『眠られぬ夜のために①』七月三日: | 真田清秋のブログ

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 『病的な状態は、あまりひどく気にしないでいると、ひとりでに消え去ることがよくある。それよりももっとしばしば、病弱者でありながらも、十分治療を受けられる境遇にいないために、かえって多年にわたって彼らの義務を忠実に、よろこんで果たしている人々がいるのである。これに反して、各地の療養所にたえず滞在し、無駄な、心に慰めのない生活を送っている人達もいる。このような人達の多くは、ただ何か為すべき務めを教えてやりさえすれば、救われるであろう。つねに病気がちな人々に欠けているのは、むしろ本当の義務と人生の任務に他ならぬという場合が、かなり多い。彼らの体力に十分かなった義務や任務を課してやれば、どんな治療や安静や看護によるよりも、ずっと健康になれるだろう。御者(ぎょしゃ)なら誰でも、自分の馬にはこうすべきだということが分かっている。ところが、病人を指導すべきはずの多くの医師や看護人がそれを知らない。

 とりわけ健康に役立つのは、多くの場合、正しい、真実の愛である。愛というものは、当然いやしいエゴイズム否定するからである。しかしこの不思議な薬は、どこの街でも売ってはいないし、また、誰でも自分で用いることができるわけでもない。それの下らぬ真似ごとで満足している者には、特に扱いにくい薬である。』

 

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