姉の車の後ろに3台の車がついて行く形で出発した。僕は2号車だ。行き先は告げられず、ついてこいと。しばらく走ると、僕の2号車から赤信号に引っかかった。田んぼばかりの道なので、前に走る姉が気づかず、減速しないので、パッシングしたが、気づかなかった様だ。信号が青になり直進したが、姉の車が見当たらない。次の交差点の手前に駐車場があるレストランがあり、何とそこの奥に姉の車が駐車完了していた。慌ててブレーキを踏んだ。後ろの車も急ブレーキとなったであろう。何と自分勝手な奴何だ。こんな日に身内同士で事故ってたら、どうしてくれるのだ。

何とか事故らずに、奥の出入口から駐車場に入った。

やはり、姉の車で、姉は運転席でスマホをいじっている様だった。スマホ弄る余裕があるなら、なぜ車を降りて、皆んなを誘導しないのか?

全員無事駐車して降りて来たが、姉に文句を言う者は居なかった。摩訶不思議な現象だ。


僕は率先して、6名入れるか?確認しに行った。

大丈夫だった。店員さんに誘導されるまま、6人テーブルに案内された、狭いなと思ったが、姉の近くに僕と妻が座らなくて済む配置が重要だ。

後から叔父と姉が話しながら来て、店員さんに「狭いな。部屋変えてくれないか?コロナなのに密だ。」

店員さんに、上から横柄な態度、妻が1番嫌うタイプだ。

しかも、コロナが怖いから、法宴は避けたのに、言い出したのは、叔父だぜ。密が嫌なら、来るなよ。とは言わず黙っていた。今日は母の法事じゃあないか。

結局、店員の計らいで2テーブルある部屋に通して頂いた。昼前にお茶しに来たというのにだ。

奥に従兄弟、同じテーブルに妻と僕、手前のテーブルの奥に叔父、叔母、手前に姉の配置で落ち着いた。


何事も無かった様に注文を済ませた。


叔父が「なぁ、さっきの話しだけど、」と言った時にケーキやコーヒーが運ばれて来た。

先ずは、一口飲んだ所で、さっき霊園での話しを始めた。

「なぁ、さっきの続きだけど、葬儀に供花してくれた方へ半返し、すべきじゃ無いか?」

「さっきも話しましたが、供花の方にはお返しは不要とし、注文主が判る方にはお礼状だけ送りました。」

「それは誰が決めたんだ?お前だけの考えか?」

「葬儀屋さんから言われました。」

「しかし、供花してくれた書道会の方に会った時に恥ずかしく無い様に、お礼の品を送って置くべきじゃ無いか?」


僕は、何故、姉は一言も話さず、全て叔父が話すのか?堪らなく不愉快であった。

「書道会へのお礼状やお礼の品は、姉がすれば済むのでは?

そもそも、家族葬で弔問、香典は辞退と案内している。これは、お互いに煩わしい気遣いを避ける手段だ。

僕の関係は会社組織で供花して居るので、お礼状だけで済ませた。

次に、そもそも母の作った○○会(大人の書道会)は、母が引退した時点で解散し、今は存在してない。

それにも拘らず、葬儀の前に姉が僕に○○会の供花2基を手配しろと言って来た。

それはおかしいので、母の一番弟子だった市川(仮称)さんに『僕が○○会の供花を手配したら、僕に請求書が来て支払う事になるが、それでいいのですか?』と聞いたら、全て市川さんがやると引き受けて下さった。

よって、○○会で供花されてるので、お礼する宛先の個人名、人数も分かりません。

なので、書道関係で、気持ちのある○○会の方々で母を偲ぶ会でも催せばいいじゃ無いですか。それは書道会の事なので、姉がすれば済む事では無いですか。」


叔母がチャチャを入れた

「相手が組織でも、代表者にお茶でも持っていったら?皆んなでどうぞって渡せばいいじゃ無い」

「相手が組織だと1万人以上の会社もあるのに、数人しか飲めないお茶っぱのお返しをしろと?

今時、家族葬をする方から、香典辞退と言われてなお、敢えて会社名や社長名で供花だけでもと送ってくれた場合は、返礼品を送って無いのが今の常識です。少なくともサラリーマンの中では。

尚、それでも、なお、弔問に来て下さった方には、皆さんに届いたのと同じタイミングで既に香典返しを送ってます。

○○会の地元の方は、家族葬にも関わらず、殆どの方が通夜に参列されてたので、お礼も済ませてます。」


ここまで言っても、喪主の僕の言うことが理解出来ない叔父が、またもや、

「とにかく、お礼状を出しとけよ。」

「どういう事ですか?僕に言ってるのですか?○○会だけでは宛先が判らないって、言っているのに?

姉も書家なら、手書きのお礼状を出せば?必要なら僕の名前を使ってもいいから。」

(僕の名義を使っていいと言った瞬間)「だから、お前が出せよ。」

「ですから、宛先も会のメンバーも分からないのに、出しようが無いです。

メンバーを知って居る、姉がやるしか無いでしょ?」」

「そうか。○○(僕の名)には、出来ないな。こっちでやるしか無いな。」

僕は、怒り心頭だったが、何とか黙って堪えた。

喪主の言う事を理解出来ず、挙げ句、馬鹿にして来るモンスター、しかも母の弟とは言え、○○家(僕の苗字)の事に土足で入って来る越権行為、許せないが、これ以上関わりたくも無い。

姉のことなのに、姉は一言も話さない。

叔父が姉を操っていたのだ。会社経営で弁護士を抱えて居るからか、言いたい放題だ。

母を騙し、銀行を騙した事もある叔父、許せない。


従兄弟がもうそろそろ出ようと、救いの一言。

ここは僕が払います。とだけ言って、レジに向かった。

精算を済ませて、お礼を言って、お見送り、解散した。

最後に残った姉が口を開いた、

「私が建て替えてるお金払ってくれる?」

「僕がそうしたら様に、誰からいつ何を頂き、いくらお礼をしたのか、領収書と一緒に僕に下さい。僕の纏めてるリストに一緒にして、会計報告します。」

「あと、書道関係のお香典、半返ししても残ってるでしょ? それと、母の貯金の私の分あるでしょ?」

「今日迄、納骨の準備で手一杯だった。姉貴の建て替え分を連絡もらって、会計報告纏めたら、そっちもやるから。」


相変わらず、金、財産目当ての、ガメツイ下品な輩。お礼や、お疲れ様の一言も無い。期待もして無いが、真っ黒いグリスが胃の中を滴り落ちる様な気持ちにさせる。

バケモノとはもう関わりたく無い。


帰りの車で、妻が教えてくれた。

僕が会計して居る時に、従兄弟が叔父に「何度も同じ事聞くんじゃ無い。そもそも叔父が関わる事じゃ無い!って、前にもあれほど言ったのに、わからないのか。」と怒鳴っていたと。

僕にとっては、僕の代わりに、叔父に怒鳴りつけてくれた従兄弟には感謝したい。


モンスターと闘う僕は、一人じゃ無い。

ありがとう。