ゴールデンウィーク後半戦の初日である5月3日。

あらかじめ16時に時間を頂いて社長と会社で待ち合わせをした。

休日にわざわざ打ち合わせをしたいだなんて、

最近はこんな形で時間を頂く事がなかったから社長もなんのことやら想像つかなかったに違いない。

私に会うなり
「なにょ?」と。

席に座るなり適当な仕事の近況報告をした。

そして、その後すぐに退職の話を切り出した。

「私、会社を退職したいです」

「え?」

社長は突然の話にビックリして驚きのあまりに立ち上がって開いていた扉を閉めた。

「え?」

「なんで?」

「…」

「どうして?」

「…」

退職理由が言い出せずしばらく沈黙が続いた。

「どうして?」

「自分でお金を借りて自分でやりたいんです」

と、言ったんだと思う。

あまり覚えてない。




“退職したい”

心の声は何百回、何千回と発していたが、

言葉で社長に伝えるまで2年かかった。

悶々とした日々。

やっと言えた。

伝えられた。

退職を伝えるのに、あまりにも時間がかかり過ぎた為、

自分の中でもヤキモキ悶々とした感情が高ぶっていた為、

当初イメージしていた涙が出るとかそういった感情ではなかった。

やっと言えたという達成感。

受理されるかとかそういう事よりもやっと言えたと。

社長から出た言葉は想定内だった。

●経営で成功するのは一握り

●選ばれた人なんだよ。

●器ってものがある。

●あなたの良い所も悪い所も十分理解している。

●上手くいかなくなって後悔する。

●20代だったらまだしも40歳でビジネスがどういうものか少しは理解しているこの状態でアホ。

●出来ないと言えば言うほど加熱するタイプだからあまり言いたくないけど

●うちの会社のほとんどはあなたが採用してる。あなたの鏡なんだよ

●俺に不満があるんだろうな。
あなたが辞めるとなったら俺は恥をかく。
俺は困るわけだから俺に不満があるんだろうな。

●そこまで身勝手で自分本意で希薄な人だという事にショックだよ

●感謝がないから辞めたいとか言うんだ。

●今だって大変なのにこれの10倍大変になる。金が回ってこなくなると判断がつかなくなってドツボにはまる。

想像はしていた言葉の数々だったが、やはり実際に言われると

メンタルがグラグラで自分の決断に揺るぎない自信というものが消えそうだった。

本当に怖い。

死ぬ程怖い。

守るべきものがあるから。

そこを突かれると弱い。

その日の夜は、メンタルよれよれで何故かとても人恋しくなってしまった。

こんな事でグラグラしているなら経営なんて自分には出来ないんじゃないか。

そう思わされた数日間。

独立したいから辞めたいと言う事と
感謝がある、なしは、別の話だと思う。と伝えても今のところ理解されていない。

俺だったら言えない。とさえ言われた。

世の中の独立した人はみんな感謝がないと言う事ですか?

との言葉には、

あなたと一緒に会社を作ってきた。

あなたと会社の関係も

あなたと俺の関係も

特別なものだろ。