせまいと必死だったんだがなぁ」
つまり、その鈍色の刀には。
カッと三成の頭に血が上った。
疾走し、抜き去った刀を官兵衛の首筋目掛けて一息に振り抜く。
しかしその太刀筋は、寸での所で鋭い金属音に止められた。
ギリ、唇を噛み締めた三成の口の中に血の味が広がる。
「………残念だったな」
「………き、さま………!」
「憎いか三成、小生が」
「赦さない、私は貴様を赦さない!」
「その台詞も聞き飽きたな」
鍔迫り合いの刀から、火花が飛び散る。
「………さぁ、お前さんで最後だぜ?」
* * *
天に舞う焔、散る閃光。
響き渡る剣劇の音は高く、強く空を劈いて。
今にも燃え落ちそうな天守閣の中、三成は荒い呼吸と共にその場に膝をついた。
最早酸素は薄い。いつまでも戦い続ける事は出来ない。
しかし疲弊している三成とは打って変わって、官兵衛の呼吸は乱れてはいなかった。
その辺の一般兵卒の持ち物であろう刀も、三成の鋭い剣劇を受けて尚折れずその存在意義を果たしている。
「どうした三成、もう終わりか」
「………何故だ。何故なのだ!」
「何故って、そりゃお前さんの攻撃がひとっつも当らない事についてか?」
当らない、を強調してやれば三成の殺気が一層濃くなる。
官兵衛は心底面倒くさそうに頭を掻いて、ヒュン、と刀を前に突き出した。
「簡単な事さ。お前さんの使う抜刀術は勢いが全てだ。初太刀の勢いで相手をねじ伏せるもんだ。だが、その勢いさえ殺してやれば、去なすのは容易いんだよ」
「貴様にそれ程の技量があるとは思えん」
「見くびってくれるな。小生はずっとお前さんの太刀筋を見てきた。全部読めんだよ」
今まで使う事が出来なかった手で刀を握って。
そして、嘗て危険だと切り捨てて遠くへやった男が今こうして牙を向いている。
—————嗚呼、なんと滑稽な事か。
「貴様は、穢すのか!秀吉様が作り上げたこの地を!この国を!」
「………」
「貴様ごときが秀吉様の地を踏み荒らすなどと認めない!私はそれを許可しない!」
三成は再び立ち上がり、刀の柄に手をかける。
その目は驚く程、深く。
「愚弄するのであれば貴様とて変わらん。斬滅する。秀吉様と半兵衛様が作り上げた国を、城を、兵を!私は継いで見せる、何があろうとも!」
「…………わからねぇ奴だな、お前さんも」
その声色は、驚く程冷たく聞こえて。
「秀吉公も半兵衛も、もういねぇじゃねぇか」
「っ、貴様が、貴様がそれを言うのか!半兵衛様にあれ程の恩を受けておきながら………!」
「だからって」
今にも斬り掛かりそうな気迫の三成が、官兵衛のその静かな声に動きを止める。
彼の後ろの柱が燃え落ちる。それでも官兵衛は、そこから動かない。
「だからって立ち止まってられねぇだろうが。小生は生きてる。お前さんも生きてる…………これから死ぬ宿命だとしても」
「…………っ、」
「さぁ………仕舞いにしようじゃねぇか」
今まで自然体で掲げていた刀を、今度はしっかりと構え、その切っ先を三成に向ける。
外で聞こえていた銃撃も剣劇も、もう聞こえない。
ただ豪と燃え上がる焔の音と、魔王の笑い声だけが、三成の耳に残った。
「………ここでお前さんと燃え果てるのも、中々面白いかもしれんな」
「馬鹿は休み休み言え。私は御免だ…………貴様と、果てるなど」
「は…………そうかい」
焔を反射する刀の光を、美しいと感じた、その瞬間。
翻った閃光が、火花を散らした。
—fin…—
10月のバサイベの話です。
とりあえず新刊は2冊、光先輩のと、裕美先輩との合同誌の予定。
グッズは前のを使えばいいと思います。
崩壊の芳香を再販するかも、どうにか決めたいね。
あと合同誌の概要です。
タイトル:cafe『蒼龍』にようこそ!(仮)
…………誰かセンスのあるタイトル考えてください。
構成:・幸村と佐助がカフェで政宗を見つける話。
・三成と家康の話
・酔った官兵衛にクダ巻かれる話。
設定:輪廻転生現代パロ。政宗様のみ記憶無し。と見せかけて実はある。
幸村とかは全員記憶有り。
隠れ家的カフェ『蒼龍』のマスター。本人が学生なので基本休日しか開いてない。放課後とかも開いてたりする。
店の裏手にある畑は小十郎特製。店で出てくる料理は大体こじゅの野菜が原料。
料理の腕はピカイチ。
今んとこ考えてるのはこれくらいです。
三つのうちどれか一つを裕美先輩に描いてもらって、残り二つをこっちでマンガと小説にします。
どれがいいか連絡ください。
話の本筋作った方が良ければ作ります。
以上です。
とりあえず新刊は2冊、光先輩のと、裕美先輩との合同誌の予定。
グッズは前のを使えばいいと思います。
崩壊の芳香を再販するかも、どうにか決めたいね。
あと合同誌の概要です。
タイトル:cafe『蒼龍』にようこそ!(仮)
…………誰かセンスのあるタイトル考えてください。
構成:・幸村と佐助がカフェで政宗を見つける話。
・三成と家康の話
・酔った官兵衛にクダ巻かれる話。
設定:輪廻転生現代パロ。政宗様のみ記憶無し。と見せかけて実はある。
幸村とかは全員記憶有り。
隠れ家的カフェ『蒼龍』のマスター。本人が学生なので基本休日しか開いてない。放課後とかも開いてたりする。
店の裏手にある畑は小十郎特製。店で出てくる料理は大体こじゅの野菜が原料。
料理の腕はピカイチ。
今んとこ考えてるのはこれくらいです。
三つのうちどれか一つを裕美先輩に描いてもらって、残り二つをこっちでマンガと小説にします。
どれがいいか連絡ください。
話の本筋作った方が良ければ作ります。
以上です。





